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福田知弘の公式ブログです。

BIM(ビム)について:BIMの基本から最新動向まで

BIM研修会

2019年8月30日夜、大阪市内でBIM研修会「BIM(ビム)について~BIMの基本から最新動向まで~」が開催された(主催:大阪府建築士事務所協会)。本稿では、その研修内容を短く報告する。

BIMとは

BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)は、設計、生産、運用管理のプロセスである1)。コンピュータ上に作成した建物の三次元情報に、属性情報(仕上げ、コスト、管理情報など)を付加した建物のデータベース(ビルディングインフォメーションモデル)を基に、建築の設計、施工から施設管理まであらゆる工程で、図面化したり、パースを作成したり、仕上げ表を作成したり、解析やシミュレーションしたり、見積・積算したりと展開できる。

BIMは、上記に述べた設計、生産、運用管理のプロセス、すなわち活動を指す場合と、建物の属性情報付き三次元モデル、すなわちオブジェクトを指す場合があるが、本質的には前者・活動を指す。

利害関係者に伝えるためのツール

計画・設計段階では、将来完成予定の建築物や都市空間は存在していないため、施主と設計者、設計者とエンジニアや施工者、さらに施主は近隣住民や市民など関係者に対して、何らかの手段を用いて計画・設計内容を伝達して合意形成を図りながら進める必要がある(図1)。そのため、模型、図面、手書きパースが古くから使われ、近年ではCGパースやアニメーションなどコンピュータツールが実用化されてきた。さらにリアルタイム・レンダリング(描画)を有するVR(人工現実)やMR(複合現実)で、CGパースやアニメーションでは限られていた検討の自由度と試行錯誤のスピードを格段に向上させつつある。

BIMが存在していない頃は、CGやVRを作成するために2次元CADからCG・VR用の3次元モデルをわざわざ作成しており、非効率であった。一方、BIMの登場により、これらのメディアへ橋渡しすることが容易になり、BIMのさらなる開発と普及が待たれる。

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図1. 建設プロセスの利害関係者

CADBIMの違い

BIMは、現在広く使われているCADと似ているが、CADは壁などの建築要素を線で表現することが一般的であり、壁というひと纏まりのモデル(オブジェクト)としては定義されていない。また、壁や設備などの属性情報と図面とは連携されていない。一方、BIMは壁やドアなどをオブジェクトとして定義してあり、形状だけでなくその属性情報も含まれる。ある部屋とその部屋の中に含まれる建築要素との関係(トポロジ)も定義されている。

BIMのメリット

建築の設計は、意匠→構造→設備→生産の段階を順に進める、ウォーターフォールモデルと呼ばれるプロセスである。この方法では、上流段階で行われた設計上の課題を下流段階で発見したとしても、時間やコストの面で、やり直しができない場合が多い。一方、BIMを使えば、建物の構造や形状、仕様などの情報を初期段階から具体的に入力でき、できるだけ多くの項目を決めておくことで、作業量のピークを前倒しでき設計変更コストを抑えることが可能である(フロントローディング)。すなわち、施工や完成後をイメージしつつ、シミュレーション、解析、部材の干渉チェックなどを通じて、より多くのことを決めておくことができる。

計画・設計内容の可視化と合意形成

ここからは、研究室での取り組みをご紹介しよう。境港市役所・土木設計者・照明デザイナーらと取り組んだ「水木しげるロード・リニューアルプロジェクト(2016-2018)」で将来像を3次元化し、コミュニケーションツールとして使われたVRの強みを紹介したい。

水木しげるロード(総延長800m)は、JR境港駅前から水木しげる記念館に至るまでの区間であり、県道と市道で構成されている。設計段階である2016年9月に「怪フォーラム2016 in とっとり」が境港市で開催されることになり、事業関係者や市民の参加が多く見込まれることからリニューアルの全貌をVRで公表することになった。実はこの時点では、県道と市道のリニューアル内容は舗装が統一されていないなどの差があったが、発注者は別々でありそのまま進んでもおかしくない状況であった。怪フォーラムは、妖怪にまつわる三県(岩手・徳島・鳥取)の知事が出席するイベントであり、市長も出席する。県道と市道のトップが共に出席する貴重な機会となった。

日が暮れてから、リニューアル計画のVRを屋外スクリーンに映し出し、VRをライブで操作しながら、アナウンサーに計画内容を朗読してもらい、一反木綿に乗った鬼太郎がリニューアルされた水木しげるロードの将来像を空中や歩行者目線から案内した。

このVRを見て、県道と市道の設計内容の違いにトップが気づき、以降は県道と市道のデザイン統一を図りながら設計を進めることになった(図2)。

新たな水木しげるロードが竣工してしまうとやり直しは容易ではない。設計内容の全体像を関係者と共有し、どう合意形成を図るのか?VRを設計段階から使うことで問題を発見し、設計変更を繰り返すことにより、2018年夏、水木しげるロードは完成した。

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図2. 水木しげるロード・リニューアルプロジェクト(境港市

三次元景観シミュレーションとAIの融合

MRは、設計対象を含む将来景観を現場で事前シミュレーションするニーズに対応できる。いわば、リアルタイム・フォトモンである。一方、建築物や都市の三次元モデルを屋外、1/1スケールで常に正確に位置合わせできる景観シミュレーションシステムはまだ発展途上である。また、シミュレーションのためのコストはできるだけ少なくしたい。そのため研究室では、ゲームエンジン上に画像処理を統合したMRシステムを開発してきた。地上でタブレットHMDを用いたMRユーザ目線からの使い方のみならず、空中からドローンによる使い方も想定している。

