ふくだぶろーぐ

福田知弘の公式ブログです。

都市とITとが出合うところ 第83回 リアルに近いWeb会議システム

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Spatial.Chatで実施した、VRワークショップの様子。画面に表示されている小さな円は参加者であり、自由に移動できる。

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Gather.townのインターフェース。参加者は矢印キーで上下左右に移動する。カーペットの上にソファが置かれている空間はプライベートエリアである。

もっとリアルな雰囲気へ

ZoomのようなWeb会議システムは、参加者がオンライン会場に集まり、ひとつの話題について話しあうことはできるものの、複数の話題を同時並行で話すことは難しい。ブレイクアウトセッションという個室に入れば、それぞれの話題を話しあえるが、ほかの個室の様子がわからない。

現実世界でのワークショップや懇親会などのイベントは、多くの人々の会話が同時並行に進み、話すメンバーが時間とともに入れ替わり、隣の会話が少しは聞こえ、会場を自由に移動し、参加者全員にスピーチしたりと、出会いと会話のパターンが様々である。このような環境はオンラインでできないだろうか。

 

リアルに近いWeb会議システム

このようなニーズから、以下のようなリアルに近いWeb会議システムが増えている。

参加者は、空間を自由に移動できる。今回紹介する空間とは、3次元の立体のように見えるが実は2次元平面なので、操作は簡単である。例えば、左ボタンのドラッグで参加者自身を移動させ、中ホイールで画面全体をズームイン・アウトする。

参加者の声はユーザー同士の距離に応じて強弱するため、近くのユーザーとは会話できるが、遠くのユーザーとはできない。実際の感覚に近い。

ZoomなどのWeb会議システムとの共通機能として、画面共有、画像やビデオファイルの共有、空間全体へのアナウンス(メガホン機能)、チャットがある。

 

オンラインワークショップ

建設ICTマスター養成講座(厚労省「令和元年~2年度 教育訓練プログラム開発事業」)の一環で、VRワークショップをSpatialChatというWeb会議システムで実施した(主催:(株) フォーラムエイト)。

参加者は、津波避難、杵築(大分)、倉敷(岡山)、南砺(富山)、佐原・潮来(千葉・茨城)のVRモデルを事前に選ぶ。VRモデルごとに計6グループを作った。

Spatial.Chatの背景画像には、6グループのエリアと全員集合用のエリアが描かれてある。参加者は、グループごとにわかれて、各自のPCにインストールしたVRソフト・UC-win/Roadを使いながら、VRモデルを編集しつつ、VRプレゼンテーションを作成した。筆者やVRエンジニアも参加しており、参加者はVRソフトを画面共有して、わからない点などのサポートを受けた。

最終プレゼンは、全員が聴講できるよう、メガホン機能を使って空間全体にアナウンスしながら行った。

Spatial.Chatを使うことで、チーム内での協議だけでなく、チーム外の参加者とも、いつでも、どこでも、コミュニケーションできたようである。有意義なオンラインVRワークショップとなった。

 

RPG風のWeb会議システム

Gather.TownというWeb会議システムは、レトロなロールプレイングゲームRPG)の画面である。

まず、先述した機能は概ねカバーしている。さらに、椅子と椅子の間などにプライベートエリアがあり、その中の会話はエリア外からは近づいても聞こえない。また、ホワイトボードなどのツールが用意されている。参加者自身は踊ったり、自分自身を半透明化して障害物をすり抜けたりとゲームのキャラクターのようにふるまえる。このような機能は、会話を活発化させ、発想を膨らませることができるだろう。

ルームは、オフィスやパーティスペースなどがデフォルトで用意されている。また、背景画像を用意し、家具や観葉植物などのアイテムをマス目に沿って配置することで、懐かしい空間や憧れの空間など、自分だけのオリジナルルームを作成することもできる。

2Dマップとユーザーの動きがリンクしていることや、プライベートエリアやアイテムを配置することで、従来のWeb会議システムよりもリアルに近い空間で、ワークショップや懇親会などのイベントに参加することができる。

