JUDIセミナー「測量・計測技術の現在とその活用 新しい都市環境デザインへのアプローチ (講師:井内 努(PASCO 事業推進室 事業推進課 課長)」お疲れ様でした。ナビゲータを務めさせて頂きました。ありがとうございました。
セミナー中にご紹介したURLや頂いた質問など、下記に追記しておきます。
- 緑視率の可視化
- GISとBIMの統合
- RESAS
- 点群
- ご来光カフェ
1. 緑視率の可視化(都市の豊かさマップ)
Treepedia メニューのひとつは、緑視率の可視化。世界各都市の緑視率の可視化がわかりやすく表示されている。日本では神戸市。
運用:MIT Senseable City Lab
伊能忠敬は地上を歩いて壮大な地図を作った。今は、上空から地図が作れる(将来は衛星で全てリアルタイムに?)。緑視率マップは、再び地上から壮大な地図を作る試み?
Treepediaでも緑視率の計算対象としているGoogle Street Viewは、ある地点での全周囲パノラマ画像。Google Street Viewの場合は、網羅的にストックされている利点がある。各地点でのパノラマ画像をつなぐと、多少途切れてはいるものの、連続的になる。
一方、撮影時期とユーザの観察時期とのタイムギャップが存在(=課題)。リアルタイムに取得できないか?ということで、ライブビデオから緑視率をリアルタイムに計算するシステムの開発を進めている。従来の画像処理技術では抽出能力に限界があるため、現在は人工知能を取り込んでMRシステムを統合させながら開発中。
2. GISとBIMの連携
GISで都市の運用から計画策定まで、BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)で建物の設計から生産まで、をそれぞれ行い、データを相互運用していこうとするもの。以下は、GISのESRI社とBIMのAUtodesk社が連携したニュース。
先月、ポーランド・ウッチで開催されたeCAADe2018国際学会での基調講演のお一人Antje Kunze氏(Solution Manager for BIM and Smart Cities, Esri Germany)からも、この話題が紹介された。
Geodesign Steps Up to Shape the Future | ArcNews
3. RESAS
地域経済分析システム
運用:内閣府 まち・ひと・しごと創生本部
産業構造や人口動態、人の流れなどに関する官民のいわゆるビッグデータを集約し、可視化を試みるシステムである。地域経済分析システム
RESASに限らず、気をつけたいこととしては、過去から現在に至る統計データは実態調査結果なので信頼性が高い。一方、将来のシミュレーションデータはある観点や判断基準により計算されたものであり、基準が変われば、結果は当然変わる。
4. 点群
現状の空間を3次元デジタル化するために、レーザーや写真から点群を作ることが行われている。取得した点群は通常、ひとつの塊(ひとつのオブジェクト)であり、これを利用するために膨大な作業が必要となっている。できれば、道路、交通標識、植栽など、必要に応じて区分けしたい(セグメンテーション)。研究室では、いくつか取り組んできた。
また、工事の出来高管理のために、建設現場でドローンを飛ばして、点群化する試みも行われている。が、工事作業中に点群化しようとすると、稼働中の工事車両や作業員が写真に含まれてしまい、それらがノイズとなって、綺麗に点群化できない。以下の論文は、撮影された写真からノイズを除去した上で、点群化しようとするもの。
5. ご来光カフェ
「測量・計測技術」とか「環境デザイン」とか聞くと難しい話、自分自身と関係ない話と考えがち。でも、身近でもある。今、開催されているご来光カフェについて、Google Earthなどでご来光がどこから上るのか、シミュレーションしてみよう。9/1だとご来光は淀屋橋から望めるのか(ビルの向こうに隠れてしまう)、10/1だとどうか(生駒山の向こうから綺麗に見える)、10/15を過ぎると(またビルに隠れてしまう)、シミュレーションできる。
9月頃に、ご来光カフェの紹介をすると、「行きたいんですが自宅から間に合わない・・・」と返答されることが多いので、「朝6時までに淀屋橋に到着する鉄道路線マップ」を作りました。このマップを作ってわかったことは、「ある時刻迄(この場合は、朝6時)に、X駅(淀屋橋駅)に到着する全路線を検索せよ!」というシステムはなさそうだ、ということ。これも、地図情報がらみです。
おまけ
左の写真は昨日、大阪駅前第2ビルで頂いたウィンナ・コーヒー (Wiener Kaffee)。初めて出会ったのは、神戸ポートピア博覧会'81のUCCコーヒー館だと思う。メニューを見て、コーヒーに何とソーセージが入っているのか?興味本位で注文してみると、なぜクリームたっぷりのコーヒー?と、はてなマークが辺りに飛び散っていたことを思いだした。「ウィンナ」とは「ウィーン風の」という意味だが、ウィーンに行くとウィンナ・コーヒーはなかった。明石に明石焼きがない(当地では玉子焼きと呼ぶ)のと同じ理屈であろうか。アインシュペナーというそう。ウィーンでも、コーヒーと同じくらいの生クリームがたっぷりだった(右の写真)。