さらにエビデンス・ベースド・デザインに対応するため、緑視率自動測定システムを開発、MRシステムに組み込み、計画前後の変化を見た目と数値情報(緑視率)により同時に把握できるMRとした。

MRで景観シミュレーションを行う際の課題として、オクルージョンがある。MRは通常、現実世界の映像を背景としてその上に位置合わせを行った三次元モデルを重ねて表示する。三次元モデルの手前に現実世界がある場合には不正確な表現となってしまう。これらの前後関係を正確に表現する手法がオクルージョンであり、筆者らは三次元モデルの手前に存在する実物体の三次元モデルをSfM技術(多視点で撮影した画像から三次元形状を復元する。フォトグラメトリとも)を用いて事前に作成し、MRカメラから眺めた時にその三次元モデルがある領域は実写映像をレンダリングすることでオクルージョンを実現した。

しかしこの方法では、使える対象に限界がある。例えば、MRシミュレーション時に事前準備した三次元モデルから変化してしまった実物体に対して(例えば、風で揺れる樹木、MR実行時に突然現れる人や車など)、オクルージョンは不正確になってしまう。そのため、MRシミュレーション中にオクルージョンを行う実物体をリアルタイムに抽出する動的オクルージョンシステムが必要となる。これを実現するため、深層学習によるセマンティック・セグメンテーション(画像の各ピクセルをカテゴリラベルに関連付けすること)技術をMRに統合したシステムを開発中である(図3)。このセマンティック・セグメンテーション技術は、上述した緑視率や天空率などの自動計算へも応用できる。

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図3. 動的オクル―ジョンを含む景観検討用MR

尚、屋外での正確な位置合わせ技術に関しては、SLAM(自己位置推定と環境地図作成を同時に行うこと)技術が急速に発展しており、位置合わせ問題はいずれ解決されていくものと期待している。さらに、SLAMとセグメンテーションのようなカテゴリ分類技術により、広大な現実空間のデジタル化が進められ、センシング技術、クラウド技術とも融合され、デジタルツイン化が進められるであろう。

おわりに

第4次産業革命の時代を迎え、BIMは建築分野のコア技術になるであろう。さらに、AI、IoT、ビッグデータVRなどデジタル技術の発展にも常に目を向けておく必要がある。例えば、ガードナー社が毎年発行している、新興技術のハイプサイクルは参考になる2)。また、コンピュータやソフトの使い方を覚えるだけでなく、情報やコンピュータグラフィックスの基礎理論を理解しておくことも肝要である。

尚、講演では「BIMと環境シミュレーション・VR・MRとの融合」についても触れた。この内容は、都市とITとが出合うところ 第66回に記載したので参照されたい。

参考文献

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/191101BIM研修会_190830.pdf
(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2019年11月号)

日本建築学会 情報シンポ2019 参加申込がはじまりました [2019年12月12日・13日]

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日本建築学会では、情報・システム・利用・技術シンポジウム(情報シンポ)が長年開催されております。僭越ながら、当シンポの主査を仰せつかっており、今年は12月12日・13日に建築会館で開催すべくみんなで準備を進めております。先日、参加申込サイトがオープンしました。皆さまの参加をお待ちしております。

www.aijisa.org

情報シンポ 2019「Architectural Regenesis」主な見どころ

  • 国内外から80編を超える研究開発・実用化フェーズのデザインと技術発表( 論文・報告・インタラクティブ発表)
  • 国内外からの基調講演とパネルディスカッション(12/12は同時通訳サービス有)
  • 若手優秀発表賞(New! 対象者の方は表彰式(12/13 17:30-)で発表しますので、必ずご出席ください)
  • インタラクティブ発表(New! 12/13 11:00-12:00 温かいコーヒーを片手に、著者と直接コミュニケーション!)
  • 懇親会をはじめとする交流プログラム
  • 12社の協賛企業様(スポンサーブースにも是非お立ち寄りください)
  • 特製トートバッグを会場先着順にて配布します(資料あり参加(DVD購入)の方のみ)

■公式サイト https://www.aijisa.org/2019/

www.aijisa.org


■会期 2019年12月12日 [木] ~13日 [金]
■会場 建築会館ホール+本会会議室 [東京都港区芝5-26-20]
■定員 200名 [事前申込者優先,定員に達しない場合の当日申込みは会場先着順]
■参加費
(1)資料あり参加費 *資料はDVD
   会員8,000円,会員外9,000円,学生5,000円
(2)資料なし参加費
   会員3,000円,会員外4,000円,学生1,000円
※会期中一度のお支払いで、両日とも参加可能です。
※上記参加区分(1)(2)ともに、全プログラムへの参加が可能です。
※発表者の方は参加区分(1)の参加費をお支払いください。
※「資料あり参加」にて事前にお申込み頂いた方には、情報シンポ開催3日前を目処にご登録頂いたメールアドレスに資料を送付いたします。
※ 特製トートバッグを会場先着順にて配布します(資料あり参加(DVD購入)の方のみ)。
(3)懇親会
日時 2019年12月12日 [木] 18:00~20:00
会場 日比谷Bar 三田店 [東京都港区芝5-23-6, http://www.hibiya-bar.com/mita ]
会費 [シンポ参加費とは別] 一般 4,000円,学生3,000円
定員 60名 懇親会のみでもご参加頂けます。下記の優先順で受付させて頂きます。
 ①事前参加申込フォームで申し込まれた発表者・連名者・関係者
 ②事前参加申込フォームで申し込まれた一般・懇親会のみ参加の方
 ③当日会場の申込み順 [事前申込で定員に達しない場合]
オンライン申込締切 2019年12月2日

