ふくだぶろーぐ

福田知弘の公式ブログです。

9月29日13-: 都市の鍼治療 (Urban Acupuncture) 公開対談@大阪大学 吹田キャンパス サイバーメディアコモンズ

f:id:fukuda040416:20150923193050p:plainPDFはコチラ

9月29日(火)13時より、明治学院大学服部圭郎先生と大阪大学 吹田キャンパス サイバーメディアコモンズで、「都市の鍼治療」公開イベントをすることになりました。不肖ながら、私も出ます。「達人」ではありませんが...(笑)事前申し込み不要・無料です。服部先生とはブラジル・クリチバつながりです。是非、お越し下さい。

www.hilife.or.jp


On Sep. 29th from 1pm to 2pm, Prof. Keiro HATTORI from Meiji Gakuin University will come to Osaka University from Tokyo. Prof. Hattori and I have a talk event about "Urban Acupuncture" of Urban Design and Planning field at Cybermedia Center, Osaka University (Suita Campus). What examples do you know about Urban Acupuncture? Please feel free to attend the meeting if you are interesting. No registration, Free charge! https://en.wikipedia.org/wiki/Urban_acupuncture
http://www.cmc.osaka-u.ac.jp/?page_id=2929&lang=en

 

日時:9 月29 日(火)13:00~14:00頃
場所:大阪大学吹田キャンパス サイバーメディア コモンズ

www.cmc.osaka-u.ac.jp

 

 近代都市計画制度体系の限界や問題が1960 年代から指摘されながら今日まで決定的なオルタナティブが現れていない状況下、世界各地で同時多発的に「都市の鍼治療」が注目されるようになっています。それぞれの地域で類似の試行錯誤がありましたが、それを方法論までに昇華させたのはクリチバ市のジャイメ・レルネル元市長であります。
 このレルネル氏の「都市の鍼治療」的理念、コンセプトを広く普及することを目的に、都市研究家である服部圭郎は、公益財団法人ハイライフ研究所のサポートのもと、内外の「都市の鍼治療」のデータベースを2年前から作成し始め、2015 年9 月現在、65 事例を同研究所のホームページに掲載しています。
 この「都市鍼治療」というオルタナティブのアプローチをよりよく理解していくためにも、また、このアプローチをどのように実践していくかを検討していくためにも、日本の若手「都市鍼治療」研究者の達人である福田知弘氏と服部が公開対談を開催することにしました。関心のある方は是非とも参加していただければと願う。なお、公開対談は、後日、公益財団法人ハイライフ研究所のホームページにて動画にて公開する予定です。会場内の全体風景も掲出されますので、ご参加の方はその旨をご了承ください。

eCAADe2015(Education and research in Computer Aided Architectural Design in Europe)@ウィーン(Vienna)に参加してきました。

info.tuwien.ac.at

オーストリア・ウィーンのウィーン工科大学(The Vienna University of Technology)で開催された、eCAADe2015 (Education and research in Computer Aided Architectural Design in Europe)に参加してきました。eCAADeは建築・都市設計のコンピュータ援用や建築・都市へのコンピュータ適用に関するヨーロッパの学会です。ヨーロッパ各国の大学がホストとなり、世界中からの参加者を迎え、毎年カンファレンスとワークショップを開催しています。eCAADe学会自体は1983年に設立されて今年は33回目。ウィーン工科大学は、ドップラー効果を発見したクリスチャン・ドップラー(Johann Christian Doppler)、建築家・オットー・ワーグナー(Otto Wagner)、音楽家・ヨハン・シュトラウス(Johann Strauss)を輩出した歴史ある大学です。

3日間のカンファレンスと2日間のワークショップが行われ、カンファレンスでは計145編の論文発表、4名の基調講演などが行われました。論文のテーマは下記の通りです。

  • Virtual Reality Experimental     
  • Virtual Reality Evaluation
  • Design Tools Concepts
  • Design Tools Evaluations
  • Design Tools Explorations
  • Design Tools Applied
  • Spatial Analysis
  • Shape, Form and Geometry Concepts
  • Shape, Form and Geometry Grammars
  • Towards Smarter Cities Concepts
  • Towards Smarter Cities Applied
  • BIM Concepts
  • BIM Early Design
  • BIM Applied
  • Digital Heritage
  • CAAD Education Concepts
  • CAAD Education Applied
  • CAAD Education Tools
  • Collaboration and Participation
  • Fabrication Robots
  • Fabrication Design
  • Fabrication Applied
  • Material Studies
  • Generative Design Concepts
  • Generative Design Applied
  • Generative Design Biological     
  • Smart and Responsive Design Concepts
  • Smart and Responsive Design Applied

