ふくだぶろーぐ

福田知弘の公式ブログです。

謹賀新年&2019年振り返り

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新年明けましておめでとうございます!2020年もどうぞよろしくお願いします。新たな10年(Decade)がスタートする年ですね。元旦は、近くのため池で初日の出を望むことができました。2019年を振り返っておきます。

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渋谷スクランブルスクエア 大型サイネージ(逆三角形)設置のために実証実験の監修を務めました。11月1日より本格運用が始まっています。写真手前で工事中の、東京メトロ銀座線 渋谷駅は本日・1月3日に新駅舎がオープンしています。

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eCAADe SIGraDi 2019 国際学会(ポルトポルトガル)では、論文2編を発表すると共に、「第4次産業革命時代の建築」パネルディスカッションに登壇しました。また、CAADRIA国際学会の代表としてCAADRIA 2020の紹介を行いました。今年は、SIGraDi 2020 国際学会(メディリン,コロンビア)で基調講演を務める予定です。

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香港中文大学で開催されたAR/VRワークショップのチュータを務めました。オーストリアグラーツ工科大学も参加しており、総勢80名ほどの学生たちが自分のPCでVR制作に取り組みました。尚、大阪大学 工学部 環境・エネルギー工学科でも自分たちのPCでVRプログラミング演習をはじめています。

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ビクトリア大学ウェリントン校で開催されたCAADRIA2019国際学会では、論文3編を発表しました。また、長年の功績が評価され、CAADRIAフェローの称号を授かりました。

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ハルビン工業大学深圳校との国際デザインワークショップではホストを務めました。埼玉県熊谷市の流通センターの再生をテーマに5つの学生チームが提案をまとめ、VRなどでプレゼンテーションを行いました。NEXT21、フォーラムエイト大阪支社、ハートビートプランのテクニカルツアー、太陽の塔の内部見学会も実施しました。

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イノベーション都市として発展著しく、メディアファサードでも有名な中国・深圳を訪問しました。2018年、深圳が国際金融都市・香港のGDPを抜いたニュースには驚きました。

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2019年度日本建築学会全国大会[北陸]では、研究協議会「建築・都市分野のVR・MR技術の展望」を開催しました。配布資料は初日に完売、研究協議会も立ち見が出るほどの盛況ぶりでした。

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日本建築学会 情報シンポ 2019ではシンポジウムWGの主査を仰せつかり、仲間と準備を進めました(3年目)。恒例の、基調講演や論文・報告発表、懇親会に加えて、発表の機会やネットワーキングの場を増やすため、若手優秀発表賞の創設、デジタルファブリケーション・コンピューテーショナルデザイン・VRシステムなどをより身近に発表してもらえるインタラクティブ発表セッションやコーヒーブレイクを新設しました。 

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(一社)大阪府建築士事務所協会では、BIM(Building Information Modeling)についての連続講演会を開催しています。2019年8月に筆者が「BIMについて~BIMの基本から最新動向まで」を解説しました。11月には建築設計事務3者がそれぞれのBIM活用事例を紹介しました。2020年2月には第3回目が開催されます。

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7回目を迎えた、CPWC(Cloud Programming World Cup: 学生クラウドプログラミングコンテスト)今年は久しぶりに日本のチームが最優秀賞を獲得しました。おめでとうございます!

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14年目を迎えたご来光カフェ。今年のスタッフ参加ではご来光は望めませんでしたが、「天使の梯子」と呼ばれる薄明光線が表情を変えながら現れました。

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環境工学科アラ同期では毎年忘年会を開催しています。食事だけでなく、自分たちの近況報告会や魅力的な場を訪れる旅なども。今年は新元号に因んでお伊勢参り。早いもので今年は出会って30周年となります。

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顧問を仰せつかっている体育会ソフトボール部は春季・秋季とも一部リーグで活躍しています。さらに全日本インカレベスト8進出を果たしました。これを記念して、碧風会(OBOG会)主催による祝賀会が盛大に開催されました。

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民生児童委員は3年目で任期満了となりました。会議には中々出席できませんでしたが、敬老行事など地域の方々とつなぐ役割を微力ながら務めさせて頂きました。

最後になりましたが、年末に論文が出版されました。道中正直しんどかったですが、ご笑覧頂ければ幸いです。Zhu, Yuehan; Fukuda, Tomohiro; Yabuki, Nobuyoshi. 2020. "Integrating Animated Computational Fluid Dynamics into Mixed Reality for Building-Renovation Design." Technologies 8, no. 1: 4.
Abstract:

www.mdpi.com

HTML Version:

www.mdpi.comPDF Version:

https://www.mdpi.com/2227-7080/8/1/4/pdf

都市とITとが出合うところ 第67回 ハルビン工業大学(深圳)との国際デザインワークショップ(2)

