ふくだぶろーぐ

福田知弘の公式ブログです。

『都市と建築のブログ』アーカイブ

f:id:fukuda040416:20201228202707p:plain

「都市と建築のブログ」は、フォーラムエイト社広報誌・Up&Comingで2009年秋から連載しています。

2020年11月、連載50回を記念して、「都市と建築のブログ 総覧 50+Notes on Captivating Destinations」を上梓しました。訪問した国内外の記事と、水木しげるロードVR安土城などのxRプロジェクトをフルカラーで紹介するものです。ご笑覧いただければ幸いです。

『都市と建築のブログ』をまとめておこう

都市とITとが出合うところ 第74回 国際デザインオンラインワークショップ

f:id:fukuda040416:20200702101757j:plain

f:id:fukuda040416:20200905202323j:plain

図1 ワークショップ風景(上:ハルビン工業大学(深圳)、下:大阪大学

f:id:fukuda040416:20200905202326p:plain

f:id:fukuda040416:20200905202328p:plain

f:id:fukuda040416:20200905202336p:plain

f:id:fukuda040416:20200905202338p:plain

f:id:fukuda040416:20200905202342p:plain

f:id:fukuda040416:20200905202324p:plain

図2 最終プレゼンテーションカット(上より、Team 1: OS Wonderland、Team 2: Panda likes Sushi、Team 3: Playfullness、Team 4: Crazy Growing、Team 5: Dragon Valley)とZOOM集合写真

やるか、やらないか

ウィズコロナになって、予定されていたイベントを中止するのか、延期するのか、開催するのか、参加すするのか、主催者も参加者も悩まれていると思う。刻々と状況が変化する中で、やるかやらないか検討するだけでも、一苦労である。

国際デザインワークショップ 2020

昨年度、ハルビン工業大学(深圳)の教員・学生が大阪に来られて、大阪大学の教員・学生と経験を共にした国際デザインワークショップを、今年度どうするかについても然りであった。深圳にいるSky Lo先生から最初の相談があった今年正月の時点では、昨年同様に、大阪大学で対面型のワークショップを6月下旬開催で企画していた。その後、新型コロナウィルスの状況がどんどんひどくなり、ワークショップを中止するのか、延期するのか、オンラインでやるのか、延々と議論した。

最終的に、当初より1週間ずらして、6月下旬から2週間、フルオンラインで開催することに決まったのが、6月に入ってからであった。残り3週間、ワークショップの内容とスケジュールを具体的に詰めつつ、学生に募集をはじめた。正直、準備の時間は限られていたが、昨年実施した経験は大きく、意外にスムーズに進めることができた。今年は、ニュージーランドのヴィクトリア大学ウェリントンのMarc Aurel Schnabel先生が、講演やデザインのレビューワとしてオンライン参加することになった。

オンライン会場

ワークショップには、ハルビン工業大学(深圳)より教員と学生20数名、ヴィクトリア大学ウェリントンより教員、大阪大学より教員と学生7名、総勢約30名が参加した。ワークショップでは、5つのチームに分かれて、深圳と大阪の飲食文化や都市風景の違いを理解しつつ、それらが交わるようなデザインを提案してもらい、VR(人工現実)でデザイン検討とプレゼンテーションを行うことを基本ラインとした。

会場は、全員が集まる場合にはZoomミーティング、グループ内の作業には、WeChatのグループチャットを利用した。CADソフトは自由であるがSketchUPを利用していた。

VRソフトは、Fuzorを利用した。Fuzorは、インターネットを経由して、VR仮想空間をユーザ同士で共有することができるため、深圳と日本のメンバーが、同じ三次元仮想空間に入り込んで、デザイン作業を行うことができた。

スケジュール

時差の配慮は重要である。日本を中心に考えると、中国は-1時間、ニュージーランドは+3時間であり、全体で4時間の時差がある。そこで、日本時間の9時から13時までの4時間をグループワークのコアタイムとして、他の時間帯はグループごとに自由とした。

初日(6/29 月)は、ワークショップのイントロダクションと深圳、大阪、ウェリントンの各都市を紹介し合った後、チーム作りとWeChatのグループチャットを構築した。

2日目~4日目(6/30火~7/2木)は、Schnabel教授の講演、Fuzorのチュートリアルを行いつつ、グループ作業を進めていく。8日目(7/6月)には中間プレゼンを実施した。

