ふくだぶろーぐ

福田知弘の公式ブログです。

クリチバ:文化政策。

オスカー・ニーマイヤー博物館(Museu Oscar Niemeyer)。
2002年、レルネル氏がパラナ州知事時代に完成。
レルネル氏によるクリチバの人間中心のまちづくりは、その前に完成した車中心の首都ブラジリアに対する反面教師としながら進めてきたものといえよう。すなわちブラジリアで欠如していた、ヒューマンスケール、アメニティ、公共交通を中心に進めてきたのである。
ブラジリア建設の中心人物の一人が、ブラジルの建築家オスカー・ニーマイヤーである。が、ニーマイヤー氏とレルネル氏は実は親しい関係にあり、この博物館の設計をニーマイヤー氏に依頼したそうである。
設計時には全て新築とするのではなく、1960年代に建設されたニーマイヤー設計の古い学校施設を再利用。やはりレルネルさん。この施設と新しい目玉のようなフォルムの建物を地下道で結ぶことで、短期間で事業費を抑えて完成したそうである。

□写真右側の平たい建物が古い学校を再利用したもの。水盤の下に2つの建物を結ぶ地下道がある。

□全景。


これまで、クリチバをご紹介してきました。これらの成功例は一度に出来たものではなく、1970年頃から徐々に作り上げてきたものです。レルネル氏のようなリーダーシップとそれを支える官僚達。また、市長や担当が代わっても政策のベクトルを同じ方向に保ちながら進める政治力。そして、小さいプロジェクトを実践しながらより良くなっていく様を市民に示していく実行力。
レルネル氏の基本的なスタンスは、「今よりもこれ以上悪くしない」「都市には金持ちも貧乏もいる。都市にスラムは必ずできる。それを阻害するのではなく、如何に一緒に考えるかを行政が考えないといけない。」。

最後に、クリチバ空港に到着して驚いたことを2つ紹介しよう。
1つ目は、到着ロビーの中央に、市のインフォメーションセンターがあり、非常に見やすくデザインされた観光案内地図を配っていることである。今回の訪問は出迎えも特に無かったので、市内に行くにはどうすれば良いかという不安をまず払拭してくれた。
そして2つ目は、空港から市内へアクセスするシャトルバスである。通常タクシーであれば市内までR$50〜60(2,500〜3,000円)かかるところを、シャトルバスでR$6(300円)という低価格で、且つ頻繁に運行していた。


日本がクリチバから学ぶ点は、本当に多いと思います。