ふくだぶろーぐ

福田知弘の公式ブログです。

都市と建築のブログ Vol.38: 蘇州:不易流行 up!

都市と建築のブログ 第38回目(2017年7月号)は中国・蘇州をご紹介します。下記の写真は前回訪問した1999年の様子です。18年経つと...

f:id:fukuda040416:20170710173319j:plain

NAVERまとめにも都市と建築のブログの過去記事をアーカイブしています。

matome.naver.jp

■都市と建築のブログ バックナンバー

 

CAADFutures 2017

f:id:fukuda040416:20170708104117p:plain

f:id:fukuda040416:20170708104119p:plainf:id:fukuda040416:20170708104121p:plain

次週、イスタンブールで開催されるCAADFutures 2017のスケジュールがアップされました。研究室からの発表は下記となります(発表は7月13日)。

タイトル: Integration of a Structure from Motion into Virtual and Augmented Reality for Architectural and Urban Simulation: Demonstrated in Real Architectural and Urban Projects
著者: Tomohiro Fukuda, Hideki Nada, Haruo Adachi, Shunta Shimizu, Chikako Takei, Yusuke Sato, Nobuyoshi Yabuki and Ali Motamedi

これは、SfM技術 (写真から3次元オブジェクトを生成する技術) をVR用モデリングやARカメラパラメータ取得へと応用させる方法論を開発し、境港市 水木しげるロードリニューアルプロジェクト (VR検証実験)、大阪市 極洋電機本社ビル設計 (設計: アトリエドン+seki.design) (AR検証実験) の実プロジェクトで検証した研究論文です。

応募された論文の中で、Selected Paperとして選ばれたこともあり、書籍として、Amazonでも論文集の販売が既に始まっています。

www.amazon.co.jp

www.youtube.com

みのおエフエム「まちのラジオ」(大阪大学 社学連携事業 番組)

f:id:fukuda040416:20170708094049p:plain

f:id:fukuda040416:20170708094052p:plain

f:id:fukuda040416:20170708094055p:plain

大阪大学では、社学連携事業の一環として、みのおエフエムと連携し、「まちのラジオ」番組を運営しています。此度、僭越ながら、出演させて頂くことになりました。放送日は、下記の通りです。

  • 2017年7月13日 (木) 15:00-16:00 みのおFM「タッキー816」(再放送:同日21:00-22:00, 7月16日 (日) 13:00~14:00)


スマホアプリでは「日本ラジオ」で世界中どこからでも聴くことができるそうです。

上の画像は、事務局がO+PUSという阪大キャンパス内の大型ディスプレイに映し出すためのスライドを作成してくれました。

よろしくお願いします。

21c-kaitokudo.osaka-u.ac.jp

goo.gl

www.osaka-u.ac.jp

都市とITとが出合うところ 第40回 情報処理教育プログラム (2)

中身を理解する
 筆者の所属する環境・エネルギー工学科で学部生に提供している情報処理教育プログラムについて、前号はBIM(Building Information Modeling)ソフトを用いた環境デザイン演習について紹介した。

 高度情報社会の時代において、大学(院)を卒業してエンジニアとしての進路を目指す場合はもちろん、ビジネスに関わる上においても、ITの知識や技術スキルの差は、仕事の生産性に大きく影響する。現在の学生たちは、幼少の頃よりパソコンや携帯端末に接してきたデジタルネイティブだが、ハード・ソフトやそれらによるサービスの高度化・複雑化に伴い、その内部構造はブラックボックス化しており、触れる機会は少ない。そのため、ハード・ソフトがバージョンアップされてメニューが変わっただけで、もはやお手上げという状況が見られる。このような状況において、プログラングをはじめITの基礎を身につけておけば推測が可能となり、このような状況は少なからず回避できるであろう。当学科において、これを担う中心科目は、情報活用基礎E(学部2年生1学期)と情報処理(同2学期)であり、5年前に内容を大幅改定した。

 情報活用基礎Eは、2年生1学期に開講する必修科目である。約80名の受講生が、Windows PCの並ぶ情報教育室で、講義を受けながら演習を行う。4名の教員が分担して担当している。講義内容は、情報処理技術者試験経産省認定国家資格)のレベル1(ITパスポート試験)のテクノロジ系をできるだけ網羅した以下の内容としている。