 

(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2021年7・8月合併号)

ArchiFuture Web パラメトリック・ボイス Vol. 3「将来景観ビジュアリゼーションのためのAR/MRと新技術」アップ

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左:現状の映像(ビフォー)、右:3Dモデルをオクルージョン処理したAR/MR(アフター)

ArchiFuture Webで「将来景観ビジュアリゼーションのためのAR/MRと新技術」がアップされました。

現実世界に仮想の情報を重ね合わせる拡張現実(AR)・複合現実(MR)を応用して、将来の景観をAR/MRで正しくビジュアリゼーションしたり、デザインを根拠にもとづいて説明できるように深層学習を応用した内容をご紹介しています。

どうぞよろしくお願いいたします。

www.archifuture-web.jp

都市とITとが出合うところ 第82回 ハイブリッド型授業

対面型からハイブリッド型へ

新型コロナウイルスの影響下、なかなか、落ち着かない状況が続く。

新学期は対面型授業でスタートしたが、4月中旬から、学部1年生はオンライン主体、2年生以上は対面型とオンライン型の併用が主となった。対面型の授業を行いながら、その様子を、オンラインでもライブで共有してオンライン受講生も参加できる授業をハイブリッド型授業、または、ハイフレックス(HyFlex:Hybrid-Flexible)型授業という。

授業を録画・録音すれば、受講生は授業後に視聴することもできる。すなわち、オンデマンド機能も兼ねる。教材は、事前にオンラインサイトにアップ。

大まかな手順

  • 講義室でPCをインターネット接続する。
  • ウェブ会議システム(当方のメインは、Blackboard Collaborate Ultra。他にZoomなど)にログインする。ウェブカメラをオン。
  • パワポを、オンラインで画面共有しながら、プロジェクターにも投影する。こうして、対面型講義とオンライン講義のハイブリッド型を実施。
  • 講義内容は録画・録音しておく。

気をつけたいこと

  • 早めに予行演習を。特に、その会場を初めて使う場合、会場設備や通信状況を確認した方が安心。
  • ウェブ会議システムのマイクを常に「オン(ミュートオフ)」にする必要がある。オフ(ミュートオン)のままだと、オンライン受講生は画面を眺めることはできても、音声は聞こえず録音もされない。
  • 録画を早めに開始しておく。講義開始時は結構バタバタするので、録画ボタンを押し忘れやすい。
  • レーザーポインターは、パワポやZoomのレーザーポインター機能を使う。通常の物理的なレーザーポインターだと、ウェブカメラが部屋全体を映していない状態では、プロジェクターが投影しているスクリーンに物理的なレーザーポインターで指しても、オンライン受講生にはわからない。
  • 通常の物理的な黒板に書くことも同様。ウェブカメラが部屋全体を映していない状態では、オンライン受講生は見えないため、パワポ上に書き込む必要がある。
  • パワポに貼り付けた動画に含まれる音声をオンラインで共有したい場合には、画面共有の際に「音声も共有」ボタンを押す。
  • パワポに貼り付けた動画をZoomで共有・再生するとカクカクしやすいので注意が必要。動画をYoutubeに一旦アップしてから、パワポに貼り付けた方がスムーズに再生できる。
  • インターネット接続はLANケーブルを推奨。WiFi接続の場合は、アクセスポイントによって通信速度はかなり違う。com などで通信速度を確認されたい。
  • ウェブ会議システムで画面共有する場合、プロジェクターに映しだす画面を選択すること。PCの画面拡張モードでプロジェクターに投影した場合、パワポの発表者ツール側を画面共有してしまうと、カンペが共有されてしまう。
  • 「これ」「あなた」など、指示語や代名詞はできるだけ使わない。オンライン受講生は「これってどこのこと?」「あなたって誰のこと?」迷ってしまう。
  • 通常の講義は、授業担当者(教師)が受講生(学生)に一方通行的に伝えることが多い。一方、肉声では対面型の受講生に届かない大部屋で、対面型受講生と、オンライン受講生がディスカッションを行いたい場合、対面型受講生にはマイクの準備の他、音声のエコー・ノイズに気を配る必要がある。講義室に、ノイズキャンセリングの設備があれば、会場のマイクを使う場合でも解決できる。