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HIT-OUデザインワークショップ DAY5 左上; NEXT21, 左中: フォーラムエイト, 左下: ハートビートプラン, 右: 太陽の塔 生命の樹

DAY5

ハルビン工業大学(深圳)-大阪大学との国際デザインワークショップは、6/24(月)にはじまり6/27(木)の中間報告会までの4日間を終えた。6/28(金)は、ワークショップメンバーが大阪を体感しつつ視野を広げるためにテクニカルツアーを企画した。ワークショップのテーマらしく、サスティナブル住宅、IT/VR、まちづくりに関する施設や企業を訪問した。 

NEXT21

NEXT21は、大阪ガス㈱の集合住宅実験プロジェクト。1994年にはじまり、2013年からは第4フェーズを迎えていて、2020年頃までの「環境にやさしい心豊かな暮らし」をメインテーマに、人・自然・エネルギーとの関係が深化する都市型集合住宅の具現化に取り組んでいる。

筆者自身はここ数年、毎年見学させて頂いているのだが、居住状況などにより、見学コースは変わっていく。今回は「祖母、母、私、娘」の4世代・4人の女性が、それぞれ自立した個人として、同時にお互いを支え合いながら世代間を継ぐための住まい「4G HOUSE」を内部見学させて頂いた(図 左上)。個々の独立性を確保しつつ、少人数の複数世帯が集まって住むためのライフスタイルと空間の提案である。

フォーラムエイト

㈱フォーラムエイト大阪支社のあるOAPへ向かう。G20大阪サミットの初日であり、帝国ホテルを構えるOAP付近は厳戒態勢であった。

フォーラムエイトでは、VRの制作過程のデモンストレーションを見せて頂くとともに、数々のVRシステムやシミュレータを実際に体験した。例えば、都市景観、避難誘導、災害などのシミュレーションをVRでわかりやすく可視化して、施主、設計者、市民がわかりやすく情報共有しながら検討できるシステム、FEM(有限要素法)による橋梁などの構造解析、VR映像の変化に合わせて動作する椅子(VRモーションシート)、脳波をインターフェースとしてVR空間を操作するシステム、ドライビングシミュレータ、鉄道運転シミュレータなどである。

学生たちには、VRモーションシートの体験に最も人気があったようである(図 左中)。

ハートビートプラン

大阪天満宮へお参りしてから、「まちづくりのまち医者」として、地域が元気になるまちづくりに取り組むハートビートプランへ。最近のプロジェクト紹介では、大阪でのなんば駅周辺まちづくり、西梅田地区公共空間活用、水都大阪(北浜テラス、中之島GATE、水辺バル、OSAKA旅めがね)、大東市北条まちづくりプロジェクトなどを、全国各地では、姫路市大手前通り利活用支援、愛知県豊田市のあそべるとよたプロジェクト、岡崎市乙川リバーフロント地区かわまちづくり、長門湯本温泉観光まちづくり事業などを余すところなく紹介して頂いた(図 左下)。

プロジェクトの内容や質の高さもさることながら、ハートビートプランの仕事に対する姿勢に、学生たちは心を打たれたようであった。

夜は、水都大阪の夜景を眺めながら懇親会。ワークショップ後半戦に向けて、学生たちは絆を深めていった。

太陽の塔 内部見学

 別の日(DAY7)には、大学から歩いて太陽の塔の内部見学へ。内部再生事業により、耐震工事や万博当時塔内部に展示されていた「生命の樹」「地底の太陽」が復元され、2018年3月より一般公開されている。垂直パノラマで撮影してみた(図 右)。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/2001machinami_FukudaFinal.pdf
(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2020年1月号)

都市と建築のブログ Vol.48 深圳:創新 up!

