ふくだぶろーぐ

福田知弘の公式ブログです。

都市と建築のブログ vol.58 豊田:toyocba up!

toyocba(とよしば)

梅雨がもう明けて、毎日、暑いですね。熱中症にはお気をつけてください。

都市と建築のブログ Vol.58(2022年7月号)は「豊田:toyocba」をご紹介します。

フォーラムエイト・ラリージャパン2022(日本での世界ラリー選手権、通称WRC)が11月に愛知県と岐阜県で開催されることになりました。そこで、2022年の都市と建築のブログは、ラリーの地を巡っています。1月号の名古屋、4月号の岡崎に続いて、7月号は豊田です。

豊田の後半では再び岡崎に向かうことになりますが、ここでチョンボを繰り返しました。後で思えば、これぞ、旅(笑)。

豊田美術館で自撮り。どうやって撮影したか、お判りでしょうか?

都市と建築のブログ 総覧

2021年11月、「都市と建築のブログ 総覧」電子版を上梓させて頂きました。書籍版とともに、以下よりお求めいただけます。ご笑覧いただければ幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

都市とITとが出合うところ 第93回 廃プラスチックをロボットで3Dプリンティングした空調システム

写真1 廃プラスチックをロボットで3Dプリンティングした設備ダクト(SR2)のプレゼンテーション

写真2 BVN Studio。天井を見上げるとSR2が実装されている。

タウンホールにある建築設計事務所

CAADRIA 2022 シドニーでは、ランチタイムに、有志が参加できるテクニカルツアーを企画してくれた。訪問先は、建築設計事務所BVNのStudio。CAADRIA2022学会場・パワーハウスミュージアムから歩いてチャイナタウン停留所に行き、そこからタウンホール停留所までトラムに乗る。トラムを下車してから少し歩いて、ヒルトンホテルが入る高層ビルへ。20分ほどの行程、都心はやはり便利である。

オフィスに入ると、仕切りのない大部屋が広がり、ミーティングテーブルには昼食が並んでいる。参加者は思い思いに腰かけて昼食をいただく。間もなく、事務所スタッフによるプレゼンテーションが始まった(写真1)。

廃プラスチックを3Dプリントした空調システム

プレゼンテーションは、BVN の取組みと、BVN Studioの設計について。すなわち、筆者らが訪問している現実世界BVN Studioの設計内容がスクリーンに映し出され、ムービーやスライドで解説が加わる。

特筆すべき設計内容は、BVNがシドニー工科大学と開発したSR2(Systems Reef 2)と呼ばれる空調システム。廃プラスチックを3Dプリンティングした設備ダクトや接続部品で構成されている。3Dプリントする素材は、廃棄物から再生された軽量なPET-Gプラスチックであり、ロボットが3Dプリンティングした半透明のダクトと接続部や固定部である(写真2)。

この空調システムは、既存、および、新規のHVACシステム(暖房、換気、および空調)に、簡単に接続することができる。また、従来の(というか、世の中に普及している)金属製ダクトはコスト超重視で設計されているが、CFD(計算流体力学)による空気のシミュレーションによりダクトおよび全体システムが設計されている。従来の十分に検討されていないダクトは、必要以上の大きさで設計されていたり、冗長であることの可能性も指摘していた。

素材について

PET-Gプラスチックは、循環型素材であるため、分解、粉砕、再圧縮が簡単に可能で、材料のサプライチェーンに戻して新しい製品を作ることもできる。

これらの先進性と廃プラスチックの利用により、従来のスチール製ダクトと比較して、システムのエンボディドカーボン(原材料の調達・製造・建築・解体などの過程で排出されるCO2)を90%削減することができた。

おわりに

設計・製作された空調システムが実装された実空間を眺めながら、その設計者に解説してもらうという又とない機会となった。廃プラスチックをロボットで3Dプリンティングした設備ダクトを実装した例は珍しいのではないだろうか。

他に驚いたことは、建築設計事務所フリーアドレス化とペーパーレス化が進んでおり、事務所自体がスッキリとしていたことである。一方で、全てがデジタルに置き換わってしまったのかというとそうではなく、例えば、手作りの模型と3Dプリンティングは、ニーズに応じて使い分けられている。