 f:id:fukuda040416:20150916084922j:plain■ウィーン工科大学の中庭にはブドウがなっていました。幼児の滑り台も ^_^

f:id:fukuda040416:20150916091854j:plain■eCAADe2015 オープニングセレモニー。実行委員長のBob Martens教授が挨拶。

f:id:fukuda040416:20150916081851j:plain■eCAADe2015配布物一覧。

f:id:fukuda040416:20150917095427j:plain■ウィーンナーコーヒー。現地ではウィーンナーコーヒーとは呼ばず、アインシュペナー(Einspanner)と言います。ウィーンナーコーヒーを初めて知ったのは、神戸ポートピア博 '1981のUCCコーヒー館だと思います。メニューを見てコーヒーにウィンナーソーセージが入ってる(ウィンナーソーセージもウィーンですな)?出てくるや、なぜクリーム?と、???だったことを思いだした。

f:id:fukuda040416:20150923163628j:plain■小生の発表の様子を自撮りで。

f:id:fukuda040416:20150923163654j:plain■学会が終わってから有志で夕食へ。イタリアチームと記念ショット。

eCAADe2015での研究室の論文発表は下記です。
Authors: Fukuda, Tomohiro; Mori, Keisuke and Imaizumi, Jun
Title: Integration of CFD, VR, AR and BIM for Design Feedback in a Design Process - An Experimental Study
Proceedings: Martens, B, Wurzer, G, Grasl T, Lorenz, WE and Schaffranek, R (eds.), Real Time - Proceedings of the 33rd eCAADe Conference - Volume 1, Vienna University of Technology, Vienna, Austria, 16-18 September 2015, pp. 665-672
URL:

CuminCAD http://cumincad.scix.net/cgi-bin/works/Show?ecaade2015_83

Research Gate:

www.researchgate.net

eCAADe 2015 Photos(学会が撮影した写真が公開されています)

_MG_4846 www.flickr.com


来年のeCAADe2016は、8月22日から26日、フィンランド・オウル(Oulu School of Architecture)にて。

CAAD FUTURES 2015で発表したパワポをSlideshareにアップしました。

 

Slideshareに、7月にブラジルサンパウロで開催されたCAAD Futures 2015で研究発表したパワーポイントをアップしました。スライドに挿入したムービーはSlideshareでは再生できないため、該当する静止画に置き換えていま す。

関連して、昨夜はTV番組『

www.tv-asahi.co.jp

』の織田信長特集でVR安土城が取り上げられましたが、『しまった!今日やった…』と気付いたのが夜8時過ぎ。見逃してしまいました (涙)。Twitterでリアルタイム検索をかけると結構盛り上がっていたようですね。

I have uploaded our presentation at CAAD Futures 2015, Sao Paulo, Brazil this July. This research collaborated with public sector (Omihachiman-city), private sector (Toppan printing Co., Ltd.) and academic sector (Osaka University). Some movies in the original presentation were replaced by some images. Regarding our research, last night, our Virtual Reality of Azuchi Castle was featured in a TV program, but I missed out the program...

 

10月1日から8日まで、ご来光カフェ2015@淀屋橋港です!

今年も「ご来光カフェ」の季節がやってきました!
大阪のど真ん中、中之島。実はここから、10月1日から8日の1週間だけ、高層ビルの間に見える生駒山から朝日が昇ります。この貴重な自然のドラマを共有したく、NPO法人 もうひとつの旅クラブが「ご来光カフェ」を淀屋橋港で開催します。2006年からはじめて、今年は早くも10年目。是非、いらしてください。

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■公式パンフ!

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■昨年10月2日のご来光。ご来光が拝めるかは当日の運次第。アドベンチャーです ^^

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■ご来光クルーズ。今年は10年目スペシャルクルーズも出航します。AM5:50出発!クルーズ中にご来光を拝もう!ワンドリンク付1,000円

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■ボラスタ一同、コーヒー・紅茶と軽食を用意してお待ちしていますm(_ _)m

 

『ご来光カフェに行ってみたいけど、ウチから出かけて朝6時のご来光が見れるのかな?』そんな質問をよく耳にするようになりました。公共交通機関の時刻表で調べてみると、大阪、京都、神戸、奈良と、AM6時に間に合う範囲は意外に広かった!夜行バスを使えば、鳥取、広島、愛媛、高知からも間に合いそうです!

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matome.naver.jp

www.facebook.com

それではヨロシクです!