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深圳 市民中心広場

2019年もあとわずか。2020年は新しい一年がはじまると共に、次の2020年代が気になる年でもありますね。都市と建築のブログ 第48回目(2020年1月号)は深圳をご紹介します。深圳は、史上最速で発展した都市といわれ、現在は、イノベーション(中国語:創新)都市へと変容しつつあります。2018年に香港のGDPを抜いたことは驚きました。

NAVERまとめにも都市と建築のブログの過去記事をアーカイブしています。

matome.naver.jp

■都市と建築のブログ バックナンバー

日本建築学会 情報シンポ 2019(第42回情報・システム・利用・技術シンポジウム)に参加しました。

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Kostas Terzidis 先生(同済大学 教授)の基調講演。Kostas先生にはWorld16活動をはじめとして、色々とお世話になっていますが、著者自身が初めてバリバリ使った3DソフトFormZを開発したお一人だということが、何よりもすごいです。

先週12月12日・13日、東京・建築会館で開催された日本建築学会 情報シンポ 2019(第42回情報・システム・利用・技術シンポジウム)に参加しました。

情報シンポは、建築・都市・環境の各分野を横断するITの新しい可能性を追求するためのシンポジウムとして、1978年にスタートしています。著者は1996年からほぼ毎年参加していますが、近年は、デジタルトランスフォーメーション、Society 5.0、第4次産業革命を背景として、注目がますます高まっていることを肌で感じます。参加大学の数は増えており、企業からの発表も増えています。また、かなりの最新情報はインターネットでアクセスできてしまうため、会場にわざわざ足を運ぶ必要がないのでは、と思われがちですが、インターネット時代だからこそ会場で直接情報交換することがますます大切になっているようにも思います。

今回は、6名による基調講演とダイアローグ、19編の論文・57編の報告・10編のインタラクティブ発表などが2日間にわたって行われました。若手優秀発表賞の制度もスタートしました。

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渡辺委員長によるオープニングスピーチ

渡辺委員長(筑波大)によるオープニングスピーチでは、情報シンポ1994でのWilliam J. Mitchell先生のTV会議レクチャーの紹介がありました。当時Mitchell先生はMITの専用スタジオに入られて、日本側もインターネットがない時代、当時企画された先生方はこの基調講演のためにISDNをわざわざ用意されたと紹介されていました。情報シンポはいつでも最先端で面倒なことを実験・実践していきましょう、というメッセージのように思えました。

テーマ ARCHITECTURAL REGENESIS

www.aijisa.org

オーガナイズドセッション

  • デザインの数理・知能・科学
  • 建築・都市分野のVR・MR 2019
  • 建築モニタリング・センシングの取り組み
  • 建築情報教育の多様な在り方を考える

一般セッション

  • VR・MR・AR
  • BIM
  • AI
  • 人間科学・モニタリング
  • パラメトリックデザイン
  • GIS
  • 最適化
  • 建築計画
  • デジタルファブリケーションと生産

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インタラクティブ発表(石川大地 君)

研究室の発表リストは下記です。

  • Kazunosuke Ikeno, Tomohiro Fukuda, Nobuyoshi Yabuki: Automatic Generation Method of Building Mask Images by Using the 3D Model with Aerial Photograph for Deep Learning: Toward authentic optimal placement system of outdoor loudspeaker for communication of disaster prevention information, 日本建築学会・情報システム技術委員会 第42回情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集(報告), 172-175, 2019.12.
  • Daiki Kido, Tomohiro Fukuda, Nobuyoshi Yabuki: Integration of Real-Time Video Communication and Semantic Segmentation over the Internet Toward Dynamic Occlusion Handling in Mobile Mixed Reality for Landscape Simulation, 日本建築学会・情報システム技術委員会 第42回情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集(報告), 212-215, 2019.12.
  • Daichi Ishikawa, Tomohiro Fukuda, Nobuyoshi Yabuki: Development of a Telepresence System for Sharing 3D Physical Objects: Improving visibility of virtual objects by increasing the density of real-time point clouds, 日本建築学会・情報システム技術委員会 第42回情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集(報告), 216-219, 2019.12.
  • Daichi Ishikawa, Tomohiro Fukuda, Nobuyoshi Yabuki: Development of a Telepresence System for Sharing 3D Physical Objects: Sharing real-time point clouds between multi users by using Mixed Reality, 日本建築学会・情報システム技術委員会 第42回情報・システム・利用・技術シンポジウム論文集(インタラクティブ発表), 254-255, 2019.12.