  1. システムの基本操作、ファイル操作、メールの送受信(情報量の単位、文字表現など)
  2. 図書館ガイダンス
  3. コンピュータ・アーキテクチャ
  4. テキスト(テキストエディタ、文書作成ソフトの取得)
  5. 図・画像(ドローイング,画像作成ソフト(GIMP)の取得)
  6. プログラミング①(プログラムの考え方,演算子フローチャート等)
  7. アルゴリズムの基本構造①
  8. データ及びデータ構造
  9. プログラミング②
  10. 表計算(算術論理演算が可能な解析ソフトとしての表計算ソフト(Excel)の習得①)
  11. 表計算表計算ソフト(Excel)の習得②)
  12. 表計算表計算ソフト(Excel)の習得③)
  13. アルゴリズムの基本構造②、ネットワーク
  14. 課題発表会

Processingによるプログラミング
 以下、私の担当回を中心にご紹介しよう。

「3.コンピュータ・アーキテクチャ」では、殆どの学生がPCの中身を見たことがないことを受け、古いPCを分解しながら、各パーツを紹介(図1)。人間も知恵熱が出るように、CPU(=PCの頭脳)も熱が出る。なので、CPUには冷却ファンが必要などとウンチクを交えて。80名が一度にPCを見ることができないので、約25名/チームに分けてPC分解デモを実施。残りのチームは、MIPS値やデータ量の計算問題やタイピング演習(e-typingの英語タイピング:目標はまずBランク!)を実施してもらう。講義の最後に、Processingのチュートリアルサイトを紹介して、予習アナウンス。

f:id:fukuda040416:20170616115516j:plain
図1 PC分解デモ

「7.アルゴリズムの基本構造①」では、整列(ソート)の基本アルゴリズムである、隣接交換法、基本選択法基本挿入法を。アルゴリズムの流れが理解しやすいよう、パワポのアニメーションで解説する。ただ、アニメを眺めるだけでは、「わかったつもり」で終わる恐れがあるため、手書きの演習問題を加える。アルゴリズムを一通り解説した後、Processingの実装内容を解説する(図2)。

f:id:fukuda040416:20170616115805j:plain

図2 Processing: 隣接交換法

 Processingは、MITメディアラボで開発されたプログラミング言語であり統合開発環境IDE: Integrated Development Environment)である。Processingはサンプルも多く、プログラムを書き込んで実行すると、自動的にコンパイルしてくれ、エラー表示も比較的わかりやすいため、初学者にも扱いやすい(図3)。講義の最後に、Processingを用いたシステム開発課題を出した。最終回は全員プレゼンである(後述)。

f:id:fukuda040416:20170616121125j:plain
図3 Processing画面例

「13.アルゴリズムの基本構造②、ネットワーク」では、ネットワークの概念を説明した後、クライアント―サーバーネットワークを体感してもらうべく、2~3人でチームを作り、サーバー役とクライアント役に分かれて、Processingでサーバープログラム、クライアントプログラムをそれぞれ入力する。IPv4アドレスが個々のPCで異なるため、プログラムを単純にコピーするだけではできず、コマンドプロンプトを起動して、ipconfigコマンドを用いて、IPv4アドレスを調べる必要がある。GUIに慣れ親しんでいるせいか、正確なタイピングが不慣れなせいか、コマンドプロンプトの操作は意外に苦労していた。プログラムを実行すると、クライアントサーバ側のPCに表示されたキャンバス上をマウスでクリックすると点が描かれ、サーバー側のキャンバス上の同じ座標にも点が描かれる(図4)。

f:id:fukuda040416:20170616115842j:plain
図4 Processing: ネットワーク演習

「14.課題発表会」では、約1か月前に提示した、Processing開発内容をプレゼンテーションしてもらう。各受講生はテーマ「夏」からイメージを膨らませて、Processingを用いて、「静止画」「動画」「インタラクティブ動画」のいずれかを作成してもらう。発表会当日は、90分の授業時間で受講生全員がプレゼンするという条件から、50秒/人にて、作品の概要と開発したProcessingのデモを交えて順にプレゼンテーションしてもらう。画面内を金魚が泳ぐ作品、自分で撮影した線香花火を動画にして再生させた作品、マウスをクリックすると花火が上がる作品、ロールプレイングゲームなど、様々であった。1か月という短い期間で、自ら、または友人と試行錯誤しながら、何らかの作品を作り上げる作業は大変だったと思うが、発表会当日は頑張って仕上げてきた熱気が伝わってきた。尚、聴講者は、前号でも紹介した、Googleフォームを用いた学生間投票システムを使用して、プレゼンター全員の評価を全員にしてもらった。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1707machinami_FukudaFinal.pdf