リアルとバーチャル、フィジカルとデジタル。その片方あるいは両方を必要に応じて活用できるスキルと選択の判断力は、今後ますます求められてくるのだろう。

都市とITとが出合うところ 第92回 CAADRIA 2022シドニーでの帰国準備

写真1 CAADRIA 2022国際学会。(1枚目)オープニングセレモニー。パワーハウス博物館で対面とオンラインのハイブリッド方式で開催された。(2枚目)現地参加者による集合写真。

写真2 シドニーオペラハウスのオリジナル設計図とオリジナル模型の見学会。

CAADRIA 2022国際学会:シドニーに到着

先月号に引き続き、2022年4月、第27回 CAADRIA 2022国際学会(アジア・オセアニア地域をホストとする建築・都市設計のコンピュータ応用に関する国際学会)に現地出席した時の模様である。

本稿では、シドニー現地での帰国準備と学会の様子を紹介したい。

オーストラリア出国前72時間以内のPCR検査

オーストラリアから日本へ入国(帰国)するためには、オーストラリア出国前72時間以内の新型コロナウィルス検査証明書が必要である。厚生労働省が指定するフォーマットで書かれた検査証明書の提出が強く求められており、これに対応してくれる医療機関PCR検査機関を現地で探す必要がある。

東京からの深夜便でオーストラリアに入国するや否や、帰国の手配をはじめないといけないのは少々億劫であったのだが、上記に対応してくれそうな医療機関を探した。

医療機関で予約をして、医師の問診をオンラインで受けた結果、PCR検査の指示書をメールで送ってもらえた。

PCR検査指示書をプリントアウト

PCR検査は別の機関で行われるため、医師からの指示書をプリントアウトして持参する必要があった。

シドニーのコンビニは、日本のように印刷サービスはなさそうである。そこで、Googleマップで「printing」と入力して検索するといくつかの印刷サービスが見つかった。Googleマップでは、あるエリアの印刷サービスを表示してくれるだけでなく、現在営業中かどうか、ユーザーの評価はどうか、などでフィルタリングすることができる。

印刷作業はCAADRIA学会に参加しながら行う必要があり、会場近くにある、個人経営の印刷屋さんで印刷してもらった。

PCR検査

PCR検査機関は朝7:30から営業開始。ホテルから路線バスに乗って、検査機関に到着すると、同じような境遇の人たちが、開店前のスーパーみたく並んでいた。

PCR検査を終えると、厚生労働省の指定フォーマットで書かれた陰性証明書がメールでその日中に送られてきた。この証明書もまた、プリントアウトする必要があった。

ここで強く感じたのは、現地でコロナ陽性結果が出た場合には、以降のスケジュールが大きく変わってしまうことである。

オンラインチェックインとMySOSの登録

帰国する空港(今回は羽田空港)では検疫手続きを行う必要があるが、アプリ「MySOS」に事前登録しておけば、手続きが速くなる(ファストトラック)。

そのため、MySOSアプリのインストールした上で、質問票、誓約書、ワクチン接種証明書、出国前72時間以内の検査証明書を登録した。アプリの画面が最初は赤色であるが、事前審査が完了すると緑色になる。

この中で、質問票では、日本到着日、利用航空機の会社名と便名、座席番号などを入力する必要がある。そのため、MySOSで登録するより前に、飛行機のオンラインチェックインを済ませておいた方がよりスムーズである。

ここまでの登録をシドニー現地で終えると、あとはシドニー国際空港でチェックイン、搭乗となる。

CAADRIA 2022学会の様子

CAADRIA 2022が開催されたシドニー現地会場には、筆者ら日本、開催国であるオーストラリアの各都市の他、確認できた範囲ではあるが、米国、シンガポール、ドイツ、スイスなどから参加されていた。学会全体としては、オンライン参加者が圧倒的に多く、492名であった。

CAADRIA国際学会は、1996年より年次大会が毎年開催されてきた。コロナ禍となった、2020年、2021年はそれぞれ、主催者を務めたバンコク、香港のチームが現地の雰囲気を伝えていたものの、海外からの現地参加は見込めなかったため、研究発表の方式はフルオンラインであった。少々否定的な書き方をしたかもしれないが、フルオンライン発表自体を初めて行うことにより、休止することなく、開催できたのである。

