(この原稿は、eCAADe 2021国際学会に参加中の2021年9月10日に執筆しました。)
eCAADe 2021:セルビアを目指して
現在、セルビア第2の都市・ノヴィサドで開催されている、eCAADe2021国際学会に参加している。建築・都市とコンピュータの欧州学会である。
昨年は、パンデミックの影響により、初めてオンラインでの開催となった。今年は、対面とオンラインのハイブリッド方式での開催となった。
eCAADe2021の論文募集がはじまった昨年12月頃、来年こそは、と、ノヴィサドに訪問して対面発表する希望も込めて、学生たちと論文投稿するテーマを練った。
2021年がはじまり、梗概(アブストラクト)の投稿〆切が1月15日、その査読結果通知が2月15日、論文本体(フルペーパー)の投稿〆切が4月1日、そして、その査読結果通知が5月15日であった。
今年は、学生4名と筆者の計5名全員が受理(アクセプト)された。
対面参加かオンライン参加か
6月15日までに、採択された論文を論文集に掲載してもらうために、参加申込み(レジストレーション)と支払いを済ませないといけない。そして8月15日までに、対面参加するか、オンライン参加するか、決めないといけない。
通常であれば、参加登録と航空券とホテルを手配すれば、あとは現地訪問して発表するという流れである。
しかし今回は、現地の状況、出国・帰国時の受入れ状況、ワクチン・PCR検査の状況、職場の方針など、色々と調査・検討する必要があった。状況は刻々と変化するため、対面参加はさっさと諦めて、オンライン参加と決めてしまうのが効率的なのかもしれない。しかし、2020年2月よりこれまで、さっさと諦めざるをえない状況が続いており、「もしかしたら・・・」という希望も込めて、しばらく様子をみることにした。
グーグルマップで検索すると、「徒歩で」ノヴィサドを目指すと、ロシア経由で約94日かかることも分かった。
結局は、ご存知のとおり、7月に入ってパンデミックの状況がひどくなり、オンライン参加を決めた。たとえ出国できたとしても、帰国後の14日間の隔離が一番厳しいと感じた。
対面発表とオンライン発表を分けてのセッション
eCAADe2021は、対面発表16題とオンライン発表94題を別のセッションとして運営していた。
対面発表は、これまでのように、1題13分の持ち時間で、ノヴィサド大学の会場で発表された。発表内容は、会場のスクリーンに投影して対面参加者へ、マイクロソフトTeamsでオンライン参加者へ、それぞれ共有した。
オンライン発表は、学会10日前までに、7分のプレゼンビデオと研究内容を紹介する画像(グラフィカル・アブストラクト)を提出し、論文と共に学会HPに公開されている。そして、45分間のセッション本番では7~8名が登壇し、最初に発表者が順に2分で研究成果を発表していき、その後、ディスカションするという進め方であった。
聴衆(オーディエンス)の質問方式は、対面参加者は口頭、オンライン参加者はチャットが主であった。
今回実施された、対面発表とオンライン発表で別セッションとする方式と、対面とオンラインがひとつのセッションに混在する方式を比べてみる。今回のメリットとして、用意する物理会場は少なくて済み、司会やスタッフはセッションを運営しやすい。一方、発表題数が少ない側(対面セッション)の発表テーマが多岐にわたってしまう。
有料と無料ゾーンの切り分け
有料と無料ゾーンの切り分けについて。オンライン発表者がアップした、プレゼンビデオとグラフィカル・アブストラクトと発表論文は無料ゾーンにあり、登録不要で誰でもアクセスできる。
一方、有料ゾーンは、基調講演やセッション本番への参加となる(対面会場への入場、Teamsへのログイン)。つまり、講演者の生の声やディスカションを聴くには支払いが必要である。
次回は、当研究室の発表内容を紹介したい。