ふくだぶろーぐ

福田知弘の公式ブログです。

第6回 クラウド プログラミング ワールドカップ:CPWCの募集が始まりました。

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Cloud Programming World Cup(第6回 学生クラウド プログラミング ワールドカップ)のエントリーが始まりました。ワールドカップ賞(最優秀賞) 賞金30万円!

詳しくは、

The 6th Cloud Programming World Cup 公式サイト まで。お待ちしています!

昨年11月に開催された5th CPWCの表彰式と講評をご参考までに掲載しておきます。

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CPWC(学生クラウドプログラミングワールドカップ)は、VRソフトウェアの新たな可能性を追求するコンペ。早いもので、今年は5年目を迎えた。フォーラムエイト社のUC-Win/Road、VR-Cloudの開発キットをベースに、若いアイデアを結集させて、アプリケーション開発を競って頂くものである。

桜が花開く頃、「キミの思考回路は未知の宝への地図」をテーマに募集を始めたところ、過去最多となる27の企画書が提出された。シンガポール、台湾、オーストラリア、中国、韓国、日本の6ケ国からであった。7月にボストン・MITで予選選考会を実施して、10月の作品提出に向けて補強すべき点を各チームにフィードバックした。そして、10月のノミネート審査には9作品が出品された。審査員は、アイデア、実用可能性、プログラミング力、プレゼンテーション、完成度の審査項目に基づいて評価を行い、8作品が最終プレゼンテーションへ。そして、11月16日、各チームが最終プレゼンテーションを2分ずつ行い、壇上の各審査員がVR-Cloudの投票システムで1位と2位を投票、最終審査を実施した。

栄えあるグランプリに輝いたVAEGIS(国民大学・韓国)の「Car that Knows Before You Do via Deep Learning」は、ADAS(Advanced Driver Assistance System: 先進運転支援システム)の高度化を目指した作品。運転操作を予め予測して、事前にドライバーに警告することで、余裕を持って危険を回避したり、危険に備えることができる。このため、カメラ、アイトラッカー、ヘッドトラッカー、CANインターフェースをシミュレータに装備し、複数の感覚ストリームの予知を合同で学習し、シミュレーションソフトウェアに統合した。提案内容の質の高さ、及び、完成度で他の作品よりも群を抜いており、最終審査では、審査員全員が1位投票していた。

次に、審査員特別賞を紹介する。

  • 環境設計情報学賞「Embrace the epoch of automatic driving」:ITSCer(武漢理工大学・中国)の作品は、UC-win/Roadの実車シミュレータに、自動運転SDKを追加したもの。SDKが周辺環境のデータを出力し、コントローラでの自己制御を可能にする。それにより、ドライバーは、マニュアル運転、自動運転を切り替えることができる。
  • Best Optimization Award「Optimization of Market Layout Based on Customer Behaviors」:Seven Dwarfs(上海大学・中国)の作品は、ショッピングモールのレイアウトの最適化するために、買い物にかける距離を指標化することで実現しようとしたもの。Kinectのアプリケーションで顧客の行動を収集し、UC-win/Roadのプラグインへ送り、記録していく。
  • UX Award「AugReal」:Penguin Gakuen(上海交通大学・中国)の作品は、VR空間とユーザのスマホをARで繋げようという試み。UC-win/RoadのVR空間に置かれたマーカに、ユーザのスマホをかざすことで、スマホ上に建物などの新たな3次元モデルがAR表示されるというもの。スマホ上で、3次元モデルを操作することもできる。
  • Traffic and City System Award「The Electronic Toll Gate of Urban Road」:666(北京建築大学・中国)の作品は、交通需要マネジメントのために各都市で設置されているERP(Electronic Road Pricing)システムをUC-win/Roadで実現するため、車両の電子タグを識別して自動的に通行料を徴収することのできるプラグインを開発した。車両ごとに異なる基準で自動的に料金収受を行うこと、また、車両数を数えることが可能である。

今年のCPWCは、過去最高となる27の企画書が提出されたが、最終的に作品提出まで達したのは、9作品であった。これは、システムを最後まで作り上げる難しさを表しているように思う。この意味において、最終プレゼンテーションに進まれた8チームには敬意を表したい。そして、来年は、世界各国からの作品応募をますます期待したい。また、最終プレゼンテーションでは、開発したシステムのセールスポイントを十分にわかりやすく伝えきれていないチームが数多く見られた。今後の努力と改善を期待したい。

 

都市と建築のブログ Vol.41 ローマ:一日にして成らず up!

