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福田知弘の公式ブログです。

都市とITとが出合うところ 第64回 テレプレゼンス(2)

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オープンキャンパスでのテレプレゼンス

開発したテレプレゼンスシステムを試してみた。

最初は、中高生を対象としたオープンキャンパスに適用した。このイベント会場は、大阪大学豊中キャンパスであり、筆者の研究室がある吹田キャンパスとは遠く離れた場所での開催となった。そこで研究室に訪問したことのない中高生に、研究室をバーチャル体験してもらいたいと考えた。近年では、360度カメラで撮影した建築空間(研究室)をHMD(ヘッドマウントディスプレイ)で眺めるVRシステムが普及しているが、今回は、リアルタイム性をより高めたバーチャル体験システムを目指した。そこで、2人1組の参加者の片方(参加者A。中高生の友人同士か、中高生とその保護者)が、研究室に瞬間移動した上にその動きをリアルタイムに表現する3次元風景を作り出し、もう片方の参加者(参加者B)はHMDを装着して研究室の参加者Aに出会うシナリオとした。

そこで、参加者Aの3次元リアルタイム点群をKinectにより随時生成し、別途用意した研究室の3次元モデルにリアルタイム合成して、参加者BのHMD(ホロレンズ)に転送するプロトタイプを構築した。BIMモデルとリアルタイム点群との位置とスケールは、PCのゲームエンジン上で調節した。

オープンキャンパス当日、参加者AはKinectの前に座る(図1)。もちろん動いても構わない(実際、頭や手を動かしたり、手を振るなどの動作をしていた)。参加者Aの姿かたちとその動作はリアルタイム点群として、BIMで作った研究室の椅子に座っているかのごとく合成される。参加者BはHMDを装着して、体験ブース内を自由に動き回りながら、参加者Aが研究室にテレプレゼンスしている様子を体験した(図2)。参加者Bは未踏の研究室に顔見知りの参加者Aがテレプレゼンスしていることで、研究室のスケール感や雰囲気を仮想体験できたようである。

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設計検討でのテレプレゼンス

次に、模型等の3次元物体を参加者A(例:設計者)が操作しながら設計検討したり、他者(施主や設計者など)へプレゼンする様子を、離れた場所にいる参加

者BがHMDを着用してリアルタイムに3次元観察したり、聴講したりできるシーンを想定した。

模型(実験では、1/500スケールの都市模型)は机上に置かれているため、参加者Bの近傍にも机を配置して、この机上に模型が置かれているように位置合わせした(図3)。参加者Bは、室内を自由に動き回り、参加者Aと模型の様子を,リアルタイム点群で3次元確認することができる(図4)。

このように、テレプレゼンスシステムを開発し、実際のシーンで使ってみた。その有用性と可能性が確認できると共に、いくつかの課題が明らかになった。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1909machinami_FukudaFinal.pdf

(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2019年9月号)