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都市とITとが出合うところ 第67回 ハルビン工業大学(深圳)との国際デザインワークショップ(1)

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ハルビン工業大学(深圳)

ハルビン工業大学(HIT)は、中国の最北端となる黒龍省の省都ハルビンに、1920年創設された国家重点大学である。近年では、山東半島・威海、経済特区・深圳にそれぞれ、2つ目、3つ目となるキャンパスを整備している。深圳キャンパスには、中国のトップクラスの清華大学北京大学ハルビン工業大学の3大学が隣同士でキャンパスを構えている。

今年6月末からの10日間、ハルビン工業大学(深圳)Sky Lo先生の呼びかけにより、HITと大阪大学(OU)のデザインワークショップを大阪大学で開催することになった。その様子をご紹介したい。 

ワークショップの概要とテーマ

ワークショップで、学生チームは都市や建築のリニューアルをテーマに、BIM(ビルディングインフォメーションモデリング)、GIS(地理情報システム)、XR(人工現実VR、拡張現実AR、複合現実MRの総称)などを用いて検討を進めていく。最終的に、パワーポイントだけでなく、XRでのプレゼンテーションを必須とした。ワークショップを通じて、デザイン検討とコンピュータツール両面のスキルアップを目指したためである。

テーマは、熊谷流通センターの未来(埼玉県熊谷市)。東京から北60kmに位置し、歴史ある地方都市の郊外に位置する流通センターの今後について考えてもらうことにした。筆者の方で、HPを整備して、熊谷および流通センターの地図、写真、各種情報を共有した [1]。

チーム作り

参加学生は、HITより15名、OUより10名、計25名となった。学年は、学部生(2-4年生)、大学院生(博士課程、修士課程)と幅広い。1チームにはそれぞれ、HIT3名、OU2名として、計5チームとした。尚、チームは、ワークショップが始まる前に、深圳と大阪それぞれでまずペアを作り、ワークショップで取り組みたいテーマを出し合って、マッチングする方法とした。スタートアップ時、各チームのサブテーマ(デザインの切り口)は以下の通り。チーム名と共に示す。

  • THE VRBANISTS:仮想と現実のインタラクション-歴史的、文化的な再現(Virtual and Real Interaction -- Historical and Cultural Reproduction)
  • Octopusアーバンストリートデザインの比較(Comparison of Urban Streets Design)
  • Cyberpunk都市空間構造の進化(Urban Spatial Structure Evolution)
  • Wework A 梦:人口需要と空間的な活力(Population Demand and Spatial Vitality)
  • ICTW町と都市の要素を活用した再構築(Reconstructing using Elements of Town and Cities)

DAY1-DAY4

初日は、まず、筆者やSky Lo先生より、大阪、深圳のことや、研究内容、ワークショップで取り組む内容を学生たちに紹介した。続いて、各々の学生が研究内容やワークショップの抱負など自己紹介を行い、アイスブレイクした。午後からは、チームに分かれて、敷地分析、コンセプト立案、計画、設計などの作業を順次はじめた。

OU学生の中には、通常の講義を受けるためにワークショップを中座しなければならない場合があるため、互いのスケジュールを見える化しながら、作業スケジュールを立てていた。

対象地の熊谷は大阪から離れており、学生たちは少々考えにくかったのかもしれないが、筆者の提供する資料を読み込むと共にインターネットなどから資料を熱心に収集していた。また、メンバーのコミュニケーションは英語を基本としながら、専門用語などは、漢字で筆談したり、Google翻訳などで母国語に翻訳しながら内容の理解に努めて、コミュニケーションを図っていた。

教員たちは、毎日の終わりに、各チームの進捗状況を個別に確認しつつ、適宜アドバイスした。DAY4の夕方には、建築系の教員や学生を交えて、中間報告会を実施した。 

参考文献

[1]HIT-OUデザインワークショップHP https://hitsz-ou-workshop.jimdosite.com/

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1912machinami_FukudaFinal.pdf
(一般社団法人 大阪府建築士事務所協会 「まちなみ」2019年12月号)