終わりに

ハイブリッド型授業を実施する場合、対面型受講生とオンライン型受講生の両方に気を配る必要があり、対面型かオンライン型かのいずれかで実施する場合に比べて、大変ではある。

それでも、対面型、オンライン型のいずれも望む声があり、ICTの進歩はその実現をサポートしてくれる。失敗しながらも慣れていきたい(図1, 2)。

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図1 ハイブリッド型講義:講義室で床から天井までの高さをレーザー測距計で図っている様子を、オンライン受講生にも共有している様子(会場のカメラをオンライン共有)

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図2 ハイブリッド型演習:左のマイクは会場用、右はオンライン用。受講生は自身のPCにBIMソフトを事前インストール。対面会場のPCはチュートリアルを閲覧。オンライン受講生は教員用ディスプレイを共有しつつBIMモデリング

 

都市とITとが出合うところ 第81回 元伊勢・大江山

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図1-a. 黒木の鳥居

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図1-b. 日室嶽遥拝所

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図1-c. 天岩戸神社

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図1-d. 鬼獄稲荷神社より

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図1-e. 現地でAR地形模型

元伊勢へ

福知山の奥に伊勢神宮より古い、元伊勢があると知ったのは、天橋立に向かう道中だった。普通運賃で気軽に乗れる観光列車・丹後あおまつ号は、福知山から天橋立に向かう線路上にて一旦停車した。そして車内アテンダントは、左前方に見える、白い鳥居の辺りから元伊勢内宮皇大神社大江山に伝わる鬼伝説の紹介をはじめたのである。

列車交換のためでも駅でもない線路上で周辺地域の見どころを紹介すること自体が新鮮であったが、この紹介を聞いて機会があれば元伊勢に立ち寄りたくなった。この辺りは、丹後天橋立大江山国定公園に含まれる。

皇大神社天岩戸神社

元伊勢内宮皇大神社は、三重の伊勢神宮より54年も前にまつられたといわれる。皮のついた杉で作られた「黒木の鳥居」や推定樹齢2000年の御神木「龍灯の杉」が現存している。鳥居の形態は最もシンプルな神明鳥居であり、2本の柱と笠木と貫が一本ずつのみ(図1-a)。本殿は茅葺、神明造り。

皇大神社から少し歩くと、日室嶽遥拝所に差しかかり、ピラミッド型をした日室嶽(岩戸山)を望むことができる(図1-b)。日室嶽は、天岩戸神社御神体と信じられ、入山も厳しく規制されてきた。そのため、山の中は正に自然なのだそうである。

急な坂道を下ると、天岩戸神社。ガードレールの向こうに案内板があり、神社への矢印は真下を向いていた。岩壁が迫る宮川に、神々が天降ったと伝えられる場所。天岩戸神社本殿へは鉄の鎖を頼りに岩壁を上らないといけない(図1-c)。宮川増水時は、階段を下りることもできなさそう。当日は雪解け水で増水していたが、なんとか下りてみると、神秘的な雰囲気を感じることができた。

大江山連峰

大江山は、千丈ケ獄(832m)を主峰とし、鍋塚(763m)、鳩ケ峰(746m)、赤石ケ岳(736m)からなる連峰。大江山登山マラソンというハードなマラソン大会が企画されているらしい。

天の岩戸から大江山の八合目・鬼獄稲荷神社まで登ってみた。花折ダムを過ぎ、二瀬川の渓流沿いを歩いて、日本の鬼の交流博物館を過ぎた頃から登りである。道中、鬼がところどころで徳利と盃を持って出迎えてくれた。インドネシアで生まれ、大江町に移住したらしい(笑)。