 

 

都市とITとが出合うところ 第19回 ギリシャ×VRサマーワークショップ(2)

大阪府建築士事務所協会誌「まちなみ」で連載中の「都市とITとが出合うところ」。第19回は前回に引き続き、ギリシャポルトカラスへ(テッサロニキから移動)。ITはそこで開催されたサマーワークショップの様子をご紹介します。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1510machinami_FukudaFinal.pdf

ポルトカラスへ
 前稿に引き続き、ギリシャで行われたVRサマーワークショップの様子を取り上げたい。本稿は、サマーワークショップの後半戦として、World16+αのメンバーがみんなで現地の3Dモデルを作り上げた、プロジェクトセッションの様子について、会場となったポルトカラスと共にご紹介しよう。

 テッサロニキで3日間過ごした後、サマーワークショップの一行は、ポルトカラス(Porto Carras)へ向かった。ポルトカラスは、テッサロキから南東へ約120km。エーゲ海に3本の指を突き出したような恰好をしているハルキディキ半島の真ん中の指、シソニア半島にある。当初は、世界的な高級ワインメーカー「ポルトカラス社」のブドウ園とワイナリーが作られたが、その後、ホテル、ゴルフ場、テニスコート、ビーチなどがある大型リゾートとなった(図1)。


図1 ポルトカラス

 テッサロニキからポルトカラスへの移動手段として、多くのメンバーは貸切りバスで移動したのだが、筆者ら数名はレンタカーで向かった。道中、プロジェクトセッションのネタ探しやデータ収集をするためである。ただ、いざレンタカーに乗ってみると米国と日本からのメンバーだけであり不案内な土地である。レンタカー屋のスタッフにカーナビは付いてないかと尋ねたものの、「そんなものナイネ〜」と笑われた。WiFiも入ったり入らなかったりなので、大雑把な地図を頼りにオリーブ畑が広がる道路を走って現地へ向かう。

 1時間半のドライブの末、現地に辿り着くと、貸切りバス一行は、ポルトカラス近くのネオスマルマラスという漁村の「Ta Kymata」というレストランで昼食中。ここでは、新鮮な魚を料理してくれ、お店の前のビーチ席で食することができる。ビーチ席の目と鼻の先は汀であり、魚が泳いでいる(図2)。店のオーナーに、どんな魚があるか見せてほしいとお願いしたら、夫婦お揃いで自慢の魚を披露してくれた(図3, 4)。


図2 ネオスマルマラス


図3 魚を紹介してくるTa Kymataオーナー


図4 Ta Kymataオーナーと

プロジェクトセッション DAY1
 ワークショップのテーマは「Data JAM 24hr」。会場となったポルトカラスには、山や海や緑などの自然物、ホテルやプールやパラソルなどの人工物が沢山つまっている。それらを対象として、1日半という限られた時間で、様々なデジタル技術を駆使しながら、実際の3Dモデルを作成してみようというもの。

 今回、目玉となるアプローチは、ドローンで現地を空中から撮影して、写真測量技術により、撮影した写真からポルトカラスの3Dモデルを作成しようというもの(Structure from Motion)。そのため、米国の研究者2人が現地までドローンを連れてきた。アトランタからやってきたドローンは地図情報を使って自動的に一定の経路を飛行させて、空中写真を取得できるもの。米国では自動飛行を成功させてきたが、ギリシャでは初の試み(図5)。セットアップが終わり、無事に離陸したかと思われたが、1分も経たないうちに大樹の陰に隠れてしまい、見失ってしまった。その場にいたメンバーで捜索隊を結成し、約3時間探し続けたが、結局見つからず。このようにドローンを見失ってしまった場合、ドローン本体の側からユーザに通信して、居場所を確認することができるのだが、残念ながらギリシャでは通信ができない状況であった。


図5 ドローンセットアップ

 アリゾナからやってきた、もう一機のドローンは、自動運転ではなく、ラジコンのコントローラを使って、マニュアルでドローンを操作するもの。ワークショップの成果発表期限まで、時間は無くなっていく。そのため、アトランタのドローンは諦めて、アリゾナのドローンを使って、ホテル周辺の動画撮影を実施することになった。

 アトランタのドローンは未還のまま、DAY1の夕日はエーゲ海に沈んでいった(図6)。


図6 夕日

プロジェクトセッション DAY2
 夜7時の成果発表会に向けて、メンバーは朝から作業に取り組んでいく(図7)。ワークショップ会場となったホテルの会議室を出ると、青い空、青い海、人々の歓声と、いくつもの誘惑が手を広げてお待ちかね(図8, 9, 10)。仕事をするには最高の環境である(笑)。では、成果発表会の内容を紹介しよう。