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若手優秀発表賞(池野和之介 君)

池野君が若手優秀発表賞を受賞しました。本当におめでとうございます。

渋谷スクランブルスクエアと世界的な映像コンテスト

今年2019年11月にオープンした、渋谷スクランブルスクエアの壁面には特徴的な逆三角形のLEDビジョンが設置されています。

スクランブルスクエアのオープンを記念して、世界的な映像コンテスト「Motion Plus Design」が開催されました。受賞作品は、11月30日までは、3分に1回の割合にて、12月1日以降1年間は、さらに上位の作品が上映されています。

渋谷は現在、至るところで再開発が進められており、11月には渋谷パルコがリニューアルオープン。一番最後の動画は、パルコの屋上庭園からスクランブルスクエアを眺めたもの。新たな風景になるのか、楽しみです。

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http://motion-plus-design.com/tokyo2019/

都市とITとが出合うところ 第67回 ハルビン工業大学(深圳)との国際デザインワークショップ(1)

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ハルビン工業大学(深圳)

ハルビン工業大学(HIT)は、中国の最北端となる黒龍省の省都ハルビンに、1920年創設された国家重点大学である。近年では、山東半島・威海、経済特区・深圳にそれぞれ、2つ目、3つ目となるキャンパスを整備している。深圳キャンパスには、中国のトップクラスの清華大学北京大学ハルビン工業大学の3大学が隣同士でキャンパスを構えている。

今年6月末からの10日間、ハルビン工業大学(深圳)Sky Lo先生の呼びかけにより、HITと大阪大学(OU)のデザインワークショップを大阪大学で開催することになった。その様子をご紹介したい。 

ワークショップの概要とテーマ

ワークショップで、学生チームは都市や建築のリニューアルをテーマに、BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)、GIS(地理情報システム)、XR(人工現実VR、拡張現実AR、複合現実MRの総称)などを用いて検討を進めていく。最終的に、パワーポイントだけでなく、XRでのプレゼンテーションを必須とした。ワークショップを通じて、デザイン検討とコンピュータツール両面のスキルアップを目指したためである。

テーマは、熊谷流通センターの未来(埼玉県熊谷市)。東京から北60kmに位置し、歴史ある地方都市の郊外に位置する流通センターの今後について考えてもらうことにした。筆者の方で、HPを整備して、熊谷および流通センターの地図、写真、各種情報を共有した [1]。

チーム作り

参加学生は、HITより15名、OUより10名、計25名となった。学年は、学部生(2-4年生)、大学院生(博士課程、修士課程)と幅広い。1チームにはそれぞれ、HIT3名、OU2名として、計5チームとした。尚、チームは、ワークショップが始まる前に、深圳と大阪それぞれでまずペアを作り、ワークショップで取り組みたいテーマを出し合って、マッチングする方法とした。スタートアップ時、各チームのサブテーマ(デザインの切り口)は以下の通り。チーム名と共に示す。

  • THE VRBANISTS:仮想と現実のインタラクション-歴史的、文化的な再現(Virtual and Real Interaction -- Historical and Cultural Reproduction)
  • Octopusアーバンストリートデザインの比較(Comparison of Urban Streets Design)
  • Cyberpunk都市空間構造の進化(Urban Spatial Structure Evolution)
  • Wework A 梦:人口需要と空間的な活力(Population Demand and Spatial Vitality)
  • ICTW町と都市の要素を活用した再構築(Reconstructing using Elements of Town and Cities)

DAY1-DAY4

初日は、まず、筆者やSky Lo先生より、大阪、深圳のことや、研究内容、ワークショップで取り組む内容を学生たちに紹介した。続いて、各々の学生が研究内容やワークショップの抱負など自己紹介を行い、アイスブレイクした。午後からは、チームに分かれて、敷地分析、コンセプト立案、計画、設計などの作業を順次はじめた。

OU学生の中には、通常の講義を受けるためにワークショップを中座しなければならない場合があるため、互いのスケジュールを見える化しながら、作業スケジュールを立てていた。

対象地の熊谷は大阪から離れており、学生たちは少々考えにくかったのかもしれないが、筆者の提供する資料を読み込むと共にインターネットなどから資料を熱心に収集していた。また、メンバーのコミュニケーションは英語を基本としながら、専門用語などは、漢字で筆談したり、Google翻訳などで母国語に翻訳しながら内容の理解に努めて、コミュニケーションを図っていた。

教員たちは、毎日の終わりに、各チームの進捗状況を個別に確認しつつ、適宜アドバイスした。DAY4の夕方には、建築系の教員や学生を交えて、中間報告会を実施した。 

参考文献

[1]HIT-OUデザインワークショップHP https://hitsz-ou-workshop.jimdosite.com/

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1912machinami_FukudaFinal.pdf
(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2019年12月号)

キーボード感謝の日

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15年近く使ってきたキーボードがついに壊れてしまいました。エンターキーが傾いたまま戻ってこない。実はこの状態で1ヶ月ほど使い続けてましたが、インプット内容がおかしくなってきたので、やむなく、新しいのに交換です。「Enter」と「矢印」の間をよくタイプしていたようで、溶けてくぼみができています。

エンターキーを何回タイプしたかカウントしていませんが、1日1000タイプとして概算してみました。
1000回/日×300日/年×15年=4,500,000タイプ 450万回タイプ!