大江山の鬼伝説で有名なのは、酒呑童子の話。平安時代中期、京の都を荒らしまわった酒呑童子源頼光に毒酒を飲まされて、退治されたという。

雪がまだところどころに残っている時期、岩からしみ出す湧水は風情を感じる。

鬼獄稲荷神社からの眺めは素晴らしい(図1-d)。正面に日室嶽が望める。秋の早朝には雲海に出会えそうだ。

近畿の五芒星巡りがあると聞いた。本稿で取り上げる元伊勢内宮皇大神社、淡路島の伊弉諾神宮、和歌山の熊野本宮大社、三重の伊勢神宮内宮、滋賀の伊吹山を結ぶと綺麗な五角形となり、その中心には奈良の平城京があるという。

AR地形模型

鬼獄稲荷神社でAR地形模型を表示させてみた(図1-e)。模型と実物の山々を現地で見比べることができる。道中、携帯電話は圏外であったが、稲荷神社ではつながった。
帰宅してから、計測してみると19km、3万歩ほど歩いていた。

(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2021年5月号)

ノート:Advanced Engineering Informatics 掲載論文「景観シミュレーション用のMRに新技術」

3月にAdvanced Engineering Informaticsにて掲載された論文 "Assessing future landscapes using enhanced mixed reality with semantic segmentation by deep learning" を海外向けリリースした際に取り上げて頂いたポータルサイトをまとめておきました。取りまとめてくださった、担当部局の皆様に感謝です。

著者:Daiki Kido, Tomohiro Fukuda, Nobuyoshi Yabuki
タイトル:Assessing future landscapes using enhanced mixed reality with semantic segmentation by deep learning
出版物:Advanced Engineering Informatics, Volume 48, April 2021, 101281
https://doi.org/10.1016/j.aei.2021.101281

www.sciencedirect.com

ResOU (Research at Osaka University)
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2021/20210324_1

TECTALES
https://tectales.com/ar-vr/mixed-reality-gets-machine-learning-upgrade.html

Press-News.org
https://press-news.org/158796-mixed-reality-gets-a-machine-learning-upgrade.html

TODAY NEWS POST
https://todaynewspost.com/news/health-news/mixed-reality-gets-a-machine-learning-upgrade/

AI Summary
https://ai-summary.com/summary-mixed-reality-gets-a-machine-learning-upgrade/

Announce Today
https://announce.today/home/announce/q1MIMS0wXEJBuYBN3geE

eletimes
https://www.eletimes.com/mixed-reality-gets-a-machine-learning-ml-upgrade

ACTI WORLD
https://actiworld.com/2021/03/24/mixed-reality-gets-a-machine-learning-upgrade/

MARKET POST
https://www.marktechpost.com/2021/03/25/researchers-from-osaka-university-use-deep-learning-to-improve-mobile-mixed-reality-generation/

TECH AND SCICENCE POST
https://techandsciencepost.com/news/tech/smartphones/mixed-reality-gets-a-machine-learning-upgrade/

RUBIAN NEWS
http://andirubian.com/mixed-reality-gets-a-machine-learning-upgrade/

Pinterest
https://in.pinterest.com/pin/893331276054994981/

GNSS AI
https://gnss.ai/mixed-reality-gets-a-machine-learning-upgrade

NEURONS
https://neurons.ai/blog/news-stories/mixed-reality-gets-a-machine-learning-upgrade/

HighGeekly
http://www.highgeekly.com/mobile/mobile/mixed-reality-gets-a-machine-learning-upgrade.14/

the human exposome project
https://humanexposomeproject.com/feed-items/mixed-reality-gets-a-machine-learning-upgrade/

以下のURLは、Twitterでの状況です。
https://twitter.com/search?q=Mixed%20reality%20gets%20machine%20learning%20upgrade&src=typed_query&f=live