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新年度がはじまりましたね。どうぞよろしくお願いします。

都市と建築のブログ 第41回目(2018年4月号)はイタリア・ローマをご紹介します。写真は、パンテオン。天窓から射し込む太陽光によりドームの内側の陰影が変わっていきます。ふと見上げたら、インベーダーのような形になっていました。天窓から侵入してきたのかと思いましたよ。

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■都市と建築のブログ バックナンバー

都市とITとが出合うところ 第49回 もうひとつの旅2017

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もうひとつの旅クラブ
NPO法人もうひとつの旅クラブは、大阪の観光化されていない「もう一つの大阪」を再発見し、自分自身も旅人とともに楽しむことを目的として2002年11月に発足した。筆者は2007年から参加している。大阪を愛するメンバーが知恵と汗を厭わずに「ご来光カフェ」「大阪まち遊学」の企画実施、「北浜テラス」への運営協力など、まち歩きやイベントを通して大阪の魅力を伝えるべく活動している。

氷見へ
活動のひとつに「もうひとつの旅」がある。これは、旅クラブのメンバーが現地を訪ねる研修旅行。2013年以来、瀬戸内国際芸術祭香川県)、南信州(長野県)、ぶんご大野大分県)、郡上八幡岐阜県)を研修先としてきた。5年目となる2017年は、富山県氷見市富山市に行くことになった。大阪メンバーは北陸新幹線で、東京メンバーは夜行バスで人口5万人の町にそれぞれ向かった。 

セイズファーム
高岡からレンタカーで氷見へ。東京メンバーと道中合流し、市街を抜けて、里山をずんずん上っていく。車体の底が擦りそうなほどの深い轍の林道をやっと抜けると、富山湾氷見市街が展望できる頂に出た。天気が良ければ富山湾からそびえ立つ立山連峰のパノラマが望めそうであり、そこにセイズファーム(SAYS FARM)はあった(図1)。

セイズファームは、地元の老舗魚問屋が休耕地を再生させて2007年に誕生したワイナリー。施設は斜面の段々に沿って配置されている。駐車場より上の段にはレストラン、ショップ、ギャラリー、テラス、ゲストハウスが、下側にはブドウ畑、ヤギやニワトリがいる牧場、ワイナリーがある。ブドウ畑は南面の斜面に沿って段々と続いている。

見学ツアーに参加すると農園スタッフ解説の下、ブドウ畑と醸造施設を案内してくれた。ワインは、100%自社原料のみのブドウで生産しており正に「氷見ワイン」。料理も、ここで育てた野菜、果物、卵、氷見でとれた魚や米を使用している。地産池消である。

みらいエンジン
道の駅氷見(ひみ番屋街)でシロエビのかき揚げや浜汁が入った定食をいただいてから、まちのタマル場へ。ここは、氷見市IJU応援センター「みらいエンジン」である。まちに暮らす人と、移住を考えている人とが出会い、交流できる場であり、しごと探し、住まい探し、なかま探しをサービスしている。㈱地域交流センターが運営しており、氷見市の委託事業である。余談ではあるが、I・J・Uターンのローマ字でつなげると、「移住」と読めるのは偶然なのか。

まちのタマル場自体が、氷見の古民家を利用した施設であるが、氷見の家はとにかく大きい。吹抜けが気持ちいい。聞けば、氷見では昭和13年(1938年)に大火があり、多くの家屋は能登地方から移築してきたそうだ(図2)。