■詳細プログラム 11月中旬にアップします。


■HP、SNS
建築学会 催し物欄 https://www.aij.or.jp/event/list.html
建築学会 情報システム技術委員会 公式サイト(Facebookhttps://www.facebook.com/aijrcist/
情報シンポ Twitter https://twitter.com/aijisa2016

都市とITとが出合うところ 第66回 BIMと環境シミュレーション・VR・MRとの融合

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図1. INP(回廊のある家)プロジェクト(潮来市

回廊のある家プロジェクト

BIMモデルと環境シミュレーション・VR(人工現実)・MR(複合現実)との融合を試みたプロジェクトを紹介しよう。

建築家・atelier DoNらと取り組んだ「INP(回廊のある家)プロジェクト(2014-2015)」は、間取りの中心にリビングを配置し、その周りに回廊を設け、さらにその外側に各個室や水回り、テラスなどを配置する3重の入れ子状とした計画である。リビングは吹抜空間であり、1階・2階の回廊や各室とつながっており、一体的な空間となっている。設計を進める中で、いくつかの課題が明らかになった。

設計上の課題1

一つ目の課題は、吹抜けがあり、他の居室や階段とつながるリビングの温熱環境を検証すること。1階回廊(天井)、キッチン、2階子供部屋(2台)と回廊にエアコンを設置した場合に、空調がどの程度可能か、温度・風量分布はどのようになるのかを検証する必要があった。

BIMモデルをCFD(計算流体力学)ソフトに取り込んで室内温熱環境シミュレーションを行った結果、暖房時に暖気が吹抜を上昇し、階段を通じて下降気流が発生することがわかった。そこで1階の階段と回廊の間にドアを設けて再びCFD解析したところ、下降気流が抑制され、リビングの温熱環境の改善が確認できた。

設計上の課題2

二つ目の課題は、浴室とつながる屋外テラスが設計してあり、屋外テラスにいる住人が周辺から視認できないことを検証すること。このために、設計対象の住宅に加えて、設計対象を取り巻く周辺建物や道路をVR化して、隣家の窓から屋外テラスが見えないことを確認した。

可視・不可視の問題は二次元の断面図を描くことで確認できなくはない。しかしながら、繊細なプライバシーの課題であり、VRによる可視化は施主にとって安心感を与えることにつながったようである。

設計上の課題3

三つ目の課題は、狭い前面道路を考慮した駐車スペースのあり方を検証すること。このために、ARを用いて、現実空間と設計対象の三次元モデルを1:1スケールで重ね合わせて、建設予定地の前面道路上で施主と設計者が確認作業を実施した。駐車場の配置プランは、3案用意して、プランを適宜切り替えて確認できるようにした。

CFD結果とVRの統合

建物はCFDソフト上でワイヤーフレーム表示されており、建築空間と温熱環境の関係が施主にわかりづらく、CFD解析結果をVRで表示しようと試みた。しかし、使用した市販のCFDソフトでは解析結果(風の向きや強さ、温度分布など)を出力することができなかった。そこで、CFD解析画面をスクリーンショットにより画像化して、その画像をVR上にテクスチャマッピングとした。最終的に設計内容の理解が施主より得られ、住宅は完成した(図1)。

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図2. BIMと環境シミュレーション・VR・MRとの融合

CFDVRの統合:新たなシステムの開発

INPプロジェクトの後、CFD解析結果をVR空間内へより柔軟に取り込めるように、CFDソフトを市販のものから、OpenFOAMに切り換えた。そして、BIMモデルから幾何形状のメッシュ化とシミュレーションに必要な属性情報の抽出、CFD解析、VR上でCFD結果を表示するパイプラインを構築している(図2)。

さらに現在では、このパイプラインを発展させ、VRだけでなく、MRでも出力可能としている。VRの場合には、全て三次元モデルで構成されるため新築での検討ツールとして使えるであろう。一方で、MRは現実世界に三次元モデルを重ね合わせるため、リノベーションでの検討ツールとして使えるであろう。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1911machinami_FukudaFinal.pdf
(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2019年11月号)

発表論文: 

  • Fukuda, T., Mori, K. and Imaizumi, J.(2015) Integration of CFD, VR, AR and BIM for Design Feedback in a Design Process - An Experimental Study, Proceedings of the 33rd eCAADe Conference - Volume 1, 665-672, http://papers.cumincad.org/data/works/att/ecaade2015_83.content.pdf
  • Hosokawa, M., Fukuda, T., Yabuki, N., Michikawa, T. and Motamedi, A.(2016) Integrating CFD and VR for Indoor Thermal Environment Design Feedback, Proceedings of the 21th International Conference on Computer-Aided Architectural Design Research in Asia (CAADRIA 2016), 663-672, http://papers.cumincad.org/data/works/att/caadria2016_663.pdf
  • Zhu, Y., Fukuda, T. and Yabuki, N. (2018) SLAM-Based MR with Animated CFD for Building Design Simulation, Proceedings of the 23rd International Conference on Computer-Aided Architectural Design Research in Asia (CAADRIA 2018), 391-400, http://papers.cumincad.org/data/works/att/caadria2018_107.pdf
  • Zhu, Y., Fukuda, T. and Yabuki, N. (2019) Synthesizing 360-Degree Live Streaming for an Erased Background to Study Renovation Using Mixed Reality, Proceedings of the 24th International Conference on Computer-Aided Architectural Design Research in Asia (CAADRIA 2019), Volume 2, 71-80, http://papers.cumincad.org/data/works/att/caadria2019_132.pdf
  • Fukuda, T., Yokoi, K., Yabuki,N. and Motamedi, A. (2019) An Indoor Thermal Environment Design System for Renovation Using Augmented Reality, Journal of Computational Design and Engineering 6 (2) 179-188, https://doi.org/10.1016/j.jcde.2018.05.007