大阪府建築士事務所協会「まちなみ」2017年7月号

都市とITとが出合うところ 第39回 情報処理教育プログラム (1)

高度な情報処理教育の取り組み

ICT(情報通信技術)革命の波は建築分野にも押し寄せている。ICT利用を基本とした建築計画がなされ、手書き作業がコンピュータ化され、さらに、ヒトが行う入力作業は自動化されつつある。建物には多様なセンサーが取り付けられ、ビッグデータが蓄積されている。建築物の大規模化、複雑化への対応、業務においては、情報化、国際化、効率化、高付加価値化への対応のために、情報の活用、ICTの開発と応用は、ますます重要になってくるであろう。

大学教育の現場に立って10数年が経とうとしているが、赴任以来、学部学生の教育の段階から、高度な情報処理教育プログラムを提供することを心がけてきた。若い頃にひとつでも多くの最新技術に触れておくことは何より大切であること、プログラミングは論理的思考力のトレーニングになることが主な理由である。また、コンピュータの中身やアルゴリズムを多少なりとも理解しておけば、使用するハード・ソフトに遊ばれてしまうことは減るように思える。

情報処理教育を実施するためには、コンピュータとソフトウェアが必要である。以前は、研究室にあるコンピュータでしか実施できず、研究室に配属された学生や少人数の学部学生を対象とせざるを得なかった。近年、大学に整備されているコンピュータに必要なソフトウェアをインストールしてもらうことで、学科全体を対象とした、より多人数への教育プログラムが可能となってきた。現在の取り組みを中心に、ご紹介しよう。


BIM
ソフトを用いたカフェ設計

環境・エネルギー工学創成演習・実験は、2年生1学期に開講する必修科目である。約80名の受講生が4つのグループ(20人/グループ)に分かれて、4つの演習テーマを12週かけて各3週ずつ演習していく。

テーマのひとつが、環境デザイン演習であり、吹田キャンパス内の敷地(40×30m)にある駐輪場と緑地を改善するため、カフェを含む施設をBIMソフト(Autodesk Revit)で設計するものである。1週目に現地調査と建物配置計画と新たな駐輪場の設計、2週目に建物の設計、3週目にプレゼンテーションを実施する。

3DCAD/BIM(Building Information Modeling)ソフトを用いた設計演習は、2005年頃より始めていたが、現在の姿となったのは、学部共通のCALL/CAD室にBIMソフトが導入された2010年からであり、今年は8年目となる。受講生の中には、1年生の選択科目でSketchUPを使って建物3次元モデリングを経験した受講生もいるが、全員が受講するのは本演習が初めてとなる。

この演習は、いわゆる芸術的建築を作ることが主眼ではない。環境・エネルギー面も視野に入れた建物のあり方を考察すること、そしてBIMソフトの様々な機能を試行することを狙いとしている。また、当学科の学生は必ずしも建築土木分野に進む訳ではない。しかし将来、どの工学分野に進もうと(プラント、自動車、機械、ITなど)、研究企画や実験設備を自ら考えたり他人に説明したりするために、3次元の図を描くことは普遍的に要求されるスキルであり、そのための演習とも捉えている。下記は演習内容である。

1. Revitの自作チュートリアルで教員と進める内容

  • カフェ、厨房、トイレ、倉庫を含む、建物の定義方法(1階のみ)
  • 平面図、立面図、断面図、パースの作成方法

2. チュートリアル後、受講生が検討すべき必須内容

  • 2階以上の作成(階段の作成を含む)
  • 建物の使い方や環境・エネルギー面を考慮した、開口部(窓、ドア)、什器の配置

3. チュートリアル後、受講生が検討すべき挑戦内容

  • 天井の作成
  • 壁、床の仕上げ変更
  • 屋根形状の変更

まず、約1時間半、TA 2名の助けを借りつつ、教員側で自作したチュートリアルを順に進める。建物を作るために、通り芯、地面、柱、梁、壁、ドア、窓、床、什器、屋根の定義の仕方、そして、でき上がった建物を操作しながら、パースや断面図の描き方、レンダリング、日影シミュレーション、集計表の作り方、図面をパワポ用に出力する方法を受講生は習得していく。