宿泊先の「湯の里いけもり」でも氷見活性化への取り組みを聞いた。若い女将さんが地元の女将たちのネットワークを構築しつつ、インバウンド獲得に奔走している(図3)。

富山へ
氷見から新湊経由で富山へ。富山市はその都市構造を団子と串の構造へ変えていくまちづくりを目指している。串とは一定水準以上のサービスレベルの公共交通のことであり、団子とは串で結ばれた徒歩圏のことである。すなわち、公共交通を活性化させ、その沿線に居住、商業、業務、文化など都市の諸機能を集積させることにより、公共交通を軸とした拠点集中型のコンパクトなまちを実現しようとしている。これを実現する手段のひとつがLRT(次世代型路面電車システム)である。コンパクトシティは、経済発展と環境保全の両立に向けて、郊外への拡大を抑制しつつ、都市の中心部に機能を集約することを目指した都市政策であり、富山は、その先行事例として、パリ、ポートランドバンクーバーメルボルンと並び、OECDの報告書に紹介されている。

約7年ぶりに富山市に来てみると、街なかを走るLRTセントラム)は環状化が完成していた。また、セントラム富山駅は、JR富山駅ビルの地上階に突っ込む格好となっていた(図4)。訪問当日は雨模様であったが、JRとセントラムが濡れることなく、相互乗車できた。駅の北側にある、もうひとつのLRTポートラム)とは、来年度(平成31年度)つながるそうである。LRTに乗って駅ビルをくぐり抜けて南北を行き来する瞬間が楽しみである。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1804machinami_FukudaFinal.pdf

大阪府建築士事務所協会「まちなみ」2018年4月号)

都市とITとが出合うところ 第48回 VRサマーワークショップ イン ボストン (3)

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VRサマーワークショップ DAY3

DAY3は48時間ハッカソンの最終日。夕方には成果を発表する必要があり、徹夜で朝を迎えたメンバーもいた。当日は、招待講演セッションとして、MITの研究者より以下の講演が行われた(図1)。

  • Takako Aikawa, Mr. Christian Vazquez: Language Learning Application with VR(ビデオ通話とVRを用いた語学学習のアプリケーション)
  • Greg Demchak: Applications of AR/MR on BIM(BIM上でのAR/MR応用)
  • Emilio Frazzoli: Transportation(自動運転企業nuTonomy社での開発状況について)

夕方からは、ボストン郊外にあるWorld16メンバーの自邸に移動して(図2)、チーム毎の最終プレゼンテーション。成果を発表順に示す(図3)。

  • Thomas Tucker×Dongsoo Choi氏:360度LiDARスキャナを用いて、3次元点群データをリアルタイムに取得した後、メッシュ化を行い、VR(UC-win/Road)に入力するワークフローを構築した。
  • Marcos Novak氏×筆者:3Dモデルの画像処理のためのフレームワーク開発。VRで通常行うRGBレンダリングとは異なる、不要な要素を非表示にするなど目的に応じてレンダリング表現を変更するシェーダープログラムとセグメンテーションプログラムを開発した。
  • Kostas Terzidis×Amar Bennadji氏:ストーリーテリングの技法を応用して、VR仮想空間のある地点に辿り着くと、その移動手段や目的、状況などに応じて相応しい情報が音声案内されるシステムを開発した。さらに、VR空間上で、3次元モデルに色編集を行うシステムを提案した。
  • Matthew Swarts×Marc Aurel Schnabel氏:VRをより開かれた参加型環境とするために、JavaScript等で開発した外部ツールとVRの連携を可能にするプラグインを開発した。あらゆるインターフェースに対応するサーバを有することで、VR上でブロックベースのゲーム、スマートフォンでのオブジェクトのインタラクティブ操作、半球状スクリーンでの没入型・参加型VR体験などが可能になる。
  • Paolo Fiamma×Ruth Ron氏:マイクロシミュレーションプレイヤーを用いて、これまで可視化されてこなかった、建物データや建設プロセスを動的に見せるシステムを開発した。実例として、赤外線サーモグラフィカメラで取得した建物壁面温度マップの変化と、建設重機による施工プロセスの時系列アニメーションを自動生成した。
  • Wael Abdelhameed氏:遺跡の時系列都市モデルをUC-win/Roadマイクロシミュレーションプレイヤーを用いて、時代別に表示できるシステムを提案・開発した。実際の中東遺跡都市モデルを作成し、城壁・建築群を時代ごとに比較観察できようなプロジェクトが進行中である。