キーボードは想いをコンピュータに伝える大切な道具だと、改めて思いました。と、いうわけで、本日は勤労感謝の日ですが、自分にとっては「キーボード感謝の日」となりました。

 

因みに、マウスは5年前、10年目で壊れました。

fukudablog.hatenablog.com

 

 

BIM(ビム)について:BIMの基本から最新動向まで

BIM研修会

2019年8月30日夜、大阪市内でBIM研修会「BIM(ビム)について~BIMの基本から最新動向まで~」が開催された(主催:大阪府建築士事務所協会)。本稿では、その研修内容を短く報告する。

BIMとは

BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)は、設計、生産、運用管理のプロセスである1)。コンピュータ上に作成した建物の三次元情報に、属性情報(仕上げ、コスト、管理情報など)を付加した建物のデータベース(ビルディングインフォメーションモデル)を基に、建築の設計、施工から施設管理まであらゆる工程で、図面化したり、パースを作成したり、仕上げ表を作成したり、解析やシミュレーションしたり、見積・積算したりと展開できる。

BIMは、上記に述べた設計、生産、運用管理のプロセス、すなわち活動を指す場合と、建物の属性情報付き三次元モデル、すなわちオブジェクトを指す場合があるが、本質的には前者・活動を指す。

利害関係者に伝えるためのツール

計画・設計段階では、将来完成予定の建築物や都市空間は存在していないため、施主と設計者、設計者とエンジニアや施工者、さらに施主は近隣住民や市民など関係者に対して、何らかの手段を用いて計画・設計内容を伝達して合意形成を図りながら進める必要がある(図1)。そのため、模型、図面、手書きパースが古くから使われ、近年ではCGパースやアニメーションなどコンピュータツールが実用化されてきた。さらにリアルタイム・レンダリング(描画)を有するVR(人工現実)やMR(複合現実)で、CGパースやアニメーションでは限られていた検討の自由度と試行錯誤のスピードを格段に向上させつつある。

BIMが存在していない頃は、CGやVRを作成するために2次元CADからCG・VR用の3次元モデルをわざわざ作成しており、非効率であった。一方、BIMの登場により、これらのメディアへ橋渡しすることが容易になり、BIMのさらなる開発と普及が待たれる。

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図1. 建設プロセスの利害関係者

CADBIMの違い

BIMは、現在広く使われているCADと似ているが、CADは壁などの建築要素を線で表現することが一般的であり、壁というひと纏まりのモデル(オブジェクト)としては定義されていない。また、壁や設備などの属性情報と図面とは連携されていない。一方、BIMは壁やドアなどをオブジェクトとして定義してあり、形状だけでなくその属性情報も含まれる。ある部屋とその部屋の中に含まれる建築要素との関係(トポロジ)も定義されている。

BIMのメリット

建築の設計は、意匠→構造→設備→生産の段階を順に進める、ウォーターフォールモデルと呼ばれるプロセスである。この方法では、上流段階で行われた設計上の課題を下流段階で発見したとしても、時間やコストの面で、やり直しができない場合が多い。一方、BIMを使えば、建物の構造や形状、仕様などの情報を初期段階から具体的に入力でき、できるだけ多くの項目を決めておくことで、作業量のピークを前倒しでき設計変更コストを抑えることが可能である(フロントローディング)。すなわち、施工や完成後をイメージしつつ、シミュレーション、解析、部材の干渉チェックなどを通じて、より多くのことを決めておくことができる。

計画・設計内容の可視化と合意形成

ここからは、研究室での取り組みをご紹介しよう。境港市役所・土木設計者・照明デザイナーらと取り組んだ「水木しげるロード・リニューアルプロジェクト(2016-2018)」で将来像を3次元化し、コミュニケーションツールとして使われたVRの強みを紹介したい。