ノート:ハイブリッド授業の方法

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PexelsのThisIsEngineeringによる写真

ハイブリッド授業に関する相談が出てきており、以下にノートしておきました。

ハイブリッド授業:対面型の授業を行い、その様子を、オンラインでもライブ共有してオンライン受講生も参加できる。その様子は、録画・録音され、後で視聴することもできる(すなわち、オンデマンド機能も兼ねる)。教材は、事前にオンラインサイトにアップ。

  • 講義室でPCをインターネット接続する。WiFiではなくケーブル接続が望ましい。
  • ウェブ会議システム(当方の場合:Blackboard Collaborate Ultra.Zoom、MS Teamsなど)にログインする。
  • パワポを、オンラインで画面共有しながら、プロジェクターにも投影する。こうして、対面型講義とオンライン講義のハイブリッド型を実施。
  • 講義内容は録画・録音しておく。

留意点として、

  • 予行演習を。特に、初めての会場の場合、会場設備がわからなかったり、通信状況の確認が必要であることが多い。授業開始までに準備時間を確保した方がいい。
  • ウェブ会議システムのマイクを常に「オン(ミュートオフ)」にする必要がある。オフ(ミュートオン)だと、オンライン参加者は画面を眺めることはできるが、音声は聞こえないし録音されない。
  • 録画を早めに開始しておく。講義開始時は結構バタバタするので、録画ボタンを押し忘れる。
  • オンライン参加者への気遣いが必要。例えば、ウェブカメラが部屋全体を映していない場合、プロジェクターが投影されている対面用スクリーンで物理的なレーザーポインターや差し棒で指しても、オンライン参加者はどこを指しているかわからない。なので、パワポのレーザーポインター機能を使う必要がある。
  • 黒板に書くことも同様。なので、パワポ(PCのソフト)上に書き込む必要がある。
  • パワポの動画の音声などをオンラインで共有したい場合には、画面共有の際に「音声も共有」ボタンを押す。
  • 動画をZoomで共有する場合には、カクツクこと目立つので注意が必要(Windowsのパワポに貼り付けた動画をZoomで共有・再生するとカクカクする件)。
  • 有線ケーブルでネット接続できない場合は、WiFi接続になるが、アクセスポイントによって、通信スピードはかなり違う。fast.com などで確認を。
  • ウェブ会議システムで画面共有する場合、プロジェクターで映しだしている画面を選択すること。例えば、画面を拡張モードでプロジェクターに投影して、パワポの発表者ツールを使っていて画面選択を誤ると、カンペ側が共有されてしまう(涙)。
  • 「これ」「それ」「あれ」「あなた」など、指示語や代名詞はできるだけ使わない。オンライン受講生はそれってどこ?、あなたって誰?、わからないことが多い。
  • 通常の講義は、授業担当者(教師)が受講生(児童・生徒・学生)に一方通行的に伝えることが多い。一方、肉声が届かない大部屋で、対面型受講生と、オンライン受講生がディスカッションを行いたい場合には、対面型受講生にはマイクの準備の他、音声のエコー・ノイズに気を配る必要があります。講義室に、ノイズキャンセリングの設備があれば、会場のマイクを使う場合でも解決できます。

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都市環境デザイン概論での様子。詳しくは以下。

都市環境デザイン概論(環境・エネルギー工学科 学部2年生 講義)の担当回では、普段何気なく接しているであろう身近な環境を数値として意識してもらいます。

そのために、講義室の幅、奥行き、高さを、まず、学生さんに推測してもらいます。2年前までは歩測などで自由に計測してもらっていましたが、コロナ影響で避けました。

対面受講生に回答してもらい、その回答はパワポに書き出し(黒板だと見える範囲に限界があるため)、オンライン受講生の回答は、ウェブ会議システムのチャットボックスに書き込んでもらいます。

上の写真は答え合わせの様子。レーザー測距計で床から天井までの高さを計測しています。講義室のカメラをオンライン側と共有していますが、画角に限界があるので、音声で補足が必要です。

一人で切り盛りするのは、経験が必要だと思います。手を動かしながらやっていきましょう。

ノート:講義で学んだC++の学習をどう発展させたらよいか?