最終プレゼンテーションが終わり、その後の交流会が盛り上がったことは言うまでもない。 

DAY4

朝からエクスカーションへ。MIT博物館では、ロボットやホログラムの発展史が興味深い。ハーバード大学では、なじみ深いWorld16メンバーがキャンパスを直々に案内。アメリカで唯一のコルビジェ建築(カーペンター視覚芸術センター 図4)、レンゾ・ピアノ設計のハーバード美術館増築(図5)、ハーバード大学GSD(The Harvard Graduate School of Design: デザイン大学院 図6)などが興味深かった。

ボストン滞在最後となる夕食会でアカデミー奨励賞が発表され、Marcos Novak氏×筆者、Matthew Swarts×Marc Aurel Schnabel氏、Kostas Terzidis×Amar Bennadji氏、Ruth Ron×Paolo Fiamma氏が受賞した。今回は8回目を数えたサマーワークショップであるが、チーム対抗戦でハッカソンに取り組んだワークショップは初めてであった。この方法は、メンバーのモチベーション向上と共に、開発内容の質の確保にもつながったように思う。

2018年のVRサマーワークショップはニュージーランドに決まった。南半球では初開催となる。今から楽しみである。

 

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1803machinami_FukudaFinal.pdf

大阪府建築士事務所協会「まちなみ」2018年3月号)

CAADRIA2018国際会議@北京: ShortPaper, Posterの〆切は2月12日です

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建築・都市分野のコンピュータに関する国際会議CAADRIA(Computer Aided Architectural Design in Asia)は今年5月17-19日、北京・清華大学で開催されます。この学会に向けて、Paper Selection Committee Chair(論文選考委員長)を仰せつかり、日々、仕事に励んでいます。

既に、査読付きのFull Paperの募集は終わりましたが、Short PaperとPosterの募集が行われています。〆切は2月12日です。以下、募集が終わった内容を省いて掲示しておきます。どうぞよろしくお願いします。

CAADRIA 2018 CALL FOR PAPERS
The 23rd International Conference on Computer-Aided Architectural Design Research in Asia

17-19 May 2018
Tsinghua University, Beijing, China
http://www.caadria2018.org

Conference Theme: 
Learning, Prototyping and Adapting

Rapidly evolving technologies are increasingly shaping our societies as well as our understanding of the discipline of architecture. Computational developments in fields such as machine learning and data mining enable the creation of learning networks that involve architects alongside algorithms in developing new understanding. Such networks are increasingly able to observe current social conditions, plan, decide, act on changing scenarios, learn from the consequences of their actions, and recognize patterns out of complex activity networks. While digital technologies have already enabled architecture to transcend static physical boxes, new challenges of the present and visions for the future continue to call for both innovative responses integrating emerging technologies into experimental architectural practice and their critical reflection. In this process, the capability of adapting to complex social and environmental challenges through learning, prototyping and verifying solution proposals in the context of rapidly shifting realities has become a core challenge to the architecture discipline.

Supported by advancing technologies, architects and researchers are creating new frameworks for digital workflows that engage with new challenges in a variety of ways. Learning networks that recognize patterns from massive data, rapid prototyping systems that flexibly iterate innovative physical solutions, and adaptive design methods all contribute to a flexible and networked digital architecture that is able to learn from both past and present to evolve towards a promising vision of the future.

CAADRIA 2018 invites original high quality papers and posters presenting current computer-aided architectural design research in a general sense, accommodating a broad spectrum of approaches ranging from speculative, informal investigations to conventional scientific research, including but not limited to the following topics:

- Computational design research and education
- Computational design analysis
- Generative, algorithmic and evolutionary design
- Digital fabrication and construction
- Collaborative, collective and participative design
- Design cognition
- Virtual/augmented reality and interactive environments
- Virtual architecture and city modeling
- Human-computer interaction
- Ubiquitous and mobile computing
- Practice-based and interdisciplinary computational design research
- Theory, philosophy and methodology of computational design research
- Simulation and visualization
- Building Information Modelling
- AI for design and built environments
- IoT for built environments
- Smart cities and smart buildings

Besides the above specific theme, CAADRIA 2018 invites short papers on general topics in computational design research, and posters on digital architectural design works that have been constructed. Young researchers currently involved in postgraduate studies are invited to submit their work-in-progress research papers to the Postgraduate Student Consortium.