水木しげるロード(総延長800m)は、JR境港駅前から水木しげる記念館に至るまでの区間であり、県道と市道で構成されている。設計段階である2016年9月に「怪フォーラム2016 in とっとり」が境港市で開催されることになり、事業関係者や市民の参加が多く見込まれることからリニューアルの全貌をVRで公表することになった。実はこの時点では、県道と市道のリニューアル内容は舗装が統一されていないなどの差があったが、発注者は別々でありそのまま進んでもおかしくない状況であった。怪フォーラムは、妖怪にまつわる三県(岩手・徳島・鳥取)の知事が出席するイベントであり、市長も出席する。県道と市道のトップが共に出席する貴重な機会となった。

日が暮れてから、リニューアル計画のVRを屋外スクリーンに映し出し、VRをライブで操作しながら、アナウンサーに計画内容を朗読してもらい、一反木綿に乗った鬼太郎がリニューアルされた水木しげるロードの将来像を空中や歩行者目線から案内した。

このVRを見て、県道と市道の設計内容の違いにトップが気づき、以降は県道と市道のデザイン統一を図りながら設計を進めることになった(図2)。

新たな水木しげるロードが竣工してしまうとやり直しは容易ではない。設計内容の全体像を関係者と共有し、どう合意形成を図るのか?VRを設計段階から使うことで問題を発見し、設計変更を繰り返すことにより、2018年夏、水木しげるロードは完成した。

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図2. 水木しげるロード・リニューアルプロジェクト(境港市

三次元景観シミュレーションとAIの融合

MRは、設計対象を含む将来景観を現場で事前シミュレーションするニーズに対応できる。いわば、リアルタイム・フォトモンである。一方、建築物や都市の三次元モデルを屋外、1/1スケールで常に正確に位置合わせできる景観シミュレーションシステムはまだ発展途上である。また、シミュレーションのためのコストはできるだけ少なくしたい。そのため研究室では、ゲームエンジン上に画像処理を統合したMRシステムを開発してきた。地上でタブレットHMDを用いたMRユーザ目線からの使い方のみならず、空中からドローンによる使い方も想定している。

さらにエビデンス・ベースド・デザインに対応するため、緑視率自動測定システムを開発、MRシステムに組み込み、計画前後の変化を見た目と数値情報(緑視率)により同時に把握できるMRとした。

MRで景観シミュレーションを行う際の課題として、オクルージョンがある。MRは通常、現実世界の映像を背景としてその上に位置合わせを行った三次元モデルを重ねて表示する。三次元モデルの手前に現実世界がある場合には不正確な表現となってしまう。これらの前後関係を正確に表現する手法がオクルージョンであり、筆者らは三次元モデルの手前に存在する実物体の三次元モデルをSfM技術(多視点で撮影した画像から三次元形状を復元する。フォトグラメトリとも)を用いて事前に作成し、MRカメラから眺めた時にその三次元モデルがある領域は実写映像をレンダリングすることでオクルージョンを実現した。

しかしこの方法では、使える対象に限界がある。例えば、MRシミュレーション時に事前準備した三次元モデルから変化してしまった実物体に対して(例えば、風で揺れる樹木、MR実行時に突然現れる人や車など)、オクルージョンは不正確になってしまう。そのため、MRシミュレーション中にオクルージョンを行う実物体をリアルタイムに抽出する動的オクルージョンシステムが必要となる。これを実現するため、深層学習によるセマンティック・セグメンテーション(画像の各ピクセルをカテゴリラベルに関連付けすること)技術をMRに統合したシステムを開発中である(図3)。このセマンティック・セグメンテーション技術は、上述した緑視率や天空率などの自動計算へも応用できる。

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図3. 動的オクル―ジョンを含む景観検討用MR

尚、屋外での正確な位置合わせ技術に関しては、SLAM(自己位置推定と環境地図作成を同時に行うこと)技術が急速に発展しており、位置合わせ問題はいずれ解決されていくものと期待している。さらに、SLAMとセグメンテーションのようなカテゴリ分類技術により、広大な現実空間のデジタル化が進められ、センシング技術、クラウド技術とも融合され、デジタルツイン化が進められるであろう。

おわりに

第4次産業革命の時代を迎え、BIMは建築分野のコア技術になるであろう。さらに、AI、IoT、ビッグデータVRなどデジタル技術の発展にも常に目を向けておく必要がある。例えば、ガードナー社が毎年発行している、新興技術のハイプサイクルは参考になる2)。また、コンピュータやソフトの使い方を覚えるだけでなく、情報やコンピュータグラフィックスの基礎理論を理解しておくことも肝要である。

