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都市とITとが出合うところ 第48回 VRサマーワークショップ イン ボストン (3)

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VRサマーワークショップ DAY3

DAY3は48時間ハッカソンの最終日。夕方には成果を発表する必要があり、徹夜で朝を迎えたメンバーもいた。当日は、招待講演セッションとして、MITの研究者より以下の講演が行われた(図1)。

  • Takako Aikawa, Mr. Christian Vazquez: Language Learning Application with VR(ビデオ通話とVRを用いた語学学習のアプリケーション)
  • Greg Demchak: Applications of AR/MR on BIM(BIM上でのAR/MR応用)
  • Emilio Frazzoli: Transportation(自動運転企業nuTonomy社での開発状況について)

夕方からは、ボストン郊外にあるWorld16メンバーの自邸に移動して(図2)、チーム毎の最終プレゼンテーション。成果を発表順に示す(図3)。

  • Thomas Tucker×Dongsoo Choi氏:360度LiDARスキャナを用いて、3次元点群データをリアルタイムに取得した後、メッシュ化を行い、VR(UC-win/Road)に入力するワークフローを構築した。
  • Marcos Novak氏×筆者:3Dモデルの画像処理のためのフレームワーク開発。VRで通常行うRGBレンダリングとは異なる、不要な要素を非表示にするなど目的に応じてレンダリング表現を変更するシェーダープログラムとセグメンテーションプログラムを開発した。
  • Kostas Terzidis×Amar Bennadji氏:ストーリーテリングの技法を応用して、VR仮想空間のある地点に辿り着くと、その移動手段や目的、状況などに応じて相応しい情報が音声案内されるシステムを開発した。さらに、VR空間上で、3次元モデルに色編集を行うシステムを提案した。
  • Matthew Swarts×Marc Aurel Schnabel氏:VRをより開かれた参加型環境とするために、JavaScript等で開発した外部ツールとVRの連携を可能にするプラグインを開発した。あらゆるインターフェースに対応するサーバを有することで、VR上でブロックベースのゲーム、スマートフォンでのオブジェクトのインタラクティブ操作、半球状スクリーンでの没入型・参加型VR体験などが可能になる。
  • Paolo Fiamma×Ruth Ron氏:マイクロシミュレーションプレイヤーを用いて、これまで可視化されてこなかった、建物データや建設プロセスを動的に見せるシステムを開発した。実例として、赤外線サーモグラフィカメラで取得した建物壁面温度マップの変化と、建設重機による施工プロセスの時系列アニメーションを自動生成した。
  • Wael Abdelhameed氏:遺跡の時系列都市モデルをUC-win/Roadマイクロシミュレーションプレイヤーを用いて、時代別に表示できるシステムを提案・開発した。実際の中東遺跡都市モデルを作成し、城壁・建築群を時代ごとに比較観察できようなプロジェクトが進行中である。

最終プレゼンテーションが終わり、その後の交流会が盛り上がったことは言うまでもない。 

DAY4

朝からエクスカーションへ。MIT博物館では、ロボットやホログラムの発展史が興味深い。ハーバード大学では、なじみ深いWorld16メンバーがキャンパスを直々に案内。アメリカで唯一のコルビジェ建築(カーペンター視覚芸術センター 図4)、レンゾ・ピアノ設計のハーバード美術館増築(図5)、ハーバード大学GSD(The Harvard Graduate School of Design: デザイン大学院 図6)などが興味深かった。

ボストン滞在最後となる夕食会でアカデミー奨励賞が発表され、Marcos Novak氏×筆者、Matthew Swarts×Marc Aurel Schnabel氏、Kostas Terzidis×Amar Bennadji氏、Ruth Ron×Paolo Fiamma氏が受賞した。今回は8回目を数えたサマーワークショップであるが、チーム対抗戦でハッカソンに取り組んだワークショップは初めてであった。この方法は、メンバーのモチベーション向上と共に、開発内容の質の確保にもつながったように思う。

2018年のVRサマーワークショップはニュージーランドに決まった。南半球では初開催となる。今から楽しみである。

 

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1803machinami_FukudaFinal.pdf

大阪府建築士事務所協会「まちなみ」2018年3月号)