 

研究指導を成功させる方法(Eleven Practices of Effective Postgraduate Supervisors)

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以下は、大学院学生に対してどうやって研究指導を行うか、を示した文献です。原著は、メルボルン大学の先生が書かれています。名古屋大学の先生が翻訳してくださり、大変助かります。すなわち、大学教員向けなのですが、学生の方にもお勧めです。大学院生として、何をすべきか、研究をどう進めるべきか、実践マニュアルになると思います。また、クリエイティブな仕事をチームで従事される方にも参考になるように思います(読み替えは必要ですが)。

The manuscript below is how to teach postgraduate students effectively. The authors are professors from the University of Melbourne. This manuscript is for supervisors of students like professors, I recommend to read this to students (What do you expect to your students when you become a supervisor?). This may become the practice manual, and you may understand how to go ahead of your own research and how to grow yourself up, and what the teacher expects. This manual can be used not for your laboratory life, but for other creative tasks.

Eleven Practices of Effective Postgraduate Supervisors
Authors: Richard James and Gabrielle Baldwin
Centre for the Study of Higher Education and The School of Graduate Studies, The University of Melbourne
http://www.lcad.icmc.usp.br/~buscaglia/links/sistcient/11practices.pdf

研究指導を成功させる方法 - 学位論文の作成をどう支援するか -
Authors: リチャード・ジェームス,ガブリエル・ボールドウィン 著, 近田 政博 訳
http://www.cshe.nagoya-u.ac.jp/publications/file/Eleven_Practices_of_Effective_Postgraduate_Supervisors.pdf

目次 Contents

基礎編 Foundations
1. 学生との信頼関係をつくろう (...ensure the partnership is right for the project)
2. 学生のことを知ろう、そして彼らがどんな研究をしたいのかを把握しよう (...get to know students and carefully assess their needs)
3. 学生に対して適切で、学生と教員双方が合意できるような期待を寄せよう (...establish reasonable, agreed expectations)
4. 学生と一緒に取り組み、頑健な理論枠組みと研究計画を立てよう (...work with students to establish a strong conceptual structure and research plan)

応用編 Momentum
5. 学生に早めに、そして頻繁に書くように勧めよう (...encourage students to write early and often)
6. 学生と定期的に連絡を取り、良質なフィードバックを与えよう (...initiate regular contact and provide high quality feedback)
7. 学生が大学院生活に没頭するように促そう (...get students involved in the life of the department)
8. 学生に知的刺激を与え、研究意欲を高めるように支援しよう (...inspire and motivate)
9. 学生に研究上および個人的な問題が発生した時は支援しよう (...help if academic and personal crises crop up)

仕上げ編 Final Stages
10. 学生の将来のキャリアについて考えてみよう (...take an active interest in students' future careers)
11. 学生の最終的な研究成果を精査しよう (...carefully monitor the final production and presentation of the research)

I also recommend the books:
How to Get a PhD: A Handbook for Students and Their Supervisors
Authors: Estelle M Phillips, Derek S Pugh
Open University Press; 6th Revised
https://www.amazon.co.jp/How-Get-PhD-Handbook-Supervisors/dp/0335264123/ref=pd_lpo_sbs_14_t_1?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=Z3PARHQN8JJZ0YV2RXN0

(日本語訳)
博士号のとり方[第6版]―学生と指導教員のための実践ハンドブック
Authors: E・M・フィリップス (著), D・S・ピュー (著), 角谷 快彦 (翻訳)
https://www.amazon.co.jp/%E5%8D%9A%E5%A3%AB%E5%8F%B7%E3%81%AE%E3%81%A8%E3%82%8A%E6%96%B9-%E7%AC%AC6%E7%89%88-%E2%80%95%E5%AD%A6%E7%94%9F%E3%81%A8%E6%8C%87%E5%B0%8E%E6%95%99%E5%93%A1%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%AE%9F%E8%B7%B5%E3%83%8F%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E2%80%95-%E3%83%BBM%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%B9/dp/4815809232/ref=pd_cp_14_1/356-9797963-7040612?_encoding=UTF8&pd_rd_i=4815809232&pd_rd_r=9c2c092a-81c6-11e9-b44e-f76fb66d5db1&pd_rd_w=nmFKh&pd_rd_wg=lgzP9&pf_rd_p=960f7b64-96bc-43a7-8a7a-4c4bb301da91&pf_rd_r=ZPDJ6A4RHXV6RCPGZWNJ&psc=1&refRID=ZPDJ6A4RHXV6RCPGZWNJ

都市と建築のブログ 10周年 Vol.47 ウェリントン:世界最南首都 up!