図7 プロジェクトセッション


図8 ランチ


図9 誘惑


図10 誘惑

 フォーラムエイト精鋭チームは、VRソフト UC-win/Roadでポルトカラスの3Dモデルを作成。画面を2分割して、ひとつの画面にはポルトカラスの地図を表示させて、もうひとつの画面にはドライバーの視点(一人称視点)からのVR画面を表示させた。地図の映像は、テーブルに置かれたポルトカラスの紙の模型にピッタリとマッチするように、プロジェクターで投影して、プロジェクションマッピングした。プレゼンのシナリオとして、ギリシャは経済危機ということもあり、ATMでお金を引き出そうと車で向かっているが、通常の道路を通っていくと時間がかかってしまいATMが閉まってしまう。そこで、新たな道路と橋梁をVRで作って、最短ルートでATMに向かおうというもの。ユーザが、VR画面で車を運転していると、地図上には車の現在位置がリアルタイムに表示されるというカーナビ機能も実装していた(図11)。


図11 成果発表会

  • 最先端表現技術利用推進協会(表技協。町田聡氏、アリゾナ州立大学 小林佳弘氏)のメンバーは、ドローンで道路空間の実写映像を撮影する試み。当初のアイデアでは、ドローンを道路線形に沿って自動走行させて撮影する予定であったが、現状のドローンはそこまで正確に飛行できない。よって、今回は表技協のメンバーがドローンを手に持って車に乗り、撮影してみた。ドローンのカメラには、スタビライザーが付いているため、車が走行中に振動しても安定して撮影できた。今後の見通しとして、今回撮影した映像を背景映像とした上で、車自体に投影する映像をCGで作成して車にプロジェクションマッピングすれば、より臨場感の高い映像が作成できるということである。
  • バージニア工科大学 ドン・ソーチョイ氏は、ホテルとその周辺の3次元モデルを作成するために、複数の地点でレーザー測量を実施した。得られた点群データはソフトで合成し、その点群データを、UC-win/RoadでVR表示させた。そして、先に述べた、ポルトカラスの模型にあるホテルの建築模型にもプロジェクションマッピングした。生成した点群データは800万点にも及ぶ。
  • 筆者は、ビデオシースルー型ARシステムを用いて、プロジェクションマッピングされたホテルの敷地(実写映像)に、恐竜の3Dモデル(仮想映像)を表示させた。HMDを被るとポルトカラスの海に恐竜が現れるのである。実写映像と仮想映像の位置合わせ手法はビジョンベースとしたが、伝統的な幾何模様のマーカを用いるのではなく、いわゆるマーカーレスの方法で実現した。任意の画像や風景をマーカとして位置合わせすることができる。今回は、フォーラムエイト社のロゴを使用した。Oculus Rift DK2に、Ovrvision 1を装着したARシステムは広視野角の表示を実現しており、体験者に好評であった。
  • ドローンチーム(ジョージア工科大学 マシュー・スワ−ツ氏、アリゾナ州立大学 小林佳弘氏、ニュージャージー工科大学 楢原太郎氏)は、上述したように、アリゾナのドローンをマニュアル操作して、ホテル周辺を動画撮影した。前日に昼食をとった、ネオスマルマラスの辺りまで、すなわち2kmほど離れた地点までドローンは飛んでいき、動画撮影していた。4K動画はさすがに綺麗。その後、写真測量技術により、撮影した写真からホテル周辺の3次元モデルの作成に成功した(図12)。


図12 写真からの3Dモデル化(SfM)


図13 テッサロニキ空港近くのレストランで

大阪府建築士事務所協会誌「まちなみ」2015年10月号)

キーワード:まちなみ,ギリシャポルトカラス,ワークショップ,プロジェクト,VR, 3Dモデル, SfM (Structure from Motion)

都市とITとが出合うところ NAVERまとめ

都市とITとが出合うところ(1〜18回)

都市とITとが出合うところ 第18回 ギリシャ×VRサマーワークショップ(1)

大阪府建築士事務所協会誌「まちなみ」で連載中の「都市とITとが出合うところ」。第18回となる旅はギリシャテッサロニキへ。ITはそこで開催されたサマーワークショップの様子をご紹介します。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1509machinami_FukudaFinal.pdf

