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ふくだぶろーぐ

福田知弘(大阪大学 大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻)のオフィシャルブログです。

元気・挑戦・ユーモア(2):高松4町パティオデザイン

高松4町パティオ

2月に開かれた「先進三次元研究会8周年記念セミナー in 明石」での講演レジメ、昨日に続いて2回目です。


■高松4町パティオデザイン
高松都心にある広場(広場といっても管理上は道路用地)を、ほっこり空間にする計画。

10年ほど前から、公共空間を活用して都市の賑わいを形成しようとする取り組みがオープンカフェ実験をはじめとして推進され、現在全国的な広がりが見られます。しかし、10年近く経った今尚、公共空間に限っていえば期間限定のイベント・実験止まりで、特に道路用地(歩道や路地など)では、交通に支障を与える影響や公共/公益性・公共性等の理由により、たとえ充分な幅員があったとしても恒常的に活用されている例はほとんど皆無のようです。ご存知のように欧米では歩道や車の通らない路地空間を賑わいの場として当然のように活用されています(もちろん使われ方等の歴史が違うのも大きな要因です)。

例えば、人が屋外で寛いでいるのを目にすることで他の人々も惹きつけられ、賑わいの相乗効果を生み出すことでしょう。それと共に、人が監視の役割も果たすので安心・安全上の効果もあるでしょう。監視カメラへの設置やユビキタス・コンピューティングの取組みも大切ですが、そもそも人間が自身の感性をより磨くための工夫も考えなくてはならない時期のように思えます。

さらに、空間を創るプロセスや出来上がってからの運営プロセスに地域住民への参画を促すことで、街に対する再発見や愛着の芽生えに繋がり、ひいては活性化への引き金へとなります。地方は都心部が元気であることが特に重要ですから。

こうした公共空間の活用について国レベルでは弾力化の方針を打ち出しているものの、最終的には現場レベルでの判断となります。そしてそこでは未だに厳しい対応を実感します。公共空間の利用許可を相談した時には「あなたの組織には利用を認めたいが、もし認めたら他の組織を断る理由がなくなる」とよく言われます。
一方で、昔では想像できない責任追及が発生している事実もあり、一概に管理者の問題だけとは言えないのかもしれません。市民型社会になりつつある今、公共空間をどう使うべきか、いざという時に誰が責任をとるのか充分にまだ合意形成できていないように思えてなりません。

高松4町パティオは都心商店街の南部地区に位置し、道路用地である広場に、パラソルを常設して賑わいの場を提供しようと企画しています。地元商店街・自治体が4町パティオ協議会を作り協議会が事業主体となって、行政の補助を受け整備しようと進めているプロジェクトです。これまで2005年春より、3次元+時間軸を加えた4次元(VR + blog)を扱いながらデザインを進めてきました。
現地測量から現場の寸法を拾い上げて現状のVRコンテンツを作成するところからはじめ、打ち合わせでの検討項目に沿ってデザイン案の検討を進めると共に、その検討案をメンバー間で共有するためのVRコンテンツを制作していきます。そこに関わる専門家は、落下傘部隊では駄目で「一緒に考えて行動しよう」という姿勢が求められます。

「ここまで充分検討してきた」という地元の熱意を行政や市民に伝えるためにも、VR(Virtual Reality)は必須のツールだと言われています(但し、VRがあれば計画がうまくいくという事ではありません。VRはツールなので、当然計画の内容が重要です。魅力的なツールほど諸刃の剣なのです)。

ブログ利用面でのトピックスを紹介しますと、まちなかの公共空地を研究対象としている香川大学の学生が、2006年7月に4町パティオ協議会ブログへコメントしてきました。当時学生は協議会メンバーと面識はなく、コメントの内容は自己紹介と協議会に対するヒアリング調査の依頼でした。すなわち、ブログを介して新たな研究機会を求めたといえます。以後学生は2006年夏に広場来訪者の観察を行うなど、協議会の取組みに参画してきました。そして、2007年2月には彼女の卒業研究の一環として「足湯」イベントを企画・実施されました。
4町パティオ広場が人々が出会う物理的な「出会いの場」を提供するというならば、ブログはデザインプロセスの記憶装置としての役割だけでなく仮想的な「出会いの場」を提供しているといえるでしょう。


■VRを使ったデザイン検討の様子

■4町パティオ広場デザインスタディVRカット

4町パティオ協議会BLOG


先進三次元研究会8周年記念セミナー in 明石 講演レジメに加筆・修正)