そして、シドニーチームが主催者を務めた今年は、発表のプラットフォームをZoomウェビナーとして、対面参加者とオンライン参加者のニーズに合わせた、初めての本格的なハイブリッドカンファレンスとなった(写真1)。

現地に参加して貴重な経験は、筆者らのチームによる研究発表、他の研究者や学生の研究発表の聴講やそれに関する議論に加えて、参加者との新たな出会い、再会や、彼らとの語らいである。加えて、シドニーオペラハウスのオリジナルの設計図とオリジナルの模型を見学できたことも挙げておきたい(写真2)。

都市とITとが出合うところ 第91回 CAADRIA 2022シドニー現地をめざして

ゴールデンウィークいかがお過ごしでしょうか?

「都市とITとが出合うところ」第91回は「CAADRIA 2022シドニー現地をめざして」をお届けします。

CAADRIA 2022国際学会

第27回 CAADRIA 2022 国際学会(アジア・オセアニア地域をホストとする建築・都市設計のコンピュータ応用に関する国際学会)は、シドニーにある3つの大学の共同ホストにより4月中旬に開催される。できればシドニー現地で発表して、現地に集まる仲間と交流したい。

日本から出国してオーストラリアに入国できるのか、また、オーストラリアから出国して日本に再入国できるのか、状況をチェックしていった。

シドニー現地に行くべく、執筆時点(2022年4月上旬)の様子をお知らせしたい。

オーストラリアへの入国について

オーストラリア政府は、2022年2月21日より、有効なビザ(査証)を持つすべての人に対して国境を開いた。新型コロナウイルスワクチンの2回の接種完了が必要とされ、入国後は各州の規制に従う必要があるものの、2月21日以降は全世界から観光客がオーストラリアを訪問することが可能になった。

日本国籍の方は、以下の条件を満たせばオーストラリアに入国できる。

  • ワクチン接種を完了している。
  • 有効なオーストラリアのビザを保有している。
  • ワクチン接種の状況を証明する内容を提供できる。
  • DPD(Digital Passengers Declaration:デジタル乗客宣言)に登録している。
  • 出発前72時間以内に行ったPCR検査の陰性証明書を提示できる。

上記の手続きを済ませ、出発前にPCR検査が陰性であれば出国できる見通しとなった。

日本への再入国について

日本政府は、2022年3月1日より、待機期間・待機場所については、7日間待機を原則としたうえで、「3日待機指定国」からの入国か否か、条件を満たした有効な新型コロナワクチン接種証明書を所持しているか否かによって、入国後の待機期間と待機場所が大幅に変更された。

オーストラリアから日本へ帰国する場合、「3日待機指定国」ではないため、ワクチン3回目追加接種者は、入国後の自宅等待機は求められないことになった。

一方、ワクチン3回目を接種していない方は、原則7日間の自宅等待機が求められ、入国後3日目以降に自主的に受けた検査の結果が陰性であれば、その後の自宅等待機の継続は求められない。

ワクチン3回目を接種すれば、帰国後の活動は通常通りできる見通しとなった(前提:PCR検査で陰性)。

ワクチン3回目接種とアプリでの接種証明書発行

ワクチン3回目接種を済ませ、3回目を含む接種証明書をスマホアプリ「新型コロナワクチン接種証明書アプリ(以下、接種証明書)」で取得した。

海外向けの接種証明書を発行するためには、マイナンバーカードとパスポートが必要である。さらに、証明書を発行するためにはマイナンバーやパスポートの番号を入力するだけでは不十分で、マイナンバーカードやパスポートの実物が要ることを知った。マイナンバーカードやパスポートの実物に埋め込まれたチップと、「接種証明書」アプリがインストールされたスマホが直接出会うことで認証され、証明書が発行される仕組みである。

3回目接種は、1・2回目と同じく職域接種としたため、アプリで証明書が発行できるまでに4日かかったが、書面で発行してもらうよりも手間暇は圧倒的に少ない。市町村接種の場合は、接種から証明書発行までの時間はもっと短いかもしれない。