その後は自習時間であるが、途中、先輩の優れた作品の解説や、チュートリアルでは実施しなかったRevit操作方法の調べ方(ヘルプなど)を紹介する。

演習時間後は、3週目のプレゼンに向けて、研究室に足を運ぶ受講生が多いが、自宅のPCで作業を進める受講生もいる。


プレゼンテーション

3週目は、プレゼンである。持ち時間を2.5分/人として、現状の課題分析と解決方針、提案内容(駐輪場、オープンスペース、建物の全体配置と各設計内容)を順に説明する。プレゼン後、教員やTAと質疑を行う。

プレゼン本番に入る前に、2人1組になってピアレビューを行う。いわゆる予行演習であり、本番同様に時間を測り、はじめて聞く他人が内容理解できる内容となっているか、互いに確認し合い、最終修正を行う。

プレゼンの様子を眺めていると、プレゼンター以外の受講生のモチベーション維持が大切であることに気づいた。そこで、昨年度より、Googleフォームで学生間投票システムを作り、7段階のリッカート尺度で、自分以外のプレゼンター全員の評価を全員にしてもらった。演習用のPCで投票する者もいれば、自分のスマホで投票する者もいた。尚、この学生間投票結果は教員評価とは直接結びつきはない。 

プレゼンテーション終了後、集計をして(紙のアンケートに比べると集計作業はかなり早い)、掲示板に張り出しておく。

この学生間投票は、発表時間以外のモチベーションアップと、他人のプレゼンから学ぶ姿勢を身に着けてもらうという意味では、概ね好評を得たように思う。継続していきたい。

f:id:fukuda040416:20160603092253j:plain

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1706machinami_FukudaFinal.pdf

大阪府建築士事務所協会「まちなみ」2017年6月号

書籍「VRインパクト(ダイヤモンド社)」でコラム「デジタルものづくり革命を推進する」が掲載されました。

f:id:fukuda040416:20170524211944j:plain f:id:fukuda040416:20170524211946j:plain

伊藤裕二著「:知らないではすまされないバーチャルリアリティの凄い世界」がダイヤモンド社より、先日発売されました。 トヨタ自動車、竹中土木、デンソーアイティラボラトリ、パイオニアなどのVR導入事例が紹介されています。

この書籍の中で、執筆させて頂いたコラム「デジタルものづくり革命を推進する」が7ページに渡って掲載されました。

伊藤さんが書かれた序章「なぜ日本からは世界的なソフトウェア企業が生まれないのか?」は自分たちの問題として考えてみるべき内容です。

ITに限らず、形のないもの(アイデア、ソフトウェア)にお金を惜しむ風土に少しでも風が吹くよう、ご笑覧頂ければ幸いです。

水木しげるロードリニューアルイメージ映像:境港市様のHPで公開されました。

youtu.be

昨年度、境港市様-大阪大学で進めてきた水木しげるロード リニューアルプロジェクト共同研究。成果物のひとつ、水木しげるロードリニューアルイメージ映像が、境港市様のHPで公開されました。
VRデータを元に作成したもので、特に夜景表現は苦労しました。学術成果は夏に国際会議で発表してきます。

VR movie of Mizuki Shigeru Road renewal project has released just today. This is a fruit of the joint research project between Sakaiminato City Office and Osaka University last year (Apr. 2016 - Mar. 2017).
https://www.city.sakaiminato.lg.jp/index.php?view=107748

都市とITとが出合うところ 第38回 水木しげるロード(3)

SfM

水木しげるロードの将来像を描いたVR仮想空間に配置する、ブロンズ像の3次元モデルを制作するために、SfM(Structure from Motion)技術を用いたことを前号で述べた。SfMは、デジタルカメラスマートフォンなどの低コストで身近な機材を使い、無料または低コストのソフトウェアを用いて、点群やメッシュの生成を可能とするため、急速に人気が高まっている。今回は、SfMに焦点を当ててみよう。

