ふくだぶろーぐ

福田知弘の公式ブログです。

遠隔TV会議、オンライン講義について。

昨今の新型コロナウィルス状況により、Web会議、オンライン講義、ウェビナー(Webinar)など、ネット接続による会議や授業の必要性が増えていると思います。会議・授業のシーンは様々なので、役に立つかわかりませんが、基本的なノウハウをご紹介したいと思います。

尚、遠隔会議は、インターネット接続、そして何より、電源の確保が前提です。

  • 通常の会議よりもネット接続の準備・チェックが必要です。会議がはじまる10分前にはオンライン会議室への入室を終えておきたいです。10分前であれば、トラブルが起こっても、対応できると思います。初心者の方ほど、早めに始めましょう。特に、大勢が参加する場合は、トラブルが発生してヘルプが必要になるのはあなただけではないと思われた方がいいでしょう。一度、オンライン会議室に入ってしまえば、会議がはじまるまではカメラの前で生真面目に座っている必要はなく、時間になるまで、リラックスされたらいいと思います。
  • 映像が共有できているかの事前チェックが必要です(参加者全員)。ウェブカメラは、逆光にならないように配置しましょう。逆光で配置すると、参加者はあなたのオーラが気になって会議に集中できないかもしれません。
  • 映像(動画)は大量のデータをやり取りするため、スマホなど、通信速度制限がかかっている場合は、注意が必要です。WiFiに接続した方が安心ですね。
  • スピーカー(音声の出力)の共有ができているか事前チェックが必要です(参加者全員)。これは意外と忘れやすいです。特に、大人数を相手とする場合など、PCから外部の専用スピーカーに接続する場合、特に、会場に備え付けられたスピーカーに接続する場合は、PC側で正しくデバイスが選択されているかなどのチェックが必要になります。
  • マイク(音声の入力)の共有ができているか事前チェックが必要です(参加者全員)。これも意外と忘れやすいです。
  • スピーカーとマイクは、PCに標準装備のものだと「キーン」とハウリングやエコーを起こしやすいです。できるだけ、ヘッドフォン/イヤホンを使われる方が良いです。また、会議中に発言しないのであれば、ミュート(消音)にしておく方がいいです。
  • 会議・授業が始まったら、話し手(教師・主催者)は、聞き手(聴衆・受講者)に映像が見えているか、音声が聞こえているかを、口頭、もしくは、チャット機能などで確認しましょう。
  • 一部のメンバーが対面型で会議を行い、その会議に、他のメンバーが遠隔で参加する場合、遠隔参加者は、会議の輪に入りにくい・疎外されていると感じることがあります。よって、会議の主催者は、ウェブカメラの位置に気を配り(できるだけ多くの参加者の姿が共有できるよう)、遠隔参加者に発言を促すなど、お気遣いされた方が良いと思います。
  • 対面型の会議と比べて、身振り手振りなどや顔の表情が共有しづらいので、話し手・聞き手の空気感が伝わりにくくなります。できるだけ、具体的に、論理的に、話された方が理解しやすくなると思います。また、聞こえているか、理解できているか、などの確認作業が適宜必要です。相槌は少々オーバーなくらいがビデオ越しには丁度いい感じです。

筆者らは長年、映像・音声をネット共有する会議だけでなく、VR(人工現実・仮想現実)をはじめとする3次元モデルを共有した遠隔会議について研究・実践してきました。

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経済産業省プロジェクト「次世代高信頼・省エネ型IT基盤技術開発事業・クラウドコンピューティングによる合意形成支援仮想3次元空間の利用サービス」において(株)フォーラムエイト様との共同研究によりVR遠隔デザイン会議システムの構築と実証を実施しました(2010-2011年度)。上の写真は、大阪大学工学部の広報用に撮影された様子です。

下は、当時取り組んでいた山口県下関市のまちづくりプロジェクトを対象として、千葉・大阪・ハイデルベルグをネット接続して、映像、音声をSkypeで共有、3DVRをVR-Cloudで共有しながら、VR空間上にスケッチを描きながら遠隔設計検討会議を実施しました。
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■国際VRシンポジウム 東京・品川フロントビル会議室の講演会場と大阪大学をネット接続して、映像、音声をSkypeで共有、3DVRをVR-Cloudで共有しながら、、遠隔設計検討会議をデモンストレーションしました。 2011年11月16日(時差なし。デモ担当:孫さん、北川君) 

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■インド・チェンナイで開催されたCAADRIA2012国際会議で、同様のデモを試みましたが、現地のネット環境が悪すぎて断念。代わりに、パワポで説明しました。遠隔会議は、インターネット接続、そして何より、電源の確保が前提です。

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■eCAADe 2013 デルフト工科大学(TYU Delft)と大阪大学をネット接続して、映像、音声をGoogleハングアウトで共有、3DVRをVR-Cloudで共有しながら、遠隔設計検討会議をデモンストレーションしました。オランダ2013年9月20日17:30、日本2013年9月21日0:30(時差7時間。デモ担当:古林君、種村君) 。時差の関係と、論文発表の順番は機械的に決定されるため、研究室の学生は深夜になりましたが対応してくれました。限られたプレゼン時間の中で大阪とつないだリアルタイムデモを紹介でき、主にヨーロッパからの聴衆から拍手を頂きました。

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VRサマーワークショップ ハワイと大阪大学をネット接続して、映像、音声をGoogleハングアウトで共有、3DVRをVR-Cloudで共有しながら、遠隔設計検討会議をデモンストレーションしました。ハワイ2014年7月8日16:25、日本 2014年7月9日11:30(時差19時間。対応:種村君、細川君)。現地のネット環境は行ってみないとわからないことが多いと感じたプレゼンでした。特に、ホテルや大会議室では、WiFiルータの受信がよくないことが多いです。

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■香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)公開講義を大阪大学に居ながらネット接続して、映像、音声をSkypeで共有、オンライン講義を90分間英語で実施しました。自分で講義しながら、その様子をスマホで自撮りしたので、写真はブレています。2015年5月18日。
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■国際デザインワークショップ 台湾亜洲大学(Asia University)と大阪大学をネット接続して、映像、音声をGoogleハングアウトで共有、3DVRをVR-Cloudで共有、遠隔設計検討会議をデモンストレーションしました。台中 2015年11月18日17:00、日本 2015年11月18日18:00(時差1時間。担当:三宅君)

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■香港中文大学 国際研修プログラム 香港中文大学(Chinese University of Hong Kong)と大阪大学をネット接続して、映像、音声、3DVRを共有、遠隔設計検討会議をデモンストレーションしました。香港2016年4月13日18:00、日本 2016年4月13日19:00(時差1時間。担当:井上君)

最近では、ZOOM、マイクロソフトTeamsなどを使うことが圧倒的に増えました。何しろ、映像が安定的なのと、設定が楽です。

最後に、ウィルスの影響で人の出会いや移動が制限されることで、遠隔会議やオンライン講義のニーズが高まるとは思っていなかったのが正直な気持ちです。