VRサマーワークショップ イン ギリシャ
 6月下旬から1週間、ギリシャを訪問した。偶然ながら、ギリシャ財政危機の真っ最中。街はニュースで報道されているほど慌ただしくなかったが、銀行ATMには長蛇の列ができ、お店では現金払いのみでカード支払いは受け付けてくれないなど、危機を間近に感じることもあった。

 VRサマーワークショップは、World16グループが中心になって定期的に開催している。World16は、建築・建設・都市設計系研究者から構成される3D・VR(3-Dimensional Virtual Reality: 3次元人工現実感)の国際学術グループである。2007年に、8名のメンバーが中心となって、World8を組織し、その後、メンバーを倍増させてWorld16となった。メンバーは世界中に散らばっており、所属する大学の国でいえば、米国、カナダ、イギリス、イタリア、イスラエルUAE、チリ、ニュージーランド、日本、となる。スポンサーは、(株)フォーラムエイト。毎年秋には、東京で、国際VRシンポジウムを開催して、日本の研究者、実務者、学生に報告している。

 サマーワークショップの開催地は、メンバーの大学であったり、故郷であったりする。これまで、米国・フェニックス(2008)、箱根(2009)、米国・サンタバーバラ(2010)、イタリア・ピサ(2011)、米国・ハワイ(2014)で実施してきた。ワークショップでは、まずWorld16研究者の近況報告が行われ、そして、研究者がみんなで協力しながら何かを作り上げて発表する。日頃は、それぞれの国や大学での生活で忙しいメンバーたち。ワークショップでは、フラットな立場で、研究・実務面において日頃やっていることや考えていることを情報交換するだけでなく、プライベートな話題も交換しており、学び、そしてリフレッシュの場として機能している。

 第6回目となる今回は、ギリシャ第2の都市、テッサロニキポルトカラスにて。サマーワークショップ全体の参加者は約30名、World16のメンバーは8名であった(図1)。このサマーワークショップの様子を本稿と次稿の2回に渡って紹介したい。本稿では、研究者の近況報告について、会場となったテッサロニキと共に取り上げる。

図1 サマーワークショップ集合写真

World16プレゼン
 まず、発足以来の代表である小林佳弘氏(アリゾナ州立大学 - 米国)により、World16のこれまでの活動実績、サマーワークショップの歴史について紹介があった。そして、研究発表が始まる。4時間ぶっ続けである(図2)。

図2 World16プレゼン

  • 楢原太郎氏(ニュージャージー工科大学 - 米国)は「インタラクションメディアと教育」と題して、ゲーム制作ソフトや物理エンジンを使用したシミュレーションの内容を、ユーザが実空間で力や動きなどを与えてシミュレーションを変化させるハプティクス技術との連携について発表した。
  • 筆者(大阪大学 - 日本)は「3次元VRモデルと連携した動く模型」と題して、3Dモデルで定義した都市ボリュームを現実世界で素早く作成するために、合計105本の細長いロッド群をステッピングモータで上下させて、都市模型を動的に表現するシステム開発について発表した。
  • コスタス・テルジディス氏(ORGANIC PARKING, INC. CEO - 米国)は「オーガニック・パーキング」と題して、コスタス氏が研究の末にビジネス化させた、駐車スペースを個人間で取引する、オーガニック・パーキングシステムの現状について発表した(1)
  • パオロ・フィアマ氏(ピサ大学 - イタリア)氏は「より良い生活質のために屋外ツーリズムを改善するためのCO2排出のモニタリング」と題して、イタリア・トスカーナ州の風光明媚な地をVRで作成する計画について発表した。
  • ドン・ソーチョイ氏(バージニア工科大学 - 米国)は写真測量技術から3Dモデルを作成する方法について。まず、ドローンで空中撮影した写真を合成して、その合成写真から都市の3Dモデルを作成する。そして、作成した3Dモデルから3Dプリンタで街並み模型を作成するという、一連のプロセスについて発表した。
  • ルース・ロン氏(シェンカル工科デザイン大学 - イスラエル)は音や熱といった、目に見えない物理的特徴を可視化する方法について。温度カメラを用いて、建物だけでなく都市全体を対象としてヒートアイランド現象を扱うシステムを発表した。可視化結果は、プロジェクションマッピングとして表現されている。
  • マシュー・スワ−ツ氏(ジョージア工科大学 - 米国)は「F8 Framer Plugin」と題して、通常は手間のかかる3Dモデルの作成方法について、簡単に、かつ、短時間で3Dモデルを生成する方法について発表していた。