オーストラリア・ビザの申請

オーストラリアのビザ・ETA(Electric Travel Authority :電子渡航許可)の取得方法は、上記の接種証明書と似ている。

以前はPCのウェブサイトからでもETASを申請できたが、スマホアプリのみとなった。本人が、スマホアプリ「Australian ETA」で申請する。

申請プロセスでは、パスポートをスマホカメラで読み取ることで、筆者のパスポート番号や顔写真がアプリに自動登録された。次のステップでは、スマホカメラで筆者自身を自撮りして生体認証を行った。

デジタル乗客宣言の申請

DPD(デジタル乗客宣言)もスマホアプリ「Australia DPD」で、旅や検疫の詳細を登録する。

使い方はETAと同様であり、実物のパスポートで登録した後、自撮りで生体認証を行う。一方、DPDの場合は出国7日前〜72時間前までに作業する必要があった。

オーストラリア入国の情報収集について

オーストラリア入国に関する情報は、日本のオーストラリア大使館では扱っておらず、オーストラリア内務省のサイトで確認する必要があるが、わかりやすく構成されているため、理解しやすい。

一連の作業を通じて感じたことは、スマホが単なる情報収集・編集・保存のためのツールではなく、自分の身代わりのような存在となってきたことである。

チップが埋め込まれたマイナンバーカードやパスポートも身代わりの度合いが高くなった。

PCR検査の陰性証明書(海外渡航用)

出国への最後の関門は、出国72時間前以内に受けるPCR検査。英文の陰性証明書を発行してもらう必要がある。この検査の価格は、1.5万円~5万円ほどとバラツキが大きい。

そしてこのPCR検査でもし、陽性反応がでたら、出国はできない…

写真1 羽田空港第3ターミナル。減便にともない、関空からではなく、東京からシドニーへ向かう

都市とITとが出合うところ 第90回 中之島で見つけた片想いの橋は今・・・

2014年4月からスタートした「都市とITとが出合うところ」は、9年目の春を迎えることになりました。いつもお読みいただき、ありがとうございます。

本年度もどうぞよろしくお願いいたします。

第90回は、「中之島で見つけた片想いの橋は今・・・」をお届けします。

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写真1 「片想いの橋」中之島四季の丘より(2016年5月撮影)

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写真2 「両想いとなった橋」写真1と同じアングルより(2022年3月撮影)

ダイビル本館

中之島・田蓑橋(たみのばし)の南詰には、「ダイビル本館」という高層ビルが建っています。初代の旧ダイビル本館(以降、旧ビル)は、1925年(大正14年)に完成しました。当時は、西日本一の規模だったそうです。

二代目となるダイビル本館(以降、新ビル)は、歴史や環境に配慮しながら、2013年(平成25年)に再生されました。

低層部には、旧ビルで使われていたレンガや石材が、旧ビルの解体時に手作業で取り外され、新ビルで再利用されています。これは、中之島の歴史を継承するとともに、廃棄物の排出抑制と省資源化を図る取組みです。「CASBEE(キャスビー)」という、建築物の環境性能を評価する制度で最高ランクの「S」を取得され、「CASBEE大阪 OF THE YEAR 2013(現・おおさか環境にやさしい建築賞)」の最優秀賞も受賞されました。

中央玄関の半円アーチの上に飾られた「鷲と少女の像」、ギリシャ風彫刻が施されている1階正面の列柱など、旧ビルの材料が再利用されたり、新しい材料も使われたりしているそうですが、見分けるのは至難の業です。

 

中之島四季の丘

さて、新ビルの再生に併せて「中之島四季の丘」が整備されました。たくさんの花や樹木が植えられて、都心の貴重な緑となり、四季折々の表情を醸し出しています。カーブを描いたスロープを上りながら、時おりふり返ってみると、大阪都心の風景が目に飛び込んできます。

