「水木しげるロード(鳥取県境港市)」が、(一社)照明学会の2019年照明デザイン賞最優秀賞を受賞しました。
●受賞者
長町 志穂(株式会社 LEM空間工房)
熊取谷 悠里(株式会社 LEM空間工房)
●作品関係者
事業主:中村 勝治(境港市長)
灘 英樹(境港市 建設部 次長 兼 水木しげるロードリニューアル推進課 課長)
●設計関係者
土木設計:栗原 裕(有限会社 ユー・プラネット)
システム設計:伊藤 貴史(ウシオライティング 株式会社)
VR監修:福田 知弘(大阪大学大学院工学研究科 准教授)
水木しげるロードのリニューアルプロジェクトは、公共道路空間の新たな魅力化と昼夜にわたる集客を期待するまちづくりとして、歩道拡幅整備と照明デザイン等により2018年夏に完成したものです。道路環境の改善とともに「日没後まで居たくなるまち」をめざして、照明効果により「妖怪の気配を感じられる光のナイトミュージアム」としてリニューアルすることを照明デザインとして提案し実現しました。
約800mの歩道は、177体のブロンズ彫刻が再配置され「妖怪影絵」「音と光の演出」をはじめとする、異なる照明手法と効果を公共照明としてとりいれた「光をめぐるまち」となっています。すべての照明は、全域でトータルに細かくプログラム制御し、水木しげるロードに相応しいエンターテイメント性と深夜の省エネルギー、安全安心を同時に実現しています。
境港市と大阪大学は、設計段階において、水木しげるロードの全体像の検討と合意形成に向けてVR(人工現実)技術を応用した共同研究を (有) ユー・プラネットや (株) LEM空間工房の設計関係者と連携しながら実施しました。
審査講評では「通常このような計画は、短期イベントでも道路照明や景観照明の規制や基準、あるいは様々な意見に阻まれることが多い。しかし、これら多くの課題を照明デザイナーと熱意ある行政担当者や住民が一致協力して解決し、常設の施設として成立させた本件は、照明デザインの歴史に足跡を残す意義のあるプロジェクトといえるだろう。」と評価されています。
実現に向けては様々な大きな壁を乗り越える必要がありましたが、チームが知恵と技術と汗を結集して壁をひとつひとつ乗り越えていきました。5月の10連休で、43.6万人が訪問したそうです。皆さまも是非、ご訪問ください。