IMPORTANT DATES

 

SASADA AWARD
Sasada Award Nomination: 30th November 2017
Notification of Acceptance: 1st February 2018
Submission to: sasada@caadria.org

POSTGRADUATE STUDENT CONSORTIUM
For young researchers currently involved in postgraduate studies.
Postgraduate Student Consortium Submission: 31st March 2018
Submission of work-in-progress research papers to: pgsc@caadria-review.org

POSTERS AND SHORT PAPERS
Poster and Short Paper Submission: 12th February 2018
Notification of Poster and Short Paper Acceptance: 4th March 2018
Poster and Short Paper Submission: caadria2018@126.com

PRE-CONFERENCE WORKSHOPS
Workshop Proposal Submission: 15th January 2018
Notification of Workshop Proposal Acceptance: 31st January 2018
Call for Workshop Participants: 1st February 2018
Workshop Proposal Submission: caadria2018@126.com

CONFERENCE
Conference website: www.caadria2018.org
Contact conference organizer: caadria2018@126.com

Committees
CAADRIA 2018 Paper Selection Committee
Tomohiro Fukuda, Chair (Japan)
Weixin Huang (China)
Patrick Janssen (Singapore)
Kristof Crolla (Hong Kong)
Suleiman Alhadidi (Australia)
Submission inquiries: psc@caadria-review.org

CAADRIA 2018 Short Paper Selection Committee
Weixin Huang, Chair (China)
Mani Williams (Australia)
Dan Luo (China)
YiXin Wu (Taiwan)
Submission inquiries: caadria2018@126.com

CAADRIA 2018 Postgraduate Student Consortium Committee
Dagmar Reinhardt, Chair (Australia)
Submission inquiries: pgsc@caadria-review.org

CAADRIA 2018 Local Organizing Committee
Weiguo Xu (Chair)
Weixin Huang
Yuguang Liu
Yufang Zhou
Feng Xu
Lei Yu
Contact : caadria2018@126.com

CAADRIA INFORMATION
www.caadria.org

建築学会 情報シンポ 2017の動画をアップしました!

少し時間が経ちましたが、2017年12月に建築会館(東京・田町)で開催された日本建築学会 情報シンポ2017(第40回 情報・システム・利用・シンポジウム)の基調講演4題とオープニング・クロージングセッションの動画をYoutubeにアップしました!今年度から伝統ある情報シンポを企画する主査(=世話人)を仰せつかっております。

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都市とITとが出合うところ 第47回 VRサマーワークショップ イン ボストン (2)

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VRサマーワークショップ DAY1

VRサマーワークショップは、MIT産業学際会(ILP: Industrial Liaison Program)の会議室で行われた。チャールズ川とボストンの美しい街並みが広がる贅沢なロケーションである。

オープニング・トーク・セッションでは、フォーラムエイト代表取締役 伊藤裕二氏、MIT産業学際会代表 カール・コスター氏、MIT産業学際会所長 矢野敬二氏が、ウェルカム・スピーチを行った(図1)。

World16セッションでは、小林佳弘氏(アリゾナ州立大学/アメリカ)の進行により、今回参加した11名のWorld16メンバーがそれぞれ、最近の研究成果とこのサマーワークショップで取り組む提案内容をプレゼンテーションした(図2)。プレゼンテーションの後、各メンバーは画用紙を手にして、2日間のワークショップで実施したい内容を詳しく書きこんでいった(図3)。

MITキャンパスのレストランで昼食した後、MITキャンパスツアーへ。MITメディアラボが入る、槇文彦氏が設計した新しい校舎は、屋内外ともにガラスを多用して透明感に溢れていた。レゴ社が寄贈した校舎の模型がユニーク(図4)。フランク・ゲーリー設計のスタタ・センターの内部には、以前、MITのシンボル・グレートドームの屋根に一夜にして置かれたとされるパトカーが飾ってあった。聞くと、当時は大騒ぎになった話だそうだが、遊び心に満ちたMITの学生によるいたずら話。グレートドームに置かれたのは、本物のパトカーではなく、原寸大の模型なのだそうだ。グレートドーム付近では、夏休み真っ只中ということもあり、アジア各国を中心として高校生たちがキャンパスツアーに訪れていた。チャールズ川をゆったりと歩いて(図5)、会議室に戻り、ワークショップを再開する。