テッサロニキのタベルナ
 ワークショップの会場となったテッサロニキへは、伊丹 -羽田 - パリ - アテネ - テッサロニキ、と乗り継いだ。丸一日かけてギリシャに着くとそこは数学の世界。ギリシャ文字 Αα、Ββ、Γγ、Δδ、Εε、Θθ、Φφ、Ωωなどが街なかに当たり前に溢れている。まず読めず、次いで読めても意味わからず、である。

 テッサロニキ空港から路線バスでホテルに向かう(図3)。タクシーを使えばホテルまで直行してくれるので何かと安心だが、路線バスは地元の雰囲気を味わえる。ただ、路線バスに乗ると、自分が降りたい駅で果たして降りることができるだろうか、不安になることが多い。国内ならまだしも、海外では尚更。電車とは違って乗降客がいない駅には停まらずにスルーされてしまうから、バスが停まった駅の数を数えながら路線図と見比べても意味がない。それぞれの駅にナンバリングしてくれるとわかりやすいのだが。で、空港でホテルまでの路線バスはどれかしら、と探していると、「お手伝いしましょうか?」と地元の方に運よく声をかけられ、ホテル近くまで一緒に連れていってもらうことになった。ギリシャの人々はおおらかで話好きで親切。30分ほどバスに揺られている内、「ギリシャは一週間もいれば好きな国になると思う」と乗客から口々にいわれたが、一週間後に離れる時には正にその通りの想いとなった。

図3 テッサロニキ空港から市内へ路線バスで

 夕食へ。中央市場の古びたアーケードの中に「Ταβεργα」を見つけた(図4)。これは「タベルナ」と読むが、意味は「レストラン」(笑)。大阪だと鶴橋商店街加古川だと寺家町商店街の路地にあるような昔ながらの食堂で、カラマリ、ザジキ、ギリシャサラダ、ギリシャビールを頂いた(図5)。こういうお店のおっちゃんがシブいのは万国共通か。

図4 中央市場のタベルナ

図5 ギリシャ料理

テッサロニキの町
 テッサロニキは、首都アテネに次ぐギリシャ第2の都市で人口は約80万人。紀元前315年頃に創建された古い都市であり、今も、ビザンティン時代の建物が残る。ビザンティン帝国時代には、コンスタンティノープルに次いで第2の都市であった。北部はマケドニアブルガリア、東部はトルコが近い。

 早朝まち歩き。まずは、坂の上に見えるビザンティンの城壁を目指そう。ホテルのあるアリストテレス広場から、ガレリウスの凱旋門(完成303年)、ロトンダ(306年)を眺めて道に出ると(図5)、城壁が少し残っているのを見つけた。ここから、城壁を脇に見ながら坂を上っていく。郊外に向かうにつれ坂の傾斜は厳しくなるが城壁の保存状態は段々とよくなっていく(図6)。上りつめた場所が、ピルゴス・トリゴニウといって、城壁が立ちはだかり、端っこに見張り塔が建っている(図7)。ここからは、テッサロニキの街全体、テルマイコス湾が一望できる。

図5 ガレリウスの凱旋門とロトンダ

図6 ビザンティンの城壁

図7 ピルゴス・トリゴニウ

 この城壁を等高線沿いに西へ歩いていく。この辺りは特に緑が豊かで本当に気持ちが良い。日本でもおなじみの、ブドウ、イチジクなどが家の軒先に実を付けている。高級住宅地と思われる地区の坂道を下っていきながら、アギオス・ディミトリオス教会に辿り着いた(図8)。この教会は、ギリシャ最大の教会であり、5世紀ごろに最初のものが建てられたそうである。中央市場では朝市が開かれていた(図9, 10)。

図8 アギオス・ディミトリオス教会

図9 中央市場にて

図10 中央市場にて

 翌日も早朝まち歩き。今度は海岸線沿いに歩いて、ホワイトタワーへ(図11)。現在のタワーは1537年に建てられた。日本では豊臣秀吉が生まれた頃か。
 港湾地域の方では、古い倉庫群をリノベーションして、カフェや映画館がオープンしていた(図12)。日が暮れて、カフェで談笑していると、北斗七星を久しぶりに見た。星座とギリシャ神話とのつながりも深い。

図11 ホワイトタワー

図12 古い倉庫群のリノベーション

ルートと参考文献
アリストテレス広場】++<徒歩>++【ガレリウスの凱旋門】++【ロトンダ】++【ピルゴス・トリゴニウ】++【ビザンティンの城壁】【アギオス・ディミトリオス教会】++【ローマ時代のアゴラ】++【中央市場】(6.6km)

[1] Organic Parking: https://www.organicparking.com/ (参照2015年7月20日)