尚、講演では「BIMと環境シミュレーション・VR・MRとの融合」についても触れた。この内容は、都市とITとが出合うところ 第66回に記載したので参照されたい。

参考文献

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/191101BIM研修会_190830.pdf
(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2019年11月号)

日本建築学会 情報シンポ2019 参加申込がはじまりました [2019年12月12日・13日]

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日本建築学会では、情報・システム・利用・技術シンポジウム(情報シンポ)が長年開催されております。僭越ながら、当シンポの主査を仰せつかっており、今年は12月12日・13日に建築会館で開催すべくみんなで準備を進めております。先日、参加申込サイトがオープンしました。皆さまの参加をお待ちしております。

www.aijisa.org

情報シンポ 2019「Architectural Regenesis」主な見どころ

  • 国内外から80編を超える研究開発・実用化フェーズのデザインと技術発表( 論文・報告・インタラクティブ発表)
  • 国内外からの基調講演とパネルディスカッション(12/12は同時通訳サービス有)
  • 若手優秀発表賞(New! 対象者の方は表彰式(12/13 17:30-)で発表しますので、必ずご出席ください)
  • インタラクティブ発表(New! 12/13 11:00-12:00 温かいコーヒーを片手に、著者と直接コミュニケーション!)
  • 懇親会をはじめとする交流プログラム
  • 12社の協賛企業様(スポンサーブースにも是非お立ち寄りください)
  • 特製トートバッグを会場先着順にて配布します(資料あり参加(DVD購入)の方のみ)

■公式サイト https://www.aijisa.org/2019/

www.aijisa.org


■会期 2019年12月12日 [木] ~13日 [金]
■会場 建築会館ホール+本会会議室 [東京都港区芝5-26-20]
■定員 200名 [事前申込者優先,定員に達しない場合の当日申込みは会場先着順]
■参加費
(1)資料あり参加費 *資料はDVD
   会員8,000円,会員外9,000円,学生5,000円
(2)資料なし参加費
   会員3,000円,会員外4,000円,学生1,000円
※会期中一度のお支払いで、両日とも参加可能です。
※上記参加区分(1)(2)ともに、全プログラムへの参加が可能です。
※発表者の方は参加区分(1)の参加費をお支払いください。
※「資料あり参加」にて事前にお申込み頂いた方には、情報シンポ開催3日前を目処にご登録頂いたメールアドレスに資料を送付いたします。
※ 特製トートバッグを会場先着順にて配布します(資料あり参加(DVD購入)の方のみ)。
(3)懇親会
日時 2019年12月12日 [木] 18:00~20:00
会場 日比谷Bar 三田店 [東京都港区芝5-23-6, http://www.hibiya-bar.com/mita ]
会費 [シンポ参加費とは別] 一般 4,000円,学生3,000円
定員 60名 懇親会のみでもご参加頂けます。下記の優先順で受付させて頂きます。
 ①事前参加申込フォームで申し込まれた発表者・連名者・関係者
 ②事前参加申込フォームで申し込まれた一般・懇親会のみ参加の方
 ③当日会場の申込み順 [事前申込で定員に達しない場合]
オンライン申込締切 2019年12月2日

■詳細プログラム 11月中旬にアップします。


■HP、SNS
建築学会 催し物欄 https://www.aij.or.jp/event/list.html
建築学会 情報システム技術委員会 公式サイト(Facebookhttps://www.facebook.com/aijrcist/
情報シンポ Twitter https://twitter.com/aijisa2016

都市とITとが出合うところ 第66回 BIMと環境シミュレーション・VR・MRとの融合

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図1. INP(回廊のある家)プロジェクト(潮来市

回廊のある家プロジェクト

BIMモデルと環境シミュレーション・VR(人工現実)・MR(複合現実)との融合を試みたプロジェクトを紹介しよう。

建築家・atelier DoNらと取り組んだ「INP(回廊のある家)プロジェクト(2014-2015)」は、間取りの中心にリビングを配置し、その周りに回廊を設け、さらにその外側に各個室や水回り、テラスなどを配置する3重の入れ子状とした計画である。リビングは吹抜空間であり、1階・2階の回廊や各室とつながっており、一体的な空間となっている。設計を進める中で、いくつかの課題が明らかになった。

設計上の課題1

一つ目の課題は、吹抜けがあり、他の居室や階段とつながるリビングの温熱環境を検証すること。1階回廊(天井)、キッチン、2階子供部屋(2台)と回廊にエアコンを設置した場合に、空調がどの程度可能か、温度・風量分布はどのようになるのかを検証する必要があった。