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フラットホワイト

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第47回目(2019年10月号)はニュージーランドウェリントンをご紹介します。世界最南首都ですね。フラットホワイトを頂きながら…

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■都市と建築のブログ バックナンバー

都市とITとが出合うところ 第65回 BIMについて

CADとBIMの違い

BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)とは、設計、生産、運用管理のプロセスである [1]。コンピュータ上に作成した建物の3次元情報に、属性情報(仕上げ、コスト、管理情報など)を付加した建物のデータベース(ビルディングインフォメーションモデル)を基に、建築の設計、施工から施設管理まであらゆる工程で、図面化したり、パースを作成したり、仕上げ表を作成したり、解析やシミュレーションしたり、見積・積算したりと展開できる。

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BIM(ビルディングインフォメーションモデリング

BIMは、現在広く使われているCADと似ているが、CADは一般に壁などの建築要素を線で表現しており壁というひと纏まりのモデル(オブジェクト)としては定義されていない。また、壁や設備などの属性情報と図面とは連携されていない。一方、BIMは壁やドアなどをオブジェクトとして定義しており、形状だけでなくその属性情報も含まれる。ある部屋とその部屋の中に含まれる建築要素との関係(トポロジ)も定義されている。よって、BIMは、バーチャルビルディング、ビルディングプロダクトモデルとも呼ばれる。

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CADとBIMの違い

フロントローディング

建築の設計は、意匠→構造→設備→生産の段階を順に進めていくプロセスとなる(ウォーターフォールモデル)。この方法では、上流段階で行われた設計上の課題を下流段階で発見しても、時間やコストの面で、やり直しができない場合が多い。一方、BIMを使えば設計内容を具体的に入力することができ、作業量のピークを前倒しできる(フロントローディング)。この考え方を実践すれば、建物の構造や形状、仕様などの設計を初期段階でできるだけ決めておくことで設計変更コストを抑えることが可能である。すなわち、施工や完成後をイメージしつつ、シミュレーション、解析、部材の干渉チェックなどを通じて、より多くのことを決めておくことができる。

建物を設計し、生産し、運用管理を行う一連の流れの中で多様な関係者が関わりながら進められる。プロジェクト次第であるが、発注者(施主)、設計者(建築家、コンサルタント、エンジニア)、施工者(ゼネコン、サブコン、メーカー)、行政担当、学識経験者、管理者、投資家、ジャーナリスト、近隣住民(地域)、利用者、一般市民などであろう。そのため、関係者に伝えるメディアとそのためのツールが必要となる。図面、模型、パースは古くから使われており、近年ではコンピュータ技術の発展により、CG静止画、CGアニメーションVR(人工現実)、AR/MR(拡張/複合現実)などが開発されてきた。BIMが存在していない頃は、CGやVRを作成するために2次元CADからCG/VR用の3次元モデルをわざわざ作成していた。一方、BIMの登場により、これらのメディアへ橋渡しすることが容易になる。BIMは建物のライフサイクルを支えるデータとして大変有用である。

建築BIM推進会議

BIM元年と呼ばれて早10年が経とうとしている。今年に入り、官民一体となってBIMの活用を推進し、建築物の生産プロセス及び維持管理における生産性向上を図るために次のような建築BIM推進会議が設置された [2]。

ミッション:建築生産・維持管理に係る各分野におけるBIMの活用・推進に係る検討状況の共有。BIMの活用による建築物の生産・維持管理プロセスや建築物に係る周辺環境の将来像への検討・策定。BIMの活用促進、将来像の実現に係るロードマップの検討・策定。

メンバー:学識経験者5名、設計関係団体6者、審査者・特定行政庁2者、施工関係団体4者、維持管理・発注者関係団体等4者、調査・研究団体5者、情報システム・国際標準関係団体2者

この背景としては、例えば、Society5.0の社会実装を進めるために、建設分野の制度改革として3次元データの活用などを位置づけた「新しい経済政策パッケージ」、デジタルガバメントの推進として建築関係手続のオンラインによる簡素化、次世代インフラ・メンテナンス・システムの構築等、インフラ管理の高度化として建設プロセスへのICTの全面的な活用等の推進を位置づけた「未来投資戦略」などがある。

参考文献

www.wiley.com

国土交通省:建築BIM推進会議, http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/kenchikuBIMsuishinkaigi.html(2019年9月7日閲覧)

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1910machinami_FukudaFinal.pdf
(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2019年10月号)

eCAADe + SIGraDi 2019 @ ポルトに参加しました。

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eCAADe + SIGraDi 2019 集合写真(ポルト市庁舎前にて)
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eCAADe + SIGraDi 2019 会場はアルヴァロ・シザ(Álvaro Siza)の設計。論文集は2000ページを越えました。
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ポルトの美しい街並み
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研究発表(左:城戸, 中:福田)と記念写真

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Closing Roundtable Discussion(閉会式前のパネルディスカッション)に登壇しました。

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閉会式のアナウンスで、次回のCAADRIA 2020@バンコクについて紹介しました。

9月中旬、eCAADe + SIGraDi 2019 学会に参加してきました。欧州をホストして37回目を迎える eCAADe (Education and Research in Computer Aided Architectural Design in europe) 学会と、南米をホストとして23回目を迎える SIGraDi (Sociedad Iberoamericana de Grafica Digital) 学会のジョイント学会ポルトガルポルトにある、ポルト大学建築学部で開催されました。ポルトは、ポルトガル第2の都市であり、ポートワインはこの地に由来しています。

学会テーマ:Architecture in the Age of the 4th Industrial Revolution(第4次産業革命時代の建築)

セッションテーマ

Design - Generative Systems
Design - Collaboration and Participation
Design - Algorithmic and Parametric 1, 2, 3
Design - Artificial Intelligence
Design - Shape grammars and ruled systems
Challenges - Education and Research
Challenges - History and future CAAD
Challenges - Cultural Heritage
Challenges - Art and Digital Poesies
Challenges - Sustainability +Cultural Heritage
Challenges - Big Data and Analytics
Matter - Fabrication and Construction 1, 2
Matter - Digital Production and Robotics 1, 2
Matter - Additive Manufacturing
Matter - Material Studies and Innovation
Data - Building Information Modelling 1, 2
Data - Smart Cities
Data - City Information Modelling and GIS
Interaction - Human-Computer
Interaction - Responsive Environments
Simulation - Prediction and Evaluation
Simulation - Virtual and Augmented Reality 1, 2