大阪府建築士事務所協会誌「まちなみ」2015年9月号)

キーワード:まちなみ,ギリシャテッサロニキ,ワークショップ,VR, 3Dモデル, ハプティクス

都市とITとが出合うところ NAVERまとめ

都市とITとが出合うところ(1〜17回)

CFP: CAADRIA2016 のabstract〆切は9月25日です。


■新たに完成したメルボルン大学建築学部棟

CAADRIA2016国際学術会議は来年3月30日から4月2日まで、オーストラリア・メルボルン大学で開催されます。
今回は、CAADRIA学会 (Computer Aided Architectural Design Research in Asia: 建築・都市分野のコンピュータ設計と応用に関する学会)を1996年に大阪大学・笹田剛史先生と共に創設された、Tom Kvan先生がホストをされています。

Abstract〆切が一か月後の9月25日となりました。
http://caadria2016.crida.net/

また、
Facebookの公開グループも作っておりますので、ご参加ください。
https://www.facebook.com/groups/229790987037041/

最近の開催地:

第21回目を迎えるCAADRIA。
20年前、インターネットが使えるようになり、HTMLやVRMLテキストエディタでシコシコ書いていた頃と比べると(<-今も書いていますが 笑)、普段の生活のあらゆるところにコンピュータが浸透し、それらがインターネットとつながり、固定電話やポケベルがスマホになり、家は常時WiFi接続となってテレビや家電とつながり、ネットで買い物をする種類はますます増え、ネット発の個人意見が集まって決まっていたはずのコトがひっくり返され、情報教育の重要性が再認識され、建築都市設計でのコンピュータ応用もかなり変わってきました。当然ながら課題も色々あるし常に途上な訳ですが、一定、受容されているように思います。個人的には、ネット社会になるにつれ実際の現場に足を運んでフィジカルに密度濃く出会う機会がますます大切で、その楽しさはネットではまだ味わえないものだと感じています。


CAADRIA 2016 Call for Papers
2 Pages (or at least 500 words) Abstract due 25 September, 2015
Submit to: www.caadria-review.org

Living Systems and Micro-Utopias: Towards Continuous Designing
21st International Conference of the Association for Computer-Aided Architectural Design Research in Asia

30 March-2 April 2016
The University of Melbourne, Melbourne School of Design, in collaboration with RMIT University

Today, human activities constitute the primary environmental impact on the planet. In this context, commitments to sustainability, or minimization of damage, prove insufficient. Architectural design needs to extend beyond the form and function of things in contained projects and engage with the management of complex systems. Responding to this challenge, CAADRIA 2016 seeks to interrogate the notion of continuity and the applicable architectural toolsets in order to map and discover opportunities for innovation.

Engagement with complex dynamic systems poses difficult conceptual, technical and ethical challenges. To mention but a few: How can the longevity of living systems be affected through technologies for the capturing and sharing of knowledge, including BIM, APIs or technical standards? How do living systems equip and curtail design action, for example through interactions in creative programming, open hardware and parametric modelling communities? How does stabilization of technical knowledge in data types, algorithms, computational objects, languages or user interfaces affect the capability of designers to imagine alternative futures? Can modelling and simulation tools of architectural design cope with the inherent unpredictability of complex systems by integrating such approaches as big data analysis or pervasive computing? Can advances in fabrication and mechatronics support design that functions analogously with the mechanism that evolutionary biologists call adaptive niche construction? What educational approaches are appropriate and future-ready in a world of global and accelerating change? This list of questions could be readily extended.

Crucially, research into more holistic, ecological approaches to architectural design must overcome a methodological mismatch of spatial, temporal and organizational scales. The ecologies of real-world living systems are incalculably more extensive than the bounded experimental prototypes that are possible in research and education. What strategies and technologies can be employed to overcome this dilemma?

CAADRIA 2016's theme of Continuous Designing offers a viewpoint for interrogation of all research in design and computation, including, for example: theory, philosophy and methodology of design research; education; collaborative and interdisciplinary design strategies; stakeholder participation; design innovation and creativity; generative, parametric and evolutionary design; visualisation, virtualisation modelling, simulation and prediction; city, site and building information modelling; human-computer interaction; ubiquitous and pervasive computing; sensing; artificial autonomy and intelligence; mechatronics; fabrication, construction, optimization, mass customisation and others.

Besides the above specific theme, CAADRIA 2016 also invites posters on general topics in computational design research. Young researchers currently involved in postgraduate studies are invited to submit their work-in-progress research papers to the Postgraduate Student Consortium.

