ふくだぶろーぐ

福田知弘の公式ブログです。

都市とITとが出合うところ 第84回 CAADRIA 2021・2022

f:id:fukuda040416:20210810102654p:plain

Sasada Prize大阪大学 笹田剛史教授の功績を称えて2007年に創設されたCAADRIA最高位の賞)2021年度受賞者・リスボン大学 Leitão, António Menezes博士(中央)と学生たち(最後の晩餐)

f:id:fukuda040416:20210810102619p:plain

CAADRIA 2021 公式サイト( https://caadria2021.org/session-5C#117

CAADRIA 2021: 2年連続のオンライン開催

CAADRIA 2021国際会議が、香港大学+香港中文大学を中心とする香港チームの主催により開催された(2021年3月末~4月)。コロナ禍のために2年連続のオンライン開催となった。

コンピューテーショナルデザインや建設DXの世界的高まりを受けて、CAADRIA学会への論文投稿は増えており、第1ステージでは400編のabstract(梗概)が投稿された。日本からは21編。梗概査読を通過した論文は250編であり、第2ステージでは、これらのfull paper(全文論文)が提出され、全文査読を経て、149編の論文がプロシーディングス(論文集)に掲載された(採択率37%)。日本からは8編であった。

無料参加者へ寛容な提供プログラム

学会プログラムの有料ゾーンと無料ゾーンの切り分けは、集客と収支につながる重要な判断である。

まず、論文の発表者は有料参加が必須である。期限までに参加費を支払わないとプロシーディングスに掲載してもらえない。

CAADRIA 2021では、著者以外の参加者は有料・無料を選択する方式とした。有料参加者の限定プログラムは、基調講演やパネルディスカッションの聴講である(これらに参加するためのIDはウェビナーのホストにより管理されている)。

学会全体のプログラムを見渡してみると、有料限定以外のプログラム(一般の研究発表、ワークショップ、ランチツアー、オンライン交流会など)の方がずっと多く、無料ゾーンだけでも充分に学べるし、楽しめる。そして、この有料・無料ゾーンの線引きにより、CAADRIA 2021公式サイト( https://caadria2021.org/ )で無料公開される内容がぐんと増えた。

学会終了後も公開中のウェブサイト

「Papers(論文)」メニューがデータドリブン方式になっている。トップの、「AI & Machine Learning」「Generative Design」「Robotics」などのキーワードをクリックすれば、それに対応した論文だけがハイライトされる。自分が聴講したい発表を浮き彫りにすることができる。

さらに、各論文タイトルをクリックすると、発表ビデオ、論文PDF、梗概、著者の略歴がワンセットで表示される。著者にとっては、学会前に発表ビデオを録画するなどひと手間増えるわけだが(汗)、他の発表をオンデマンドで視聴できるのは嬉しい。

学会本番では、発表者がライブでプレゼンテーションし、司会やオーディエンスとディスカッションを行った。

また、ウェルカムアドレス(開会式)では香港の獅子舞が披露されたり、ランチタイムには香港の建築・まちなみがライブツアーされるなど、現地の空気感が伝わる演出であった。

CAADRIA 2022: シドニー

CAADRIA 2022はシドニーにある3つの大学(シドニー大学、テクノロジーシドニー大学、ニュー・サウス・ウェールズ大学)の主催で2022年4月に開催される( https://caadria2022.org/ )。

コロナの状況次第だが、現地+オンラインのハイブリッド方式で開催される見込みである。Abstract(梗概)投稿〆切は2021年9月19日、そろそろ近づいてきた。

冒頭に「コンピューテーショナルデザインや建設DXの世界的高まり」と書いたが、CAADRIAのFacebookグループ( https://www.facebook.com/groups/caadria )の参加者は1000名を超えて、まだまだ増えている。8月上旬にCAADRIA 2022の論文募集のアナウンスをアップしたところ、世界中のメンバーから次々にシェアされて、2000投稿以上のリーチとなっている。是非、アクセスしてみてください。

 

(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2021年9月号)