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PexelsのThisIsEngineeringによる写真

環エネB2秋冬学期の講義・情報処理で取り組んだC++(教科書:高橋麻奈 著「やさしいC++」)の後、プログラミング学習をどう発展させたらよいか?という相談が年々、増えているように感じます。講義では、複数の担当教員で、1章~15.1章「演算子オーバーロード」まで実施しました。以下、書き出したばかりですが、自分ノート。

  1. 講義では時間切れとなりましたが、よく使う基本的な機能のひとつとして、ファイルの入出力があります。これは教科書(やさしいC++)では、第16章が該当します。
  2. もう一つは、既存のライブラリの活用です。講義でも、<stdio.h> のような、C++でよく使われる標準的なライブラリのインクルードは何度もやりました。が、実際は、数えきれないほどのライブラリが外部で開発されており、それらの多くはオープンソースでも出回っているので、フリーで使うことができます。目的に応じてそれらを使った方が、効率的にプログラミングを進めることができます。
  3. その他、筆者らの研究分野の場合、Ubuntu上で開発することが多いです。そのため、Ubuntuをインストールした上で、GitHubなどにリリースされているような最新のライブラリをインストールして、システム開発できるスキルが必要になります。対象は例えば、xR、コンピュータビジョン、深層学習、点群、ウェブアプリケーションなどです。この作業は、OSとライブラリの相性などに気を配る必要もあり、中々ハードな場合もあります。相性が悪かったり、機嫌が悪いと、動かないことも多い。しかしながら、研究室の学生さんははじめは苦労しつつも、できるようになっていきます。

因みに、B3環境デザイン学の担当講義の3回分では、B2情報処理で学んだスキルを発展させるため、空間情報学Ⅰ・空間情報学Ⅱなどで講義したコンピュータビジョンを具体的に理解してもらうべく、OpenCVをインクルードして実装してもらいます。このためには、上記1, 2の要素を新たに学ぶ他、Visual Studioで外部ライブラリをどうやってインクルードするのかも、併せて経験できます。

また、環境工学演習Ⅰ(環境工学コース B3)の私の担当演習では、xRを開発しよう、と題して、短い期間ながらも、受講生に開発テーマから考えてもらい、xRシステムを実装してもらいます。B2で取り組んだシステム開発の発展版です。既存のスクリプトをインクルードしたり、カスタマイズしたり、あるいは自ら開発することが必要となります。こちらはC#がメインです。

上記については、目の前の仕事によって、必要度合いは異なると思いますが、知っておくと何がどう動いているのか中身を推測できますし、さらには、自分自身でできれば、仕事の機会や貢献度合いはかなり異なってくると思います。

 

B2: 学部2年生, B3: 学部3年生

都市と建築のブログ vol.53丹後:龍 up!

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伊根とゴスラー

大学には今日から新入生がやってきました。入学式は4月6日ですが、各種ガイダンスです。桜が残ってくれていて何よりです。

都市と建築のブログ 第53回目(2021年4月号)は「丹後:龍」をご紹介します。昨秋、丹後国分寺五重塔ARプロジェクトのために、丹後を何度も訪問しました。

まちを歩いていて、過去の記憶と突然つながって、ビビビッと呼び起こされることはないでしょうか?今回、伊根を歩いている時に、ビビビッと・・・

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昨年11月、「都市と建築のブログ 総覧」を上梓させて頂きました。ご笑覧いただければ幸いです。書店の他、吹田市立図書館大阪大学附属図書館兵庫県立加古川東高等学校の図書館などでもお読みいただけます。

 

都市とITとが出合うところ 第80回 箕面ポタリング

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図1 箕面ポタリング

8年目を迎えて

2014年4月からスタートした「都市とITとが出合うところ」は8年目の春を迎えることになりました。いつもお読みいただき、ありがとうございます。本年度もどうぞよろしくお願いいたします。

