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福田知弘(大阪大学 大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻)のオフィシャルブログです。

都市とITとが出合うところ 第43回 香港中文大学 国際研修プログラム2017 (1)

ISP2017 @大阪・関西
 昨年に引き続き、香港中文大学 中國城市住宅研究中心が企画するInternational Study Programmes(ISP:国際研修プログラム)が大阪・関西で開催されることになった。2017年5月の1週間、香港の教員・学生たちのホスト役を仰せつかることになった。

 ISP2017の研修キーワードは昨年に引き続き、日本における高齢者に優しいデザイン、質の高いコミュニティデザイン、コミュニティと建築・都市デザインとの統合の方法、歩いて暮らせる都市の体験、地元の人々との交流、グリーン建築、水や緑の優れた利用など。この要望を受けて、大阪側で、研修プログラムの検討、訪問先の調整、大阪側の参加者募集、ブックレットの作成などを準備していった。3回に渡って、ご紹介しよう。

近江八幡
 日帰りで滋賀県近江八幡市へ。自然と歴史が溢れる町はボランティア活動が盛ん。そこで、元気なシニア世代のコミュニティとの交流をメインテーマとした。近江八幡駅でママチャリをレンタルして、旧八幡地区の白雲館へ向かう。

 白雲館に自転車を止めると、ボランティアガイドによる旧八幡地区のまち歩きがはじまった。日牟礼八幡宮、八幡掘、新町通り(重要伝統的建造物群保存地区)などを巡った(図1)。八幡掘を歩いていると、丁度、時代劇の撮影中であり、俳優さんに出会えたのはラッキーであった(図2)。そして、ママチャリを使いながら、ヴォーリズ記念館、ハイド記念館を訪問。ハイド記念館では、ヴォーリズ学園内にあり、中学・高等学校の雰囲気を味わえたのも貴重な体験となったようだ(図3)。さらに、ママチャリを走らせて、円山町にある、いまさかPJ(PJ:プロジェクト)の地へ向かう。

f:id:fukuda040416:20170517103952j:plain図1 新町通

f:id:fukuda040416:20170517103354j:plain図2 時代劇ロケとの出会い

f:id:fukuda040416:20170517120013j:plain図3 ハイド記念館 

 いまさかPJは、定年退職世代の親爺たちの市民活動「八幡山の景観を良くする会」「びわ湖畔の景観を良くする会」「近江里山歩こう会」「健康推進友の会」「いとはんの会」「八幡酒蔵工房」などのボランティア有志が参加するプロジェクトであり、組織は2011年3月に近江八幡市の任意団体として登録された。八幡山の景観を良くする会は、2005年から継続的に八幡山の間伐作業を実践されているボランティアグループ。いまさかPJは、その作業で集まった、間伐竹の再生活用を実践することなどを活動目的のひとつとしている。

 道路際にママチャリを止めて畦道を歩いていくと、水路がいきなり現れた。水路の向こうから、田舟に乗ったおじさんがにこやかにやってきて、我々を荷物ともども対岸に渡してくれた(図4)。いまさかの地は中州であり、橋は架かっておらず、舟を使うしかない。いきなり、自然の真ん中に放り込まれたようだ。ここは、日本の重要文化的景観第一号「近江八幡の水郷」のエリアに位置する。

f:id:fukuda040416:20170517123814j:plain図4 いまさかPJへ舟で上陸

 中州に辿り着くと、綺麗に整備された農地が広がっている。が、プロジェクトを始めた時は、10年以上放置された元田んぼであり、雑木・いばらが茂りジャングル状態であった。そこで、約1年の歳月をかけて整地作業を行い、野原に戻していった。その後も中州の両サイドに広がる葦地をはじめとする湿地を保全すべく、セイタカアワダチソウなどの外来種が固有種を脅かさないように、草刈が定期的に行われている。

 昼食は、手作りのおにぎりとトン汁、そしてお惣菜(図5)。暑すぎず、寒すぎず、という天候の下、屋外での食事は本当に気持ちが良い。お腹が満たされた後は、次の食事の種にと、スイカ、カボチャの苗をみんなで植える(図6)。もちろん、無農薬栽培。こうした農業体験自体、初めての参加者も多かった。秋になると、子供たちが芋堀りや焼き芋を楽しむそうだ。

f:id:fukuda040416:20170517124504j:plain図5 手づくりランチ

f:id:fukuda040416:20170517133117j:plain図6 スイカの苗植え

 コーヒーブレイクの後、2つのチームに分かれて、カヌーと釣りを交互に体験する(図7)。釣りのターゲットは、ブルーギルなど外来種の駆除を兼ねる。カヌーを漕ぐと水面が近い。水路によっては、風が通って本当に気持ちが良い。そして、静かである。すれ違ったモーターボートの水郷巡りのお客さん達は、なんだかうらやましそうであった。

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図7 カヌー体験

 駅までの帰り道中、ヴォーリズ記念病院敷地内にある、ツッカーハウス、五葉館を見学。こうして、ヴォーリズ建築、歴史的まちなみ、自然、そして、シニア世代との触れ合い研修会は幕を閉じた(図8)。

f:id:fukuda040416:20170517140633j:plain図8 いまさかPJの地にて

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1710machinami_FukudaFinal.pdf

大阪府建築士事務所協会「まちなみ」2017年10月号)