World16の各メンバーが昼食前に作成した、ワークショップでの開発提案の画用紙を壁一面に張り出し、アイデアを順に披露していく。他のメンバーからの質問やコメントを基に、アイデアをブラッシュアップしていく。いわゆる、アイデアソンである(図6)。最終的には、テーマに共通性がありそうな提案を結び付けて、以下のようなチームおよびテーマとなった。

  • Thomas Tucker & Dongsoo Choi氏(バージニア工科大学/米国):短時間での点群データの取得と3Dモデル作成
  • Marcos Novak氏(カリフォルニア大学サンタバーバラ校/米国)×筆者:汎用画像処理シミュレーションフレームワーク開発
  • Kostas Terzidis氏(ハーバード大学/米国)×Amar Bennadji氏(ロバートゴードン大学/英国):適応的オーディオと拡張現実提供サービス構想
  • Matthew Swarts氏(ジョージア工科大学/米国)×Marc Aurel Schnabel氏(ヴィクトリア大学ウェリントンニュージーランド):協調設計プラットフォーム研究開発
  • Paolo Fiamma氏(ピサ大学/イタリア)×Ruth Ron氏(シェンカル工科デザイン大学/イスラエル):IM&VR nD情報オープンフォーマットと可視化機能開発
  • Wael Abdelhameed氏(バーレーン大学/バーレーン):UC-win/Roadマイクロシミュレーションプレイヤーを利用した遺跡発掘データの時系列表現

DAY2

DAY1で作ったチームに分かれて、各プロジェクトが具体的に始まった。作業がひと段落すると、ホワイエに出て、チャールズ川に浮かぶヨットやボートを眺めてリフレッシュ(図7)。昼食は集中力を切らさないように、会場までケータリング・サービスを依頼した(図8)。真剣に議論を続けるチーム、開発を始めるチームなどハッカソンの進め方は多様であった(図9)。

いよいよ明日DAY3はワークショップ最終日。夕方には成果をプレゼンテーションしなければならない。ホテルに戻ってからも、夜遅くまで、プロジェクトは続いた(図10)。

 

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1802machinami_FukudaFinal.pdf

大阪府建築士事務所協会「まちなみ」2018年2月号)

都市と建築のブログ Vol.40: 南京:多少楼台煙雨中 up!

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明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。

都市と建築のブログ 第40回目(2018年1月号)は中国・南京をご紹介します。写真は、学会で訪問した南京大学。シンボル的な建物・北大楼はツタに覆われていました。

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都市とITとが出合うところ 第46回 VRサマーワークショップ イン ボストン (1)

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World16 10周年
 2017年を振り返れば、建築・都市分野の方々と、BIM(Building Information Modeling)、コンピュテーショナルデザイン、i-Construction、VR(Virtual Reality)などの雑談をする機会が明らかに増えた。政府が発表したSociety5.0の実現には、ソフトウェア技術の大きな貢献が求められるが、ものづくりの現場ではソフトウェア・エンジニアが不足しており、ヘッドハンティングの依頼が増加していると聞く。2018年以降、建築・建設とITをつなぐスキルを有する人材の育成はますます求められてくるだろう。

 2017年は、世界各国の建築・建設・都市系研究者が会して、VRソフトウェアなどの3Dデジタル技術の実用化を考える研究会「World16」が結成されて丸10年を迎えた節目の年となった。2007年秋に8名のメンバーで構成される「World8」がスタートし、その後、メンバーが増えてWorld16となり、現在まで続いている。

 2017年7月、アメリカ・ボストンのマサチューセッツ工科大学(MIT: Massachusetts Institute of Technology)を舞台として、国際VRシンポジウム・第8回サマーワークショップ イン ボストンが開催された(図1)。VRサマーワークショップは、その年の11月に東京で開催される国際VRシンポジウムでの成果発表に向けて、World16メンバーが取り組むハッカソンである。