最終日(7/11土)は、最終プレゼンテーションである。個人的には、チームにより差はあれど、中間プレゼン時点から、内容が大きく充実していたことに驚いた。現実空間ではありえないデザインワークショップならではの提案や表現もあり、刺激的であった。また、VR三次元仮想空間をウォークスルーしながらデザインコンセプトや具体的な内容をナビゲートするプレゼン手法は目立った。この手法は、実務では一般的になりつつあるが、学生の立場ではまだ珍しいと思う。それをオンラインライブで見せてくれた。

 

PDF:

http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/2009machinami_FukudaFinal.pdf


(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2020年9月号)

子供の科学に研究成果が紹介されました:『AIで現実のものを消し去る「DR」とは!?』

f:id:fukuda040416:20200807111505j:plain

子供の科学 9月号 p.5に『AIで現実のものを消し去る「DR」とは!?』として紹介されました。子供の科学は、大正13年1924年)創刊、老舗の月刊誌。夏休みの自由研究の参考になれば幸いです^_^ 

www.seibundo-shinkosha.net

 

出版した元論文は以下となります。

著者: Daiki Kido, Tomohiro Fukuda, Nobuyoshi Yabuki. (2020).

論文タイトル: Diminished reality system with real-time object detection using deep learning for onsite landscape simulation during redevelopment

出版: Environmental Modelling & Software, 104759

www.sciencedirect.com

都市と建築のブログ Vol.50 鎌倉:いざ!up!

f:id:fukuda040416:20190720144208j:plain

鎌倉で最も古いお寺・杉本寺

都市と建築のブログ 第50回目(2020年7月号)は鎌倉をご紹介します。お陰様で連載50回を迎えることができました。今はまだ落ち着かない状況、近い将来のリアルに向けての、バーチャルな旅をお楽しみいただければ幸いです。

NAVERまとめにも都市と建築のブログの過去記事をアーカイブしています。

matome.naver.jp

■都市と建築のブログ バックナンバー

都市とITとが出合うところ 第73回 テレワーク(2)

f:id:fukuda040416:20200630143027p:plain

図1 上:赤ペン添削の例。尚、元原稿より切り貼りなどの加工を施してある。下:AI-OCRのイメージ。紙に書いた手書き文字をデジタルの文字コードに高い精度で変換される。

双方向性の確保

テレワークを進める場合、話し手と聞き手の間の、双方向性の確保は重要である。Web会議やオンライン授業で、講師などの話し手が説明した内容に対して、聞き手側に質問や意見があれば、

  • 直接発話して質問や意見する。
  • チャット機能で、文字を入力してやりとりする。

の方法がある。これらはライブとしての使い方である。

以降は、一定の時間をかけて、やりとりする方法を考えてみたい。

テレワークでの添削

テレワーク(遠隔同士)で、提出された書類を添削して、提出者に返却することを考えてみよう。筆者の場合、学生が書いた論文やレポートの添削がこれにあたる。筆者の主な方法は以下の通り。

  1. 学生が論文などの原稿を書き、MSワードかPDFでメール送信してもらう。
  2. 筆者が受信してプリントアウト。赤ペンで紙の上に直接書き込む(図1上)。
  3. 添削した原稿をスキャンして、PDF化。
  4. 赤ペンで書ききれない、総合的な意見や参考URLと共に、メールで返信。

1) について。多数の受講生を同時に担当する場合、再提出など何度もやりとりする可能性もあって、メールで送受信すると受信回数が増えてミスも発生しやすくなるため、クラウドドライブ(DropboxGoogleドライブなど)を共有して期限内に提出してもらう。

提出時期までに、ファイル名のつけ方(ソートがしやすいように「学生番号+氏名.拡張子」で統一するなど)や、提出を終えたら確認メールを送ることなどのルールを決めておくと確実性は上がり、後作業が楽になる。

また、簡単なレポートなど、ファイルではなくテキストのみを提出してもらう場合はGoogleフォームなどのWebアンケートシステムで提出してもらうこともある。

2) について。まずは、紙で印刷する必要性について。印刷はツーインワンで行うことが多い。元原稿の2ページ分をA4 1ページに印刷する方法である。こうすると、原稿の全体が把握しやすい。最近は、PCのディスプレイが大型化していて複数のディスプレイに表示することも標準でできるため、ディスプレイ上で原稿全体を一度に眺めることもかなりできるようになった。縦型にすれば、原稿やプログラミングのコードは見やすい。しかし、添削の場合には、次に述べる、原稿に直接書き込める機能が必要という点で、印刷したい。