今回は、Extended Abstract(1500 words)の投稿が50ヶ国より649編集まり過去最高記録を更新、最終的に掲載されたのが221編と、ハイレベルな競争となりました。この他、カンファレンスの前日2日間には9つのワークショップが開催されました。

Proceedingsの全論文は以下よりアクセス可能です。いずれ、一般的な論文データベースにも登録される予定です。研究室からは下記の2件を論文発表しました。

Cumincad : CUMINCAD Papers : Search Results (eCAADe + SIGraDi 2019)

AUTHORS: Daiki Kido, Tomohiro Fukuda, Nobuyoshi Yabuki
TITLE: Development of a Semantic Segmentation System for Dynamic Occlusion Handling in Mixed Reality for Landscape Simulation
PUBLICATION: Sousa, JP, Xavier, JP and Castro Henriques, G (eds.), Architecture in the Age of the 4th Industrial Revolution - Proceedings of the 37th eCAADe and 23rd SIGraDi Conference - Volume 1, University of Porto, Porto, Portugal, 11-13 September 2019, pp. 641-648, http://papers.cumincad.org/cgi-bin/works/paper/ecaadesigradi2019_117

AUTHORS: Tomohiro Fukuda, Marcos Novak, Hiroyuki Fujii
TITLE: Development of Segmentation-Rendering on Virtual Reality for Training Deep-learning, Simulating Landscapes and Advanced User Experience
PUBLICATION: Sousa, JP, Xavier, JP and Castro Henriques, G (eds.), Architecture in the Age of the 4th Industrial Revolution - Proceedings of the 37th eCAADe and 23rd SIGraDi Conference - Volume 2, University of Porto, Porto, Portugal, 11-13 September 2019, pp. 433-440, http://papers.cumincad.org/cgi-bin/works/paper/ecaadesigradi2019_065

また、セッションチェア 閉会式前のパネルディスカッション(Closing Roundtable Discussion)の登壇、閉会式での CAADRIA 2020バンコク(2020年4月7-10日)の紹介を行いました。

来年の eCAADe 2020 はドイツ・ベルリン(2020年9月16-18日)、SIGraDi 2020 はコロンビア・メデリン(2020年11月18-20日)で開催されます。

日本建築学会大会2019 @ 金沢に参加しました。

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研究室の学生たちと@金沢工業大学
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研究協議会「建築・都市分野のVR・MR技術の展望」-1
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研究協議会「建築・都市分野のVR・MR技術の展望」-2
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研究協議会「建築・都市分野のVR・MR技術の展望」資料(初日で売切れました)

9月上旬、2019年度日本建築学会大会[北陸]に参加しました。今年は、金沢工業大学で開催されました。建築家・都市計画家 大谷幸夫氏らによるキャンパス設計。

今年は、主査を仰せつかっている建築・都市VR・MR小委員会(情報システム技術委員会 傘下)にて研究協議会「建築・都市分野のVR・MR技術の展望」をメンバーで約1年間、企画しました。研究協議会用に資料集も作成しました。

研究協議会は2日目午後に開催されたのですが、資料集160部は初日夕方には売切れてしまいました。2日以降に来られた方には申し訳なかったです。また、研究協議会は、定員165名を遥かに上回る方々にお越し頂きました。笹田さんのまとめにもありましたが「遊び心」を大切に新たな取り組みにチャレンジしていきたいと思いました。

研究協議会のプログラムは、以下の通りです。

情報システム技術部門 研究協議会「建築・都市分野のVR・MR技術の展望」
日時 2019年9月4日(水)14:00~17:30
会場 金沢工業大学 5号館5・201室
司会 倉田成人(筑波技術大学
副司会 松永直美(レモン画翠)
記録 大石智久(パナソニック
1. 主旨説明 福田知弘(大阪大学
2. 主題解説
1) 建築・都市VR・MRとシミュレーション・AIの融合 福田知弘(前掲)
2) ゼネコンにおけるVRの活用と期待 上田淳(清水建設
3) BIMとVR 濱地和雄(オートデスク)
4) 国内外のVR・MRに関する動向について 安藤幸央(エクサ)
3. 討論 コーディネーター 大西康伸(熊本大学
4. まとめ 笹田岳(鹿島建設

研究協議会頒布資料の目次は、以下の通りです。登壇者に加えて、研究協議会のテーマに相応しい専門家の皆様にご寄稿頂きました。

1.主題解説・討論
1) 建築・都市VR・MRとシミュレーション・AIの融合
 福田 知弘(大阪大学
2) ゼネコンにおけるVR/MRの活用と期待
 上田 淳(清水建設
3) BIMとVRの現状と今後の展望:BIMを活用したVRの事例
 濱地 和雄(オートデスク)
4) 国内外のVR・MRに関する動向に関して:VR空間における建築物の正しいスケール感に関する考察
 安藤 幸央(エクサ)
5) 情報表現のパラダイムシフト:平面的情報空間から立体的情報空間へ
 大西 康伸(熊本大学