 サマーワークショップの開催地は、World16メンバーの活動拠点を中心に、これまで、アメリカ・フェニックス(2008年)、箱根(2009)、アメリカ・サンタバーバラ(2010)、イタリア・ピサ(2011)、ハワイ(2014)、ギリシャテッサロニキ(2015)、大阪(2016)で開催されてきた。そして2017年は、ボストンのMITで実施することになった。サマーワークショップ期間中、CPWC(Cloud Programming World Cup: 第5回 学生クラウドプログラミングワールドカップ)の予選選考会や、TV番組の取材などがあり、7か国から約40名が集まった。本稿では、サマーワークショップの舞台となった、ボストンをご紹介しよう。 

ボストン
 ボストンは、ボストン虐殺事件(1770年)、ボストン茶会事件(1773年)、アメリカ独立宣言(1776年)が読み上げられた旧州議事堂など、アメリカ建国に深く関わりのある古都である(図2)。また、アメリカ最初の公園(ボストンコモン 1634年)、最初の大学(ハーバード大学 1636年)、最初の植物園(パブリック・ガーデン 1837年)、最初の公立図書館(ボストン公共図書館 1848年)、最初の地下鉄(グリーンライン 1897年)など、アメリカでの最初の施設が作られてきた。近年では、都市再開発の試みとして、ファニエルホール・マーケットプレイスウォーターフロントでの歴史的建造物の保存・活用)、ビッグ・ディグプロジェクト(高速道路の地下化による都市分断解消と地上部の公共空間創出)などが進められてきた。隣接するケンブリッジと併せ、伝統ある大学が集まる世界有数の学園都市でもある。

 宿泊先のB&Bから、アメリカ初の地下鉄・グリーンラインに乗って、ボストンコモンへ。通常の地下鉄は、都市圏内で旅客の大量輸送を高速で行う、都市高速鉄道として整備されるが、このグリーンラインは、路面電車を直通運転させる目的で都心部が地下鉄化されたものである(図3)。そのため、地下鉄のホームは路面電車と同じく、線路敷とほぼ同じ高さ。そこに2両編成の路面電車が、ゴトゴトとやってくる。乗車した後も、普通の地下鉄よりはるかに遅く、地上の道路に沿った急カーブの地下トンネルをまるでテーマパークのアトラクションのごとく、進んでいった。パークストリート駅で降り、ボストンコモンからフリーダムトレイルを歩いてみる(図4)。

 フリーダムトレイルは、1951年創設と歴史あるトレイルコース。ボストンコモンからチャールズタウンのバンカーヒル記念塔までの全長4kmであり、これを辿ると、旧州会議事堂(図5)、ファニエル・ホール、オールドノース教会(図6)など、アメリカ建国の歴史にまつわる史跡16ヶ所を巡ることができる。道路には赤いレンガのラインが描かれており、地図を眺めなくても迷うことはない。道中、レンガと石造りの素敵な建物が並んでいる中で、まるで大阪ミナミにありそうな牡蠣の看板に出会えた(図7)。フリーダムトレイルの到着地・バンカーヒルから都心への戻りは、ウォーターシャトルを使ってみる。都心と水辺が近くて気持ちがいい(図8)。

 その他に出会ったボストンの素敵な風景。公共図書館の中庭に射し込むCGで描いたような太陽のスポットライト(図9)、高級店の集まるバックベイ地区のバックストリート(図10)、ボストンらしい建物に付けられた鉄骨の非常階段(図11)、コミュニティ・レンタサイクルでの通勤(図12)、そして、地元の農家や魚屋が入りイートイン・スペースもあるボストン・パブリック・マーケット(図13)。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1801machinami_FukudaFinal.pdf

大阪府建築士事務所協会「まちなみ」2018年1月号)

都市とITとが出合うところ 第45回 香港中文大学 国際研修プログラム2017 (3)

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ISP2017 @大阪・関西 その3

今年5月、香港中文大学 中國城市住宅研究中心が企画するInternational Study Programmes(ISP: 国際研修プログラム)の最終回。本稿では、香港と同様、小さな漁村から港町として発展してきた神戸の様子をご紹介しよう。神戸市役所、KIITO、旧居留地、メリケンパークを歩いて巡り、クルーズ船から神戸の夜景を楽しんだ。