MSワードには、コメントを付ける機能がある。これを使えば、原稿の完成という最終的な目標達成としては時間短縮になることが多い。だが実際の作業状況としては、原稿をしっかり読むという感覚が得られないことや、添削者側である著者自身がどんどん書き込んでしまうことに疑問を感じている。書き込みを受け取った学生にとっては、(長い目でみて)学習につながっているのだろうか。便利すぎる、わかりやすすぎると、聞き手は受け身の姿勢が大きくなって、わかった気になってはいるが、身についていないのではないだろうか。返却された添削を読み返して考えるためには、一定の時間が必要なのではと思う。

なので、赤ペンで添削して返却している。尚、このような考えで赤ペン添削を採用している理由を学生にはできるだけ伝えるように心がけている。

また最近は、タブレットなどタッチパネルディスプレイであれば、コンピュータ上の原稿に手書きするという方法もある。現状、筆者は残念ながら、タッチペンで書き込む方法は自然な感覚ではなく、紙に書き込む方法を好んでいる。ディスプレイの両側で、ペンとファイルの表面が離れていて直接書く感じがしていないことや、書く際の反応速度など、機械に気を遣ってしまう。

3) について。ドキュメントスキャナ(ScanSnapなど)が何より早い。もしなければ、スマホで撮影した画像(PDF化してもよい)をメールに添付して送る。

手書き文字の認識

テレワークに限らないが、上述した2–3) のように手書き文字をデジタル化するとまずは画像になる。人間が見ると「文字」であるが、実際は画素(ピクセル)の集まりであり、PCは文字だと理解できていない(ラスターデータ)。PCが文字であると判別できるためには、デジタルの文字コードに変換する作業が必要。

このため、OCR(光学的文字認識)という技術があり、印刷された文字をイメージスキャナやデジタルカメラで読み取った画像データから、デジタルの文字コードに変換する。文字コード化できれば、検索、再利用、さらにはテキストマイニングも可能となるため、大量の原稿に含まれる語句のチェックや傾向を把握することが、より容易になる。

さらに近年では、手書き文字の認識精度を向上させるため、AI技術のうち、特に深層学習(ディープラーニング)を用いたAI-OCRが急速に普及している(図1下)。

現状ではAI-OCRを使って100%の認識は難しく、変換された結果を人間が点検する作業が必要である。が、これまでのように人間が手書きの資料を読みながら文字を手入力することを思えば、格段に効率的である。また、手書き文字のパターンを増やし、学習を繰り返していくことで、認識精度は向上していく。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/2007machinami_FukudaFinal.pdf
(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2020年7・8月合併号)

3大学による国際デザインオンラインワークショップ

f:id:fukuda040416:20200630142401j:plain

6/29-7/10は、3大学による国際デザインワークショップです。

昨年は弊学に来て頂きましたが、今年はオンラインでの開催となりました。時間帯は、ニュージーランドUTC+12、日本UTC+9、中国UTC+8で、時差4時間。集まる時間帯は必要なのでコアタイムを設けました。

ポスターは今回のリーダー、Sky Lo 先生の力作です。

 

昨年の様子

hitsz-ou-workshop.jimdosite.com

fukudablog.hatenablog.com

fukudablog.hatenablog.com

fukudablog.hatenablog.com

論文"Diminished reality system with real-time object detection using deep learning for onsite landscape simulation during redevelopment"が、"Environmental Modelling and Software"に掲載されました。

www.sciencedirect.com

先日acceptされた論文が、オンライン公開されました。ありがとうございます。50日間限定で、full paperが一般公開されました。8月5日まで無料ダウンロードできます。

  • Article title: Diminished reality system with real-time object detection using deep learning for onsite landscape simulation during redevelopment (再開発でのオンサイト景観シミュレーションのための深層学習を用いたリアルタイムのオブジェクト検出付き隠消現実感システム)
  • Journal title: Environmental Modelling and Software (CiteScore 5.08, Impact Factor 4.552)
  • Authors: Daiki Kido, Tomohiro Fukuda and Nobuyoshi Yabuki
  • Corresponding author: Dr. Tomohiro Fukuda
  • First published version available online: 10-JUN-2020
  • DOI information: 10.1016/j.envsoft.2020.104759

