ふくだぶろーぐ

福田知弘の公式ブログです。

近頃の若者はなぜダメなのか。

学生に嫌われそうなタイトルだが,中身は若者批判ではない。今の若者(10代半ば〜20代後半)は,中高生からケータイを持ち始めた初めての世代。著者は,7年間かけて若者約1,000人に実際に面会しインタビュー調査,その結果見えてきた若者の生活と人間関係の像を記述したもの。被験者の属人性はちょっと気になりました。

気になったことは,若者を取り巻く「既視感」の問題。既視感とは経験したことがないのにどこかで経験したことがあるかのように錯覚してしまう現象のことであり,この既視感のために,若者から新しいことをしようと思う意欲や動機を奪い,行動範囲を狭くし,消費の楽しみを削いでしまっている現況と指摘。素直に受け止めれば,「ふくだぶろーぐ」も止めた方がいいということに(もしくは年齢制限?)。また,昨日紹介した,「その言い方が人を怒らせる。」と関連するが,論理的判断の基準と空気的判断の基準の使い分けが,新村社会では重要となっていること。KYという言葉がその象徴。

個人的には著者が加古川市でも調査していた事が嬉しくなった(p.71,謝辞)。「加古川」に「かこがわ」とルビが付いていることは更に面白かった(読めないものかな?)


■原田曜平「近頃の若者はなぜダメなのか―携帯世代と「新村社会」」光文社新書  
 □第1章 "読空術"を駆使する若者たち
 □第2章 知り合い増えすぎ現象
 □第3章 村八分にならないためのルール
 □第4章 半径5キロメートル生活
 □第5章 ちぢこまるケータイネイティブ
 □第6章 つながりに目覚めた若者ネットワーカー
 □第7章 近頃の若者をなぜダメだと思ってしまうのか?