先日、大学からほど近い箕面の山をママチャリでポタリングしてきました。最も身近な国定公園です。

箕面大滝

千里(標高60m=比高基準)から箕面の山を目指す。新御堂筋は終点となり、箕面グリーンロードのトンネルに入るところで左折して、山すそを走り、如意谷を過ぎたところで箕面ドライブウェイに入る。

いきなり、カーブの連続、そして、一番軽いギアに変えても進んでいる気がしない。先は長いので、押しながら歩いてもよいと方針を決める。箕面市街地から大阪市内まで一気に見渡せた(図1-a)。

「みのお山荘 風の杜」辺りまで来ると(比高160m)、坂道はそれほど厳しくなくなり、箕面川を眼下に見下ろしながら、山あいを進む。箕面の滝道は、2018年9月の台風21号被害の復旧作業・安全対策工事のために一部通行止めであった。

箕面大滝付近で自転車を止めて、坂道を下りて、滝へ(図1-b)。早朝は気持ちいい。箕面大滝は、落差33m。流れ落ちる姿が農具の「箕」に似ていることから、箕面大滝と呼ばれるようになり、地名の由来もここからきているそうだ。大阪府で唯一「日本の滝百選」に選ばれている。

明治の森箕面国定公園

山奥へとさらに進んでいき、箕面ビジターセンターに差し掛かる(比高220m)。ここは、東海自然歩道の西側の起点。東海自然歩道は、大阪、京都、奈良、滋賀、三重、岐阜、愛知、静岡、山梨、神奈川を経て、東京の高尾ビジターセンターまで続く、11都府県約90市町村にまたがる長さ1,697kmの自然歩道である。

箕面の山は「明治の森箕面国定公園」に指定されており、大阪府では「金剛生駒紀泉国定公園」と並んで貴重な自然資源である。東京・高尾ビジターセンターの側も「明治の森高尾国定公園」と国定公園となっている。

「明治の森」と名付けられているのは、1968年(昭和43年)に実施された「明治百年記念事業」の一環で整備されたためである。

エキスポ’90みのお記念の森

箕面川ダムの堤を横切る(比高275m)。高さ47m、岩石や土砂を積み上げて建設されたロックフィルダムである(図1-c)。

ダムから、最終ゴール・エキスポ’90みのお記念の森(比高450m)まではかなりきつかった。直線的で長い坂道。ママチャリで来る人は少ないのかもしれない。生き生きとした鳥の鳴き声に助けられた。

1990年の花博を記念して整備された記念の森は、心地よい(図1-d)。あべのハルカスや京セラドーム大阪が遥かに見えた。

勝尾寺

記念の森からの帰りは、ほぼ下りである。あれだけ時間をかけて上ってきたのが嘘のように、下りは一瞬であった。下りの気持ちよさは、ポタリングならでは。

勝尾寺へ(比高310m)。西国札所 第23番。受験シーズンということもあってか、勝ちダルマがずらりと並べられていた(図1-e)。

AR地形模型

帰宅してから、Google Earthで計測してみると30kmほどポタリングしていた(図1-f)。「AR地形模型」というiOSアプリは、国土地理院などの地図と地形を重ね合わせながら、現実世界にデジタル模型をAR(拡張現実)表示できる。地形の高さの倍率を変えて、起伏を強調させながら、眺めてみると面白い。

自分の部屋に、デジタル地形を表示させて、ポタリングしたルートをたどってみる。道が山に貼り付いている。結構な山道をママチャリで走っていたのだと追体験できた(図1-g)。

(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2021年4月号)

『パラメトリック・ボイス』アーカイブ

2021年1月より、ArchiFuture Webでコラムを連載させて頂くことになりました。

トピックは、都市・建築とコンピュータです。このページは、過去の記事をまとめたアーカイブです。