数年前のこと。四季の丘の頂上にたどり着くと、真ん中あたりで途切れた橋がありました(写真1)。

橋はふつう、こちら側と、あちら側を結ぶために架けられます。なので、勝手ながら、「片想いの橋」と呼んでいました。

年月が経ち、「片想いの橋」はようやくつながりました。西側に完成した、大阪中之島美術館が2022年2月2日にオープンしたためです(写真2)。

街を歩いていると、このような「片想いの橋」に出会うことがあります。しばらくは「片想い」でありながら、「こちら」が工事をしている内に、将来の「両想い」を期待して橋を計画しておかないと、「あちら」の工事がはじまったら架ける場所がなくなってしまうかもしれない。計画したとしても、ずっと「片想い」かもしれませんが・・・

このような「関係のデザイン」は本当に難しい。

 

関係のデザイン

大阪中之島美術館へ「両想いとなった橋」を渡ると、橋の終点でちょっとした気遣いを発見しました(写真3)。「関係のデザイン」と言えるかもしれません。

美術館の敷地側には黒いボックスが置かれてあります。オモテ面(美術館側)は、美術館の案内図、デジタルサイネージ、自販機が入っているのですが、そのウラ面(橋側)には、「大阪中之島美術館」とデザインされたサインが描かれてあります(写真3)。

ガラス越しで少々見づらくはあるのですが、「両想いとなった橋」を渡ってくる来場者を意識して検討されたのだろうと感じました。

このような場所にはよく、あとで気づいた運営者側が、貼り紙サインをペタペタと貼られ、景観的に残念な結果になったりしています。

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写真3 「両想いとなった橋」を渡ってくる来場者を意識した「大阪中之島美術館」のサイン

都市と建築のブログ vol.57 岡崎:QURUWA up!

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徳川家康公像

明日から、2022年度ですね。新年度もどうぞよろしくお願いいたします。

都市と建築のブログ Vol.57(2022年4月号)は「岡崎:QURUWA」をご紹介します。

フォーラムエイト・ラリージャパン2022(日本での世界ラリー選手権、通称WRC)が11月に愛知県と岐阜県で開催されることになりました。そこで、2022年の都市と建築のブログは、ラリーの地を巡っています。1月号の名古屋に続いて、4月号は岡崎です。

2021年11月、「都市と建築のブログ 総覧」電子版を上梓させて頂きました。書籍版とともに、以下よりお求めいただけます。ご笑覧いただければ幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

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2022年第2回 都市環境デザインセミナー「XR・AI活動によるまちづくりとメディア・アーキテクチャ」の講演録が公開されました。

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2022年 第2回 都市環境デザインセミナー(ハイブリッド)で講演させて頂いた、

「XR・AI活動によるまちづくりとメディア・アーキテクチャ」の講演録が公開されました。

http://judi.sub.jp/judi/202202semi_fukuda.pdf

 

元となるサイト:都市環境デザイン会議・関西ブロック 

http://web.kyoto-inet.or.jp/org/gakugei/judi/index.htm

ご笑覧いただければ幸いです。


<日時> 2022年2月22日(火) 18:30~20:30
<趣旨>
デジタルトランスフォーメーション(DX)やスマートシティの時代といわれます。今回は、アカデミックな研究開発と実際の都市建築プロジェクトでの実用を重ねながら、デジタル技術やメディアアーキテクチャーについて考えてこられた福田先生を招きしました。
水木しげるロード丹後国分寺五重塔復活AR、渋谷スクランブルスクエア等のまちづくりでの実践事例、また、国際論文誌などで発表されている最新XR・AI研究開発事例についても紹介していただきました。

出版しました:Resilient and Responsible Smart Cities, Volume 2

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編集者の一人として従事させて頂いた書籍「Resilient and Responsible Smart Cities Volume 2」がSpringer社より本日出版されたようです。ご笑覧いただければ幸いです。

昨夏出版したVolume1では査読者のお名前が掲載されず大変残念に感じていましたが、今回は、Front Matterに掲載されています。骨を折ってくださった世界中のcolleaguesに感謝です。ありがとうございました。

Resilient and Responsible Smart Cities, Volume 2

Editors: Hassan Abdalla, Hugo Rodrigues, Vimal Gahlot, Mohammad Salah Uddin, Tomohiro Fukuda
Publisher: Springer
Hardcover ISBN: 978-3-030-86498-9
About this book: This book aims to establish a community with attention to land use to achieve sustainable development and meet the needs of today’s society. Urban planning depends on engineering, architectural, social and political pillars. It pursues this by proposing solutions, regulating environmental pollution and non-sustainable use of available resources. It showcases and even triggers further debate about connections between sustainable development, urban planning and technology in hopes of achieving sustainable development models that sustain urban expansion and shape cities that improve the overall quality of life. It views urban planning and development as vital fields that ensure the application of revolutionary approaches with new materials and processes incorporated in the most efficient manner.

link.springer.com

 

都市とITとが出合うところ 第89回 近場にアート発見!