現存する3次元の物体や空間を3次元モデル化する方法(3次元復元技術)には、大きくレーザースキャナを用いる方法と画像を用いる方法がある。SfMは後者であり、レーザースキャナのような特殊な機材を使う必要がなく、異なる位置から撮影された複数枚の写真から、3次元構造を推定する技術である。処理の過程として、カメラのパラメータの推定、各画像の特徴量の抽出、ある画像と他の画像との共通の基準点の推定を経て、3次元モデルの点群(点の集まり)を生成する。この段階で生成された点群は密度が低く、この点群データを基に密度の高い点群を生成する。さらに、この密な点群から、多角形の生成(メッシュ化)、テクスチャの生成を行うことで、質の髙い3次元モデルを生成できる。

筆者が最初にSfMを使用した1990年代、写真上の共通の基準点は手作業で指定する必要があった。当時のPC性能では大量の画像を用いて処理することも困難であった。生成された3次元モデルも寸法誤差が大きく、結局、CAD/CGソフトでモデリングしていた。技術は長足の進歩を遂げ、現在は、一連の処理がほぼ自動化された。

SfM用の撮影ノウハウについて、ブロンズ像を例に紹介する。ブロンズ像を上空から見た時にブロンズ像に対して8方向の角度から撮り、さらに8地点それぞれにおけるカメラ位置の高さを、高、中、低の3地点、計24地点を基本とした。各画像を補完するための写真として、連続写真を撮影した。撮影する天候や時間帯は、曇りの日に、観光客が少ない時間帯とした。曇りの日とした理由は、VR仮想空間とSfMで作成した3次元モデルとの光学的整合性を確保するためである。つまり、VR仮想空間全体の陰影は、VRソフト上で日時や天候を設定した上で付けるため、SfMで3次元モデルを作成する時点では、陰影を付けないようにする必要がある。そのため、曇天時に撮影した。また、観光客が少ない時間帯とした理由は、可能な限りブロンズ像の全身を一枚の写真に収めること、そして、ブロンズ像以外の要素(観光客など)を写真に含めてしまうとそれらがノイズとなりうまく復元されないためである。この条件下で、153体のブロンズ像を撮影する必要があり、現地の境港市役所職員が撮影を担当した。撮影期間は約1か月を要したが、手持ちのデジカメで簡単なノウハウで撮影することができるため、日頃大阪で仕事をしている筆者らが時間とコストをかけて現地に行かなくとも、分担で作業を進めることができた。1体当たりの撮影時間は10~20分、SfMでの処理は1時間程度であった。ソフトウェアは、Agisoft PhotoScan、Autodesk Remake、UC-win/Road SfMプラグインを用いた(図1~5)。

f:id:fukuda040416:20170412123009j:plain f:id:fukuda040416:20170501171131p:plain
図1 ブロンズ像写真群|図2 推定されたカメラの撮影位置と姿勢

f:id:fukuda040416:20170501171154p:plain f:id:fukuda040416:20170501171159p:plain f:id:fukuda040416:20170501171203p:plain
図3 復元点群(低密度)|図4 復元点群(高密度)|図5 復元メッシュ
©水木プロ

ブロンズ像以外の対象として、VR仮想空間には、水木しげるロード沿道の建物を3次元モデリングする必要があり、SfMで3次元モデリングを試してみた。結果、生成した建物モデルは、内容の不足、不備、余剰が見られた(図6~8)。

  • 内容不足とは、本来モデリングされるべき個所がモデリングされていないことである。今回は、屋根部分が該当した。この課題は、ドローンを飛ばして上空から写真撮影すればクリアできそうである。
  • 内容不備とは、モデリングされてはいるものの、形状が正確に定義されていないことである。今回は、建物看板、アーケード、電柱などが該当した。
  • 内容余剰とは、不要なオブジェクトがモデリングされてしまったことである。今回は、電線に空の要素が多く含まれた。

SfMにより3次元モデルを生成した後、内容不備となるオブジェクトを修正したり、内容余剰のオブジェクトを削除するといった編集作業はSfMソフト上で可能であるものの、今回は、この編集作業に要する時間が多大となり、また作業内容が複雑となったため、最終的には従来手法(3次元CGソフトで、地図より得られる建物の平面輪郭線と立面写真より得られる建物の概算高さやファサード写真より3次元モデルを作成)により周辺建物を作成した。内容不備や余剰が発生した理由としては、商店街の建物は連坦しているため撮影できる建物立面が限られており、全ての面を撮影できなかったことがある。また、建物の前面にはアーケードや電線など建物をモデリングする際の阻害要素が多く含まれていたことがある。