研究成果が、生活の質向上に向けて、まちづくりや景観・環境アセスメント分野をはじめとする社会実装や産業化につながれば幸いです。

プレスリリース(大阪大学

www.eng.osaka-u.ac.jp

掲載サイト(International)
Scienmag
 
Bioengineer.org
 
7th Space
 
TechExplore
 
Electronics360
 
BUILDILY
 
Mirage News
 
News Break

都市とITとが出合うところ 第72回 テレワーク(1)

f:id:fukuda040416:20200530091636j:plain

図1 3DVRを含むウェブ会議(2013年):デルフト工科大学と大阪大学をネット接続して、参加者の映像と音声、3DVRをインターネットで共有しながら、遠隔設計検討会議を紹介した。オランダ2013年9月20日夕方17:30、日本2013年9月21日深夜0:30(時差7時間) 。時差により、大阪側は深夜になったが、オランダと大阪とつないだリアルタイムデモを紹介できた。同様のデモを、国内各地点、ハワイ、香港、台湾と大阪を結んで実施(2011年以降)。

突然のはじまり

昨今の新型コロナウィルスの拡大防止に向けて、テレワーク、Web会議、オンライン授業、ウェビナー開催(ウェブとセミナーと組み合わせた造語)など、インターネット接続を前提とした作業や会議、授業や講演を余儀なくされている方は非常に多いと思う。

インターネットがなかった時代に、外出自粛となっていれば、電話、ファックス、郵便でやるしかなかったことを思えば、できることは確実に増えた。一方、余儀なく、急遽はじめなければならなくなった方は大変である。

会議のシーンや利用ニーズは様々であり、当てはまるかわからないが、過去の失敗を踏まえてノウハウをご紹介したい。今回は、Web会議を。 

Web会議のノウハウ

  • 慣れない環境で長時間作業していると疲れやすく、ストレスの原因となる。机や椅子の高さ、PCディスプレイと目の高さや距離の関係を調整する。
  • インターネット接続、電源(バッテリー残量)を確認する。PCを使う場合、有線LANの方が安定的なことが多い。
  • オンライン会議に参加するために必要な機材として、コンピュータ(PC、タブレットスマホ)に加えて以下が必要。ラジオのように聞くだけであれば、イヤホンかスピーカーだけで十分。互いの顔を見ながら会話が必要であれば3つの機材が必要。これらはスマホには標準装備されているが、(特にデスクトップ)PCの場合は確認が必要。
    • 聞く:イヤホンまたはスピーカー
    • 話す:マイク
    • 顔を見せる:Webカメラ
  • 通常の対面型会議に比べて、ネット接続の準備・チェックが必要。慣れないうちは、会議がはじまる5~10分前にはオンライン会議室への入室を一旦終えておくと安心。そうすれば、トラブルが起こっても、解決できることは多い。
  • 映像は、大量のデータをやり取りする。スマホなど、通信速度制限のある機材を使う場合は、注意が必要。WiFi接続がお勧め。
  • 映像が互いに共有できているか、どんな風に見えているのかのチェックが必要。逆光にならないようにWebカメラを配置。
  • スピーカー・イヤホン(音声出力)とマイク(音声入力)が互いに共有できているかチェックが必要。これは意外に忘れやすい。さらに、PCから外部のスピーカーに接続する場合、PC側で該当デバイスが正しく選択されているかチェックが必要。
  • マイクがスピーカーの音を拾い、その音をまたスピーカーから出力してしまうと、ハウリング(キーンという不快な音)やエコーとなってしまう。スピーカーではなく、ヘッドフォン/イヤホンを使われた方がよい。また、会議中に発言しない時間帯は、ミュート(消音)にする方がよい。
  • 会議が始まったら、話し手は、自身の映像が見えているか、音声が聞こえているかを、口頭、もしくは、チャット機能で、聞き手に確認しよう。
  • 会議メンバーの一部が対面型で参加し、残りのメンバーがリモートで参加する場合、リモート参加者は、会議の輪に入りにくい、疎外されていると感じやすい。よって、対面型会議の参加者は、Webカメラの位置に気を配り(できるだけ多くの参加者が共有できるよう)、リモート参加者に発言を促すなど、気配りが必要。
  • オンライン会議では、対面型の会議と比べて、互いの空気感が伝わりにくい。相槌や身振り手振りは少々オーバーなくらいがビデオ会議には丁度いい感じ。また、できるだけ、具体的に、論理的に、話された方が理解しやすくなる。慣れないうちは、聞こえているか、理解できているか、などの確認作業を小まめにした方がよい。