BIMモデルをCFD(計算流体力学)ソフトに取り込んで室内温熱環境シミュレーションを行った結果、暖房時に暖気が吹抜を上昇し、階段を通じて下降気流が発生することがわかった。そこで1階の階段と回廊の間にドアを設けて再びCFD解析したところ、下降気流が抑制され、リビングの温熱環境の改善が確認できた。

設計上の課題2

二つ目の課題は、浴室とつながる屋外テラスが設計してあり、屋外テラスにいる住人が周辺から視認できないことを検証すること。このために、設計対象の住宅に加えて、設計対象を取り巻く周辺建物や道路をVR化して、隣家の窓から屋外テラスが見えないことを確認した。

可視・不可視の問題は二次元の断面図を描くことで確認できなくはない。しかしながら、繊細なプライバシーの課題であり、VRによる可視化は施主にとって安心感を与えることにつながったようである。

設計上の課題3

三つ目の課題は、狭い前面道路を考慮した駐車スペースのあり方を検証すること。このために、ARを用いて、現実空間と設計対象の三次元モデルを1:1スケールで重ね合わせて、建設予定地の前面道路上で施主と設計者が確認作業を実施した。駐車場の配置プランは、3案用意して、プランを適宜切り替えて確認できるようにした。

CFD結果とVRの統合

建物はCFDソフト上でワイヤーフレーム表示されており、建築空間と温熱環境の関係が施主にわかりづらく、CFD解析結果をVRで表示しようと試みた。しかし、使用した市販のCFDソフトでは解析結果(風の向きや強さ、温度分布など)を出力することができなかった。そこで、CFD解析画面をスクリーンショットにより画像化して、その画像をVR上にテクスチャマッピングとした。最終的に設計内容の理解が施主より得られ、住宅は完成した(図1)。

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図2. BIMと環境シミュレーション・VR・MRとの融合

CFDVRの統合:新たなシステムの開発

INPプロジェクトの後、CFD解析結果をVR空間内へより柔軟に取り込めるように、CFDソフトを市販のものから、OpenFOAMに切り換えた。そして、BIMモデルから幾何形状のメッシュ化とシミュレーションに必要な属性情報の抽出、CFD解析、VR上でCFD結果を表示するパイプラインを構築している(図2)。

さらに現在では、このパイプラインを発展させ、VRだけでなく、MRでも出力可能としている。VRの場合には、全て三次元モデルで構成されるため新築での検討ツールとして使えるであろう。一方で、MRは現実世界に三次元モデルを重ね合わせるため、リノベーションでの検討ツールとして使えるであろう。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1911machinami_FukudaFinal.pdf
(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2019年11月号)

発表論文: 

  • Fukuda, T., Mori, K. and Imaizumi, J.(2015) Integration of CFD, VR, AR and BIM for Design Feedback in a Design Process - An Experimental Study, Proceedings of the 33rd eCAADe Conference - Volume 1, 665-672, http://papers.cumincad.org/data/works/att/ecaade2015_83.content.pdf
  • Hosokawa, M., Fukuda, T., Yabuki, N., Michikawa, T. and Motamedi, A.(2016) Integrating CFD and VR for Indoor Thermal Environment Design Feedback, Proceedings of the 21th International Conference on Computer-Aided Architectural Design Research in Asia (CAADRIA 2016), 663-672, http://papers.cumincad.org/data/works/att/caadria2016_663.pdf
  • Zhu, Y., Fukuda, T. and Yabuki, N. (2018) SLAM-Based MR with Animated CFD for Building Design Simulation, Proceedings of the 23rd International Conference on Computer-Aided Architectural Design Research in Asia (CAADRIA 2018), 391-400, http://papers.cumincad.org/data/works/att/caadria2018_107.pdf
  • Zhu, Y., Fukuda, T. and Yabuki, N. (2019) Synthesizing 360-Degree Live Streaming for an Erased Background to Study Renovation Using Mixed Reality, Proceedings of the 24th International Conference on Computer-Aided Architectural Design Research in Asia (CAADRIA 2019), Volume 2, 71-80, http://papers.cumincad.org/data/works/att/caadria2019_132.pdf
  • Fukuda, T., Yokoi, K., Yabuki,N. and Motamedi, A. (2019) An Indoor Thermal Environment Design System for Renovation Using Augmented Reality, Journal of Computational Design and Engineering 6 (2) 179-188, https://doi.org/10.1016/j.jcde.2018.05.007