3次元形状の復元精度は、現状では、レーザースキャナを用いる方法がSfMよりも信頼性は高いとされる。しかしながら、SfMは身近な機材を用いて3次元モデルを生成することができるため、今後、ますます普及が進むであろう。生成した3次元モデルは、3Dプリンターと組み合わせることにより、我々が住む現実世界に出力することも可能である。

f:id:fukuda040416:20160910120642j:plain f:id:fukuda040416:20170501171228p:plain f:id:fukuda040416:20170501171221p:plain
図6 周辺建物:現況写真|図7 従来手法|図8 SfMによる復元点群

PDF:  http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1705machinami_FukudaFinal.pdf

大阪府建築士事務所協会「まちなみ」2017年5月号

北摂7市(吹田市・茨木市・高槻市・豊中市・摂津市・池田市・箕面市)新成人応援デー(ガンバ大阪 vs 大宮アルディージャ)に参加しました。

f:id:fukuda040416:20170428110206j:plain

f:id:fukuda040416:20170428110237j:plain

f:id:fukuda040416:20170428110239j:plain

3月29日より、吹田市教育委員会 委員を仰せつかることになりました。ガンバりますので色々と教えてください。どうぞよろしくお願いします。

4月21日は、北摂7市(吹田市茨木市高槻市豊中市摂津市池田市箕面市)新成人応援デーということで、ガンバ大阪 vs 大宮アルディージャをユニフォームを着て応援してきました。スコアは、6-0。若い選手が大活躍でした。

最後の写真はガンバ勝利のセレモニー。スタジアム照明はLEDなので点灯・消灯が瞬時に可能。演出の幅が広がりますね。

報道記事:
サッカー 観戦、新成人招待 「郷土愛はぐくんで」 ガンバと吹田市 /大阪毎日新聞

 

第40回 情報・システム・利用・シンポジウム:論文/報告募集中です

f:id:fukuda040416:20170427210726p:plain

www.aijisa2017.org

40年目を迎える日本建築学会 情報・システム・利用・システム技術シンポジウム(情報シンポ 2017)は、2017年12月14・15日、東京田町・建築会館で開催されます。

6月16日まで、論文/報告を募集中です。今年度より、報告部門では、学術論文に加え、実務者の方々より実用面に貢献する論文なども広く募集されています。

AIソフトで作った東京のまちなみをポチッをクリックしてください!

 

論文/報告のカテゴリー

  1. 情報インフラ(インターネット、通信)
  2. 情報機器(コンピュータ、モバイル、ウェラブル)
  3. 情報・メディア・コミュニケーション
  4. ソフトウェア・アルゴリズム
  5. データベース(数値・言語・画像・記号)
  6. 建築情報技術の標準・規準・規格化
  7. Building Information Modeling(BIM)、Computer Aided Design(CAD)
  8. 解析モデル、シミュレーション
  9. Virtual Reality(VR)、Augmented Reality(AR)、可視化
  10. Geographical Information System(GIS
  11. Artificial Intelligence(AI)、機械学習
  12. パラメトリックデザイン、アルゴリズミックデザイン
  13. 最適化、性能設計、ライフサイクル
  14. 対話的、動的な建築
  15. デジタルスキャニング、点群
  16. ビッグデータ、Internet of Things(IoT)
  17. デジタルファブリケーション、3Dプリンター
  18. ロボティックス、自動化施工
  19. モニタリング、センシング、データマイニング
  20. 人間科学(行動・心理・生理)分野の情報技術応用
  21. 建築計画・設計分野の情報技術応用
  22. 建築構造・材料分野の情報技術応用
  23. 建築環境・設備分野の情報技術応用
  24. 都市地域計画・地球環境管理分野の情報技術応用
  25. 構法・施工・生産分野の情報技術と応用
  26. 建設経済・流通・マネジメント分野の情報と応用
  27. スマートシティ
  28. 建築の情報技術教育と建築教育の情報化
  29. 情報化社会の建築都市ビジョンと情報倫理
  30. その他

Archi Future Web:

第40回情報・システム・利用・技術シンポジウムの応募要領を公開<日本建築学会>|Headline(ヘッドライン)|建築 × コンピュテーションのポータルサイト Archi Future Web