無音状態になるとインターネットが切れたのではないか、相手のビデオ画面に変化がないとフリーズしたのでは、と不安になる。このあたりの気遣いはまだ必要かもしれない。

PDF:  http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/2006machinami_FukudaFinal.pdf
(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2020年6月号)

都市とITとが出合うところ 第71回 経路探索(2)

f:id:fukuda040416:20200430101716p:plain f:id:fukuda040416:20200430101724p:plain
図1 ARガイド(左:大阪歴史博物館;右:大阪大学吹田キャンパス)

ARガイド

前回は、スマホで出発地から目的地までの経路を調べる経路探索について、そして、経路探索の結果は提供サービスにより異なることを紹介した。

経路探索の結果を、乗換案内図と地図で眺めるだけでは、どちらへ向かえばいいのかわからない時がある。AR(拡張現実)は、実際の空間に目に見えない情報を重ね合わせる技術である。近年では、実際の屋外空間であるべき位置・向きに情報をずれることなく表示するための位置合わせ技術が進化している。そのため、経路探索の内容をARでガイドしてくれるサービスが登場している。

グーグルマップで、出発地と目的地を入力して経路探索を行い、交通手段に「徒歩」を選択すれば、「ライブビュー」のボタンが下の方に表示される。このボタンをタップ(画面上でクリック)すれば、カメラが起動して、「道路の途中の建物や看板にカーソルを合わせてください」という表示が出る。憶測になるが、起動したライブビューシステムは、現状の空間の位置合わせをしている。しばらくすると、画面には、カメラで取得する実際の空間の上に歩くべき方向と距離が立体的な矢印や文字で表示される。画面の下側には、現在位置が示された地図が表示される。

図1左は、大阪歴史博物館から天満橋へライブビューを表示させた様子、図1右は、阪大吹田キャンパスから山田駅へライブビューを表示させた様子である。

大切なポイントである曲がり角や目的地にたどり着くと、スマホが振動して知らせてくれる。また、歩きスマホ対策として、画面を進行方向に向けてAR表示させながらしばらく歩くと、警告が表示される。尚、ライブビューが使えるのは、グーグルストリートビューが提供されている範囲となっている。

ある場所にある時刻までにたどり着ける全経路探索

タイトルがわかりにくいかもしれない。問題を具体的に説明すると、「淀屋橋のご来光カフェでご来光を眺めることのできる公共交通の経路をすべてあげてみよう。」日の出の時刻は、2020年は5時53分だが、生駒山の向こうから上ってくるため6時とする。このように、ある駅(淀屋橋駅)に、ある時刻(6時)までに到着できる経路をすべて表示させるサービスは、どうもなさそうである。そこで、各路線の出発駅を入力して、しらみつぶしに経路探索してマップ化した(図2)。主な経路を以下に示す。予想と比べてどうだろうか?

実はここ数年、毎年調べているが、時刻表は多少変わっており、都度、アップデートする必要があることを実感した。 

f:id:fukuda040416:20201121082350p:plain

図2 淀屋橋に朝6時に到着できる路線図 2020年版

おわりに

現世は、新型コロナウィルスによる外出自粛要請が出ている。筆者自身、3月の1日の平均歩数は、それまでと比べて3000歩減少した。足の間隔を短めに見積もっても、1日1km、ひと月30km歩く量が減ったことになる。皆さま、ご自愛ください。

PDF:  http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/2005machinami_FukudaFinal.pdf
(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2020年5月号)

季刊学際技術誌『生産と技術』へ寄稿:『環境デザインのためのVR・MR』

f:id:fukuda040416:20200421134220p:plain

(一社)生産技術振興協会・季刊誌『生産と技術』2020 Spring Vol.72 No.2へ『環境デザインのためのVR・MR』を寄稿させていただきました。

URLは以下となります。ご笑覧いただければ幸いです。

http://seisan.server-shared.com/722/722-67.pdf

執筆途中、過去の『生産と技術』で、お世話になった先生方の寄稿が見つかりました。吹田キャンパスに時計台がない理由も窺えました。