早くも明日から3月ですね。

大阪府建築士事務所協会誌「まちなみ」で連載中の「都市とITとが出合うところ」第89回は、「近場にアート発見!」をご紹介します。

 

見えない風を見せてくれる

新宮晋さんのアートは、風や水の力で動く立体作品であり、自然を見える化してくれる。

筆者の職場がある大阪大学 吹田キャンパスの西側には、千里北公園という、吹田市で2番目に大きい公園が東西に広がっている。その広さは、30.1haもあり、ドーンと雄大だ。

千里北公園の小高い丘の上に、新宮さんの「風の道」というモニュメントがある(図1左・中)。完成は大阪万博の年、1970年。学生の頃から、空き時間を見つけては、風の道の間近に行って、ぼーと眺めたりしていた。高さは20mもあり、風を受けて、風車は回り、大小のモビールはゆらゆらと動く。

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図1(左・中) 「風の道」の動き

職場から見えた!

筆者のオフィスは、千里北公園の東端にほど近い、M3棟というビルにある。M3棟の中廊下は、西北西に向かって40mほど長く伸びている。ある日の朝、5階の廊下を歩いていると、なんと真正面に「風の道」があることに気づいた(図1右)。

M3棟に居住して6年が過ぎたが、筆者の居室がある4階のフロアからは木に遮られて見えず、ひとつ上の5階フロアに上がってもこれまで気づくことはなかった。

5階を歩いたこの日、早朝の廊下は暗いので屋外がクッキリと見える「フレーム効果」となったのであろうか、風が非常に強かったため「風の道」の黄色い風車がよく回っていたのであろうか。窓に貼り付いている消防隊進入口のシールもアートに見えてきた 笑。

どのくらい離れているのだろうと、地図で測ってみる。確かに、M3棟の軸線上にあり、M3棟からは800m離れていることがわかった(図2)。

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図1(右)M3棟5階廊下からの眺め

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図2 M3棟と「風の道」の関係(Google Earth

アートは近場にもある

コロナ禍はまだ続いており、移動や出会いに制限がかかり、不自由を感じる。アート鑑賞は、遠くに出かけるもの、今しばらくの辛抱かと思い込んでしまっていたが、近場でも楽しめることにも気づかされた。

近場で新宮さんの作品を当たれば、「風の道」のほか、千里中央公園には「森のささやき(1990年)」(図3)、吹田市文化会館メイシアター)には「空のイメージ(1985年)」(図4)がある。

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図3 森のささやき(千里中央公園)

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図4 空のイメージ(吹田市文化会館メイシアター))

 

都市とITとが出合うところ 第88回 eCAADe2022とCAADRIA2022年次大会の趣旨について

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図1 eCAADe 2022 公式サイト( https://kuleuven.ecaade2022.be/

2022年もどうぞよろしくお願いします。

大阪府建築士事務所協会誌「まちなみ」で連載中の「都市とITとが出合うところ」第88回は、「eCAADe2022とCAADRIA2022年次大会の趣旨について」ご紹介します。

 

eCAADe 2022: Co-creating the Future: Inclusion in and through Design

2022年9月に開催されるeCAADe 2022(欧州におけるコンピューテーショナル建築設計の教育と研究に関する学会)の論文募集が始まっている。300ワード+参考文献の提出は1月15日〆。テーマと趣旨を和訳すると以下となる。

“未来を共創する:デザインにおける、デザインを通じたインクルージョン

“空間デザインは、ますます社会的、参加的、包括的な実践となりつつある。この10年で、世界中の一般の人々が、都市化のプロセスや、都市を作り変えていく方法に対して、形成力を主張し始めている(Harvey, 2013)。デザイナーではない市民、活動家、アーティスト、デザイナーが始めたDIY協同組合の数が復活してきたのだ。