2.寄稿論文
1) デジタルツインに向けて:建築学復権できるか
 渡辺 俊(筑波大学
2) VR・MR研究の動向と建築・都市分野への応用における展望
 清川 清(奈良先端科学技術大学院大学
3) オフライン上の聖地としての「家」:肉体を放棄した民たちの成れの果て
 楢原 太郎(ニュージャージー工科大学)
4) VR技術の建築設計への応用と建築情報教育
 倉田 成人(筑波技術大学
5) xR技術を中心とした分野横断の学習・教育の場づくり
 下川 雄一(金沢工業大学
6) VR等技術を用いた行政課題解決への取組について:近江八幡市におけるVR安土城プロジェクトを事例として
 伴 浩和・才本 佳孝(近江八幡市
7) 観光地における街路空間再配分による公共高質空間の新たな創造:3D-VRを援用した設計計画手法 水木しげるロードリニューアルの事例
 灘 英樹(境港市
8) JR御茶の水駅「バリアフリー整備等工事」について:まちづくりの合意形成におけるVR技術活用の提案
 松永 直美(レモン画翠)
9) 建築・都市分野のVR・MR技術の展望:設計業務におけるVR・MR技術の利活用について
 吉田 哲・四戸 俊介・二本松 千絵(日建設計
10) クライアントと体験を共有する:建築設計事務所におけるVR 利用事例
 戸泉 協・繁戸 和幸・高野 直樹(安井建築設計事務所
11) 公共事業やまちづくりにおける行政の3次元データ継続活用に関する考察
 田上 恭也・大石 智久(パナソニック
12) VR・ARを活用した被災エリアの復興支援:エリアデザインのための合意形成支援技術
 本間 里見(熊本大学
13) 建築・都市分野におけるVRシミュレーションソフトウェアの効果について
 松山 洋人(フォーラムエイト)
14) ゲームを動かす技術とバーチャルリアリティ:誰でもできる研究VR
 簗瀬 洋平(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン)
15) xR建築理論(xR建築,xR建築家)を目指したい基礎研究:VR空間における空間知覚と印象の検証
 山田 悟史・北本 英里子・横田 芙実子・村上 雅也(立命館大学
16) 価値探究のための設計空間としてのVRの活用
 酒谷 粋将・四宮 駿介(関東学院大学
17) VE:Virtual Experience
 木村 謙(エーアンドエー)
18) 夢の解像度:仮想現実と金縛りと頬つねり
 小林 佳弘(アリゾナ州立大学)
19) 終末期医療におけるVRを活用したケアの実践と課題
 仁木 一順(大阪大学
20) AR/MRのための要素技術と建築分野への適用試行
 加戸 啓太・平沢 岳人(千葉大学
21) 構造物維持管理業務効率化のためのARシステムの開発
 倉橋 哲弘・佐藤 隆洋(日本工営
22) 集団的合意形成とAR:CityScope の仕組みと応用
 酒井 康史(MIT)

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研究発表(左:石川,右:池野)

研究室からは、大学院生2名が以下の内容を発表しました。彼らにとって、外部発表の実質デビュー戦となりましたが、英語で論文を執筆し、英語で発表しました。益々、成長して頂ければ幸いです。

○石川大地(大阪大)・福田知弘・矢吹信喜:Development of a Telepresence System for Sharing 3D Physical Objects Using Real-time Point Clouds, 日本建築学会大会(北陸)学術講演梗概集(情報システム技術), 13-14, 2019.9.

○池野和之介(大阪大)・福田知弘・矢吹信喜:Development of Visualization System for Sound Environment Simulation of Disaster Administrative Radio Using Mixed Reality, 日本建築学会大会(北陸)学術講演梗概集(情報システム技術), 195-196, 2019.9. 

都市とITとが出合うところ 第64回 テレプレゼンス(2)

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オープンキャンパスでのテレプレゼンス

開発したテレプレゼンスシステムを試してみた。

最初は、中高生を対象としたオープンキャンパスに適用した。このイベント会場は、大阪大学豊中キャンパスであり、筆者の研究室がある吹田キャンパスとは遠く離れた場所での開催となった。そこで研究室に訪問したことのない中高生に、研究室をバーチャル体験してもらいたいと考えた。近年では、360度カメラで撮影した建築空間(研究室)をHMD(ヘッドマウントディスプレイ)で眺めるVRシステムが普及しているが、今回は、リアルタイム性をより高めたバーチャル体験システムを目指した。そこで、2人1組の参加者の片方(参加者A。中高生の友人同士か、中高生とその保護者)が、研究室に瞬間移動した上にその動きをリアルタイムに表現する3次元風景を作り出し、もう片方の参加者(参加者B)はHMDを装着して研究室の参加者Aに出会うシナリオとした。

そこで、参加者Aの3次元リアルタイム点群をKinectにより随時生成し、別途用意した研究室の3次元モデルにリアルタイム合成して、参加者BのHMD(ホロレンズ)に転送するプロトタイプを構築した。BIMモデルとリアルタイム点群との位置とスケールは、PCのゲームエンジン上で調節した。

オープンキャンパス当日、参加者AはKinectの前に座る(図1)。もちろん動いても構わない(実際、頭や手を動かしたり、手を振るなどの動作をしていた)。参加者Aの姿かたちとその動作はリアルタイム点群として、BIMで作った研究室の椅子に座っているかのごとく合成される。参加者BはHMDを装着して、体験ブース内を自由に動き回りながら、参加者Aが研究室にテレプレゼンスしている様子を体験した(図2)。参加者Bは未踏の研究室に顔見知りの参加者Aがテレプレゼンスしていることで、研究室のスケール感や雰囲気を仮想体験できたようである。