先駆的な景観施策

神戸市は、1978年に神戸市都市景観条例が制定されて以来、神戸の恵まれた自然と海、坂、山という変化に富んだ地形を活かしながら、美しいまちなみの形成を図り、全ての人が住み続けたい、また訪れてみたくなる魅力あふれた都市の実現を目指してきた。以下が主な取り組みである。

  1. 地域・地区指定による景観形成: 景観計画区域、都市景観形成地域の指定、景観形成指定建築物等届出制度、伝統的建造物群保存地区
  2. 神戸らしい眺望景観・夜間景観: 建築物等の誘導基準の運用
  3. 市民主体の景観まちづくりの推進: 景観形成市民団体の認定、景観形成市民協定の認定
  4. 景観形成重要建築物等指定制度
  5. 普及啓発活動(神戸市都市デザイン賞)、景観形成助成


デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)

デザイン・クリエイティブセンター神戸は、旧神戸生糸検査所をリノベーションした施設。1927年に旧館が、1932年に新館がそれぞれ完成し、ここで検査を終えた生糸が神戸港から輸出されていった。その後、役割を終え、上で紹介した「4. 景観形成重要建築物等指定制度」で、歴史的な建築物や地域のシンボルとなっている建築物など景観上重要な建築物等として「景観形成重要建築物等」の指定を行い、保全・活用した。一部のクリエイターやデザイナーだけでなく、様々な人や世代が交流し、そこから生まれるアイデアや工夫で新しい神戸をつくっていこう、そして、神戸のまち自体をクリエイティブなものにしていこうと、日々、実践している。リノベーションされた施設にはかつての検査所で使われていた物品が改修され、什器や装飾として蘇っている。尚、KIITOの前面道路である、国道174号線は日本一短い国道。全線がわずか187.1m。


KOBE
パークレット

居留地の北側、三宮中央通りにパークレット(Parklet)が3基設置されている。これは、サンフランシスコが発祥の、憩いや賑わいの場を創出するための装置である。車道の一部を利用したパークレットはわが国では神戸が初めての取り組み。パークレットの構造は、シンプルであり、まず、停車帯などに傾きや段差が生じないように床材(ユニットデッキ)を張る。次に、車と歩行者を分離するための囲い(ガードパイプ)を作る。最後に、人々が休憩したり、会話をするための施設(ベンチ、テーブル等)を設置する。ショッピングや街あるきで疲れたら休めるし、近くのお店で買ったものを飲食することもできる。人々がふと腰を下ろして憩える公共空間があまりに少ないと日々感じているが、パークレットはこの問題の改善を目指した道路空間での試みだといえよう。


メリケンパーク

メリケン波止場は明治政府が兵庫の第3波止場として開設した波止場。名前は、近くに米国領事館があったことに依る(アメリカン -> メリケン)。1987年、神戸港開港120年を記念して、波止場の西側一帯が埋め立てられてメリケンパークが誕生した。北東の入り口には、建築家 フランク・オーウェン・ゲーリーの「フィッシュ・ダンス」が建つ。メリケンパークは、今年、開港150年を契機に、ウォーターフロント地区の魅力向上のために、大規模リニューアル工事が完成した。芝生広場の拡張、ステージの改修、夜間景観の演出、「BE KOBE」のモニュメント設置、スターバックスの公園内店舗の出店などである。


夜景クルーズ

神戸の夜景スポットは数多くあるが、やはり、港町の夜景はやはり海から眺めたいものである。海面に近く、小回りが利く船を探していたところ、早駒運輸㈱より、夕暮れ時に小型船「ファンタジー号」を出して頂くことになった。出航してから45分間、港からの夜景を満喫させて頂いた。丁度、秋篠宮殿下が来られており神戸大橋もライトアップ。船は「BE KOBE」オブジェクトにも最大限寄ってくれた。香港メンバーは明日、日本を離れて米国へ旅立つため、日本で最後の夜になったのだが、神戸ビーフのお蔭もあってか、ディナーは大層盛り上がった。

 

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1712machinami_FukudaFinal.pdf

大阪府建築士事務所協会「まちなみ」2017年12月号)