こうした動きと並行して、建築デザイン、都市デザイン、計画、意思決定のプロセスにさまざまな利害関係者を参加させるために、数多くのソーシャルテクノロジー、ツール、プラットフォームが開発されてきた。クラウドソーシングやクラウドファンディングのアプリケーションは、群衆の知恵を活用するために広く利用されるようになった。パラメトリックデザインとデジタルファブリケーションの新たな発展は、カスタマイズされた高度に多様化した製品の製造にユーザが参加する可能性を生み出した。人工知能とモノのインターネットの組み合わせにより、スマートビルディング、自律型デバイス、ロボット、ソフトウェアがエージェントやアクティブな参加者へと変わり始めた。人間と人工知能の集合体を利用する試みは、実践、研究、教育を組み合わせるための新たな道を開いた。

その一方で、建物や都市、公共、私的、集合的な空間を作る際に組み込まれたデジタルデバイス、ツール、プラットフォーム、エージェントがもたらす悪影響への懸念が高まっている。例えば、弱者や不利な立場にある市民の潜在的な排除、市民の力の企業への移転、個人の生活やデータの私有化、さらには技術的な制御や監視の強化による空間的な排除などが挙げられる。

このような状況の中、会議では以下のような問題が取り上げられる。

  • 空間デザイン製品の共創において、出現するデバイス、プラットフォーム、エージェント、デザイナーはどのような役割を果たすことができるのか?
  • どのようにすれば、包括的かつ倫理的な方法で、人間や人工知能の集合体を空間デザインに活用できるのか?
  • これらの実践の課題と、それに対処するための将来の方向性は何か?”

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図2 CAADRIA 2022 公式サイト( https://caadria2022.org/

CAADRIA 2022: “POST CARBON”

CAADRIA 2022(eCAADeのアジア・オセアニア版)では以下のテーマが出されている。国連のSDGs(持続可能な開発目標)17の目標との関連性を考慮して論文を投稿するように求めたのは初めてである。

“ポストカーボン”

“2050年までに世界の人口が100億人まで増加し、現在の継続的な経済成長、デジタル化、多くの国でのインフラ拡張と相まって、私たちは地球規模でのカーボンインパクトを再考する必要がある。

第4次産業革命とそれに伴う気候変動の影響は、海岸や河川の洪水、サイクロン、山火事、大気汚染、資源の減少、自然生息地の減少など、世界中の現象として私たちの多くが直接、体感することができる。

建築物は、建設中、ライフサイクル中、そして解体後に大量の炭素を生成・消費するため、炭素の方程式において、建築、都市設計、エンジニアリング、建設が重要な役割を果たしている。

このような状況において、計算機による設計、シミュレーション、分析、製作、管理は、複数の分野にまたがる影響の傾向と結果を評価、理解、予測することを可能にする。ポストカーボンの枠組みでは、建築物、インフラ、公共資源などの建築環境の質、持続可能性、回復力を向上させるために計算機を活用することができる。

したがって、会議のテーマである「ポストカーボン」は、気候変動が現実となった世界に対処するための、より緊密な対話、より良い協力関係、エージェントの増加、効果的な方法を特定するための、深遠な異なるアプローチを求めている。特に、極端な気候との共存、限られた資源との共存、生物多様性の減少を余儀なくされている中で、国連の持続可能な開発目標を取り上げた論文を募集する。

2022年に開催されるCAADRIAでは、建築、エンジニアリング、都市デザイン分野におけるポストカーボンの未来の実現に向けて、計算機を用いたデザイン手法、ツール、プロセスの適用に貢献している学者、研究者、実務者が一堂に会す。”

おわりに

上述したように、学会では、その会議で議論したいテーマと趣旨が示されて論文が募集されることが多い。テーマと趣旨は、当分野の課題が包括的にまとめられていることが多く、当分野の動向やキーワードを知るために役立つ。CADやBIMと聞くとソフトウェアの使い方のような範囲でついつい捉えてしまうが、狭くなった視野を大きく拡げるきっかけにもなる。

(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2022年1-2月合併号)