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設計検討でのテレプレゼンス

次に、模型等の3次元物体を参加者A(例:設計者)が操作しながら設計検討したり、他者(施主や設計者など)へプレゼンする様子を、離れた場所にいる参加

者BがHMDを着用してリアルタイムに3次元観察したり、聴講したりできるシーンを想定した。

模型(実験では、1/500スケールの都市模型)は机上に置かれているため、参加者Bの近傍にも机を配置して、この机上に模型が置かれているように位置合わせした(図3)。参加者Bは、室内を自由に動き回り、参加者Aと模型の様子を,リアルタイム点群で3次元確認することができる(図4)。

このように、テレプレゼンスシステムを開発し、実際のシーンで使ってみた。その有用性と可能性が確認できると共に、いくつかの課題が明らかになった。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1909machinami_FukudaFinal.pdf

(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2019年9月号)

日本建築学会大会(北陸)研究協議会「建築・都市分野のVR・MR技術の展望」(9/4 14)

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日本建築学会大会(北陸) 研究協議会「建築・都市分野のVR・MR技術の展望」がいよいよ近づいて参りました。当日、お会いできますこと、楽しみにしております。大会当日、総合受付付近の資料頒布所にて研究協議会資料を販売しております。販売部数は限られているそうです。お早めに頒布所にいらしてください。いい天気に恵まれますように。

taikai.aij.or.jp

情報システム技術部門 研究協議会「建築・都市分野のVR・MR技術の展望」

日時 2019年9月4日(水)14:00~17:30
会場 金沢工業大学 5号館5・201室
司会 倉田成人(筑波技術大学
副司会 松永直美(レモン画翠)
記録 大石智久(パナソニック
1. 主旨説明 福田知弘(大阪大学
2. 主題解説
1) 建築・都市VR・MRとシミュレーション・AIの融合 福田知弘(前掲)
2) ゼネコンにおけるVRの活用と期待 上田淳(清水建設
3) BIMとVR 濱地和雄(オートデスク)
4) 国内外のVR・MRに関する動向について 安藤幸央(エクサ)
3. 討論 コーディネーター 大西康伸(熊本大学
4. まとめ 笹田岳(鹿島建設

研究協議会資料 目次
1.主題解説・討論
1) 建築・都市VR・MRとシミュレーション・AIの融合
 福田 知弘(大阪大学
2) ゼネコンにおけるVR/MRの活用と期待
 上田 淳(清水建設
3) BIMとVRの現状と今後の展望:BIMを活用したVRの事例
 濱地 和雄(オートデスク)
4) 国内外のVR・MRに関する動向に関して:VR空間における建築物の正しいスケール感に関する考察
 安藤 幸央(エクサ)
5) 情報表現のパラダイムシフト:平面的情報空間から立体的情報空間へ
 大西 康伸(熊本大学
2.寄稿論文
1) デジタルツインに向けて:建築学復権できるか
 渡辺 俊(筑波大学
2) VR・MR研究の動向と建築・都市分野への応用における展望
 清川 清(奈良先端科学技術大学院大学
3) オフライン上の聖地としての「家」:肉体を放棄した民たちの成れの果て
 楢原 太郎(ニュージャージー工科大学)
4) VR技術の建築設計への応用と建築情報教育
 倉田 成人(筑波技術大学
5) xR技術を中心とした分野横断の学習・教育の場づくり
 下川 雄一(金沢工業大学
6) VR等技術を用いた行政課題解決への取組について:近江八幡市におけるVR安土城プロジェクトを事例として
 伴 浩和・才本 佳孝(近江八幡市
7) 観光地における街路空間再配分による公共高質空間の新たな創造:3D-VRを援用した設計計画手法 水木しげるロードリニューアルの事例
 灘 英樹(境港市
8) JR御茶の水駅「バリアフリー整備等工事」について:まちづくりの合意形成におけるVR技術活用の提案
 松永 直美(レモン画翠)
9) 建築・都市分野のVR・MR技術の展望:設計業務におけるVR・MR技術の利活用について
 吉田 哲・四戸 俊介・二本松 千絵(日建設計
10) クライアントと体験を共有する:建築設計事務所におけるVR 利用事例
 戸泉 協・繁戸 和幸・高野 直樹(安井建築設計事務所
11) 公共事業やまちづくりにおける行政の3次元データ継続活用に関する考察
 田上 恭也・大石 智久(パナソニック
12) VR・ARを活用した被災エリアの復興支援:エリアデザインのための合意形成支援技術
 本間 里見(熊本大学
13) 建築・都市分野におけるVRシミュレーションソフトウェアの効果について
 松山 洋人(フォーラムエイト)
14) ゲームを動かす技術とバーチャルリアリティ:誰でもできる研究VR
 𥱋瀨 洋平(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン)
15) xR建築理論(xR建築,xR建築家)を目指したい基礎研究:VR空間における空間知覚と印象の検証
 山田 悟史・北本 英里子・横田 芙実子・村上 雅也(立命館大学
16) 価値探究のための設計空間としてのVRの活用
 酒谷 粋将・四宮 駿介(関東学院大学
17) VE:Virtual Experience
 木村 謙(エーアンドエー)
18) 夢の解像度:仮想現実と金縛りと頬つねり
 小林 佳弘(アリゾナ州立大学)
19) 終末期医療におけるVRを活用したケアの実践と課題
 仁木 一順(大阪大学
20) AR/MRのための要素技術と建築分野への適用試行
 加戸 啓太・平沢 岳人(千葉大学
21) 構造物維持管理業務効率化のためのARシステムの開発
 倉橋 哲弘・佐藤 隆洋(日本工営
22) 集団的合意形成とAR:CityScope の仕組みと応用
 酒井 康史(MIT)