Important Dates

  • Abstract Submission: 25 September 2015
  • Young CAADRIA Award Submission: 13 November 2015
  • Full Paper Submission: 27 November 2015
  • Poster Submission: 27 November 2015
  • Postgraduate Student Consortium Submission: 11 December 2015
  • CAADRIA 2016 Workshops: 29-30 March 2016
  • CAADRIA 2016 Conference: 30 March-2 April 2016

CAADRIA 2016 Paper Selection Committee

  • Sheng-Fen Chien, Chair (Taiwan)
  • Seungyeon Choo (Korea)
  • Mark Aurel Schnabel (New Zealand)
  • Walaiporn Nakapan (Thailand)
  • Mi Jeong Kim (Korea)
  • Stanislav Roudavski (Australia)

Email Submission inquiries to: psc@caadria-review.org

CAADRIA 2016 Postgraduate Student Consortium Committee

  • Andrew Li, Chair (Japan)
  • Ajibade Aibinu (Australia)

Email Submission inquiries to: pgsc@caadria-review.org

CAADRIA 2016 Local Organizing Committee

  • Dominik Holzer (Chair), The University of Melbourne
  • Jane Burry (Co-chair), RMIT University
  • Stanislav Roudavski (Co-chair), The University of Melbourne
  • Paul Loh (Co-chair), The University of Melbourne

Contact: caadria2016@gmail.com

オープンキャンパスで紹介した、3次元ARを体験してみよう!(2015年8月15日)

大阪大学 工学部 オープンキャンパス(8月10日)で来場された皆さんにお渡した、「環境設計情報学領域の学生たちが作成した3次元ARを体験してみよう!」をインターネットに公開しました。

まずは、下記で動作条件とやり方をチェック。カメラ付きPCかAndroid4.4スマホで試してみてね。WebブラウザはGoogle Chrome / Chrome for Android で。
http://www.y-f-lab.jp/ARscript/Introduction/introduction.html

そして、実際のARサイトにアクセスして、ARを試してみてね。カメラのアクセス許可を求められたら、許可してください。
http://y-f-lab.jp/ARscript/index.html

うまくいけば、写真から作った3Dダルマが現れるよ。
あくまで実験中のサイトであること、ご了承ください。


3D-AR画面をキャプチャした様子。上手くいけばこんな感じになります。3DダルマはStructure From Motion技術で写真から作りました。


■AR(Augmented Reality;拡張現実):
実世界から得られる知覚情報に、コンピュータで情報を補足したり、センサーによる情報を加えて強調したりする技術を指します。ゴーグルや機器などを通して見た現実の風景に、電子情報を重ね合わせて表示することができます。

阪大工学部オープンキャンパス&夏の研究室体験(2015年8月10, 11日)

おはようございます!昨日の大阪大学 工学部 オープンキャンパスでは、環境・エネルギー工学科 環境設計情報学領域の研究室ブース(U2-214)に来てくださり、ありがとうございました。錦帯橋プロジェクションマッピングと神戸都市景観シミュレーションのオキュラスVR(Virtual Reality)、そして合格祈願ダルマAR(Augmented Reality)を実際に体感して頂きました。後で数えてみると6時間で900名の方に研究室ブースに来て頂いてました。長くお待ちいただき、すみませんでした。学生スタッフの皆さんもお疲れ様でした。このような技術を身近に感じていただき、これらの技術が、今、高校で学んでいる、数学・理科・情報・英語・社会・国語の延長線にあることを感じ取って頂ければ幸いです。


本日は引き続き、夏の研究室体験。高校生に研究室に来てもらい、3時間のワークショップをやります。テーマは「Virtual Reality, Augmented Reality を応用した環境設計」。昨日体感して頂いたVR/AR技術の裏側を実際に学んで頂きましょう。

阪大工学部オープンキャンパスが近づいてきました(2015年8月5日)。

8月10日は、阪大工学部のオープンキャンパス。ただいま、準備ちうです。
研究室(工 環エネ 環境設計情報学領域)展示のメインビジュアルがようやくできあがりました。

当日は、都市景観やプロジェクションマッピングのVRをオキュで体験して頂けます。展示会場に終日おりますんで是非遊びにいらしてください。工学部生協前広場に面した、U2棟2階214室です。事前申込み不要、ナント無料です。USJほどはたぶん混まないと思います(笑)

http://www.eng.osaka-u.ac.jp/ja/entrance/opencampus.html


オキュ:Oculus Rift DK2
環エネ:環境・エネルギー工学専攻