ふくだぶろーぐ

福田知弘の公式ブログです。

富山のコンパクトシティづくりとLRT。

富山市に訪問し、森市長様、LRT担当者様よりお話を伺う機会がありました。

富山市コンパクトシティづくりを推進中で全国的にはかなり進んでいる市である。
進め方として、1) コンパクトシティの必要性の整理と周知、2) それを実現するための市全域における公共交通体系の整理と周知、そして3) その考えを実現するリーディングプロジェクトとして富山ライトレール(富山港線)の整備がきちんと位置づけられ、富山ライトレールは昨年開業。

最近「LRTを通せば中心部に人が集まり活性化する」という「LRT神話」が出てきていますが、富山市の取組みはそうとは違うものでした。LRTを通すことが「目的」ではなく、都市計画の中で公共交通をキチンと位置づけた上でまちづくりと併せて整備する「手段」であることを再確認できました。

お話を伺う中、ブラジル・クリチバ市で学んだ内容(7/13中村ひとしさんの講演会はこちら:〆切間近!)を再び教えていただいた感がありました。例えば、

■市の考えを市民にきっちりと説明する。例えば、市長自らがタウンミーティングに毎週のように出向いて市民と向き合って話をする。市の職員も各地に出かける(クリチバでの環境政策と同じやり方)。
■全体の計画を示しながらも、机上の作業に時間をかけるのではなく、少しずつでも市民に目に見える形で実現。例えば、LRTコンパクトシティ計画実現に向けてのリーディングプロジェクト(クリチバでの花通りプロジェクトと同じ位置づけ)。
■見切り発車でも確度が高ければまずやってみる(クリチバでも成功確率7割以上ならば挑戦するという考え方で実践されてきた)。


訪問させて頂いて、勇気を頂きました。


それでは富山ライトレールを。
■始発駅、富山駅北電停。利用者数(実数)は、平日で整備前の倍以上、休日で5倍以上となっている。車体は7色。富山北部高校の生徒さんがマスコットをデザインされている。写真の黄緑色は、ゆうくん

富山駅北〜インテック本社前は、歩道のすぐ傍を走る「外寄せ」配置が試みられている。日本の路面電車はこれまで道路中央を走る「中寄せ」配置だ。外寄せは沿道の建物への車の出入りや荷捌きに課題があるものの、歩道からすぐに乗り降りできるので、歩行者に魅力的な空間としやすい。
ここでは芝生軌道も試みられている。

■インテック本社前電停。マストをモチーフとした電停・車両・乗車方法・乗務員のユニフォーム・パンフ・イベント・地元企業や市民からの支援方法等、全てがデザインされている。紫色は、すーぴーくん

■インテック本社前〜奥田中学校前の車内風景。ここは併用軌道で「中寄せ」配置。車道の間を走る。

■城川原駅付近。この辺りはJR時代の軌道を走る専用軌道。左に見えるクリーム色の建物が富山ライトレールの本社。最高速度は60km/h程度、加速を感じる。
映像に見える、黄色は、はなちゃん緑色は、えこくん赤色は、ここくん青色は、るーくくんオレンジ色は、もぐくん

■東岩瀬駅での乗車風景。ホームと車両床の段差がないことがわかる。向かいのホームはJR時代のもので新ホームと比べると地面からの高さの違いがよく判る。
段差が無いと車椅子の方にだけ便利だと思われがちだが、段差の上り下りがしんどいお年寄り、ベビーカーを使う子連れ家族、重たいスーツケースを運ぶ旅行者にとってもありがたい。

■ふくだぶろーぐ掘り起こし!(クリチバ)
□クリチバ:文化政策。
□クリチバ:環境政策。
□クリチバ:緑地政策2。
□クリチバ:緑地政策1。
□クリチバ:できるだけ自家用車を使わない都市計画2。
□クリチバ:できるだけ自家用車を使わない都市計画1。
□クリチバ:花通り。


■追記(2007年10月29日)
□おでかけウイークエンド事業:交通機関を終日無料運行 乗降客、軒並み上昇/富山(毎日新聞 2007年10月18日)
□「公共交通もいかがですか」という暮らし方を提案 (富山市長定例記者会見・平成19年10月1日(月)より)
□無料電車で買い物 公共交通週末事業、フェリオにぎわう(北日本新聞 2007年09月22日)