やるか、やらないか
ウィズコロナになって、予定されていたイベントを中止するのか、延期するのか、開催するのか、参加すするのか、主催者も参加者も悩まれていると思う。刻々と状況が変化する中で、やるかやらないか検討するだけでも、一苦労である。
国際デザインワークショップ 2020
昨年度、ハルビン工業大学(深圳)の教員・学生が大阪に来られて、大阪大学の教員・学生と経験を共にした国際デザインワークショップを、今年度どうするかについても然りであった。深圳にいるSky Lo先生から最初の相談があった今年正月の時点では、昨年同様に、大阪大学で対面型のワークショップを6月下旬開催で企画していた。その後、新型コロナウィルスの状況がどんどんひどくなり、ワークショップを中止するのか、延期するのか、オンラインでやるのか、延々と議論した。
最終的に、当初より1週間ずらして、6月下旬から2週間、フルオンラインで開催することに決まったのが、6月に入ってからであった。残り3週間、ワークショップの内容とスケジュールを具体的に詰めつつ、学生に募集をはじめた。正直、準備の時間は限られていたが、昨年実施した経験は大きく、意外にスムーズに進めることができた。今年は、ニュージーランドのヴィクトリア大学ウェリントンのMarc Aurel Schnabel先生が、講演やデザインのレビューワとしてオンライン参加することになった。
オンライン会場
ワークショップには、ハルビン工業大学(深圳)より教員と学生20数名、ヴィクトリア大学ウェリントンより教員、大阪大学より教員と学生7名、総勢約30名が参加した。ワークショップでは、5つのチームに分かれて、深圳と大阪の飲食文化や都市風景の違いを理解しつつ、それらが交わるようなデザインを提案してもらい、VR(人工現実)でデザイン検討とプレゼンテーションを行うことを基本ラインとした。
会場は、全員が集まる場合にはZoomミーティング、グループ内の作業には、WeChatのグループチャットを利用した。CADソフトは自由であるがSketchUPを利用していた。
VRソフトは、Fuzorを利用した。Fuzorは、インターネットを経由して、VR仮想空間をユーザ同士で共有することができるため、深圳と日本のメンバーが、同じ三次元仮想空間に入り込んで、デザイン作業を行うことができた。
スケジュール
時差の配慮は重要である。日本を中心に考えると、中国は-1時間、ニュージーランドは+3時間であり、全体で4時間の時差がある。そこで、日本時間の9時から13時までの4時間をグループワークのコアタイムとして、他の時間帯はグループごとに自由とした。
初日(6/29 月)は、ワークショップのイントロダクションと深圳、大阪、ウェリントンの各都市を紹介し合った後、チーム作りとWeChatのグループチャットを構築した。
2日目~4日目(6/30火~7/2木)は、Schnabel教授の講演、Fuzorのチュートリアルを行いつつ、グループ作業を進めていく。8日目(7/6月)には中間プレゼンを実施した。
最終日(7/11土)は、最終プレゼンテーションである。個人的には、チームにより差はあれど、中間プレゼン時点から、内容が大きく充実していたことに驚いた。現実空間ではありえないデザインワークショップならではの提案や表現もあり、刺激的であった。また、VR三次元仮想空間をウォークスルーしながらデザインコンセプトや具体的な内容をナビゲートするプレゼン手法は目立った。この手法は、実務では一般的になりつつあるが、学生の立場ではまだ珍しいと思う。それをオンラインライブで見せてくれた。
PDF:
http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/2009machinami_FukudaFinal.pdf