この本は、高知市北高見町のギャラリーgraffitiにて2004年に3回にわたり開催された『高知遺産』展で、参加者及び来場者により選定された400点余りの『高知遺産』を基に構成したものである。
高知遺産とは、
?愛着を感じる場所
?思い出のある場所
?できることなら残したいと思う場所
と定義しているそうだ。
高知といえば、紀貫之の土佐日記、カツオ、坂本龍馬、桂浜、はりまや橋、現在では日本最古となる路面電車、300年の歴史を持つ日曜市、近年ではルイ・ヴィトンや橋本大二郎知事のブログなど様々な特産物や話題に事欠かないように思えるが、「ただ、ひとつだけ言えることは、このたった十数年のうちに、高知の街はどれもこれもがいまひとつな、小さな個性なき街になり果ててしまった」らしい。
大規模ショッピングセンターの進出により衰退していく町中の商店街、区画整理や道路整備により消えていく建物や地域、産業構造の変化により閉場した工場や鉱山、ライフスタイルの変化により人の来なくなった銭湯や旅館など、高知だけの問題ではないが、本書では高知市内と中心に県下全域に至るまで豊富な写真ですみずみまで記されている。
そして膨大な「遺産」の紹介だけでなく、所々に記されたメッセージこそ我々一人一人が考えなくてはならないことだ。