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都市とITとが出合うところ 第24回 亜洲大学@台中(2)

明日から3月ですね。「都市とITとが出合うところ」第24回。亜洲大学で開催された国際デザインワークショップのため昨年11月に訪問した台湾。台中以南の訪問先をご紹介します。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1603machinami_FukudaFinal.pdf

台南

台南は奈良や京都のような古都と呼ばれる。街なかはレトロとモダンが入り混じっており歩いて楽しい。丁度、プレミア12が台湾各地で開催中であり、街の至る所でテレビが付いており、市民が野球観戦をしていた。台湾チームは、キューバに勝って大いに盛り上がり、翌日はプエルトリコにサヨナラ負けで残念ながら決勝トーナメント進出ならず。

  • 林百貨店:1932年にオープンした百貨店。台湾初の百貨店である菊元百貨店(台北)とほぼ同時期。1988年台南市政府により「市定古跡」に認定され、その後保存修理された。そして、2014年に新しい林百貨店としてリニューアル・オープン(図1)。一般的な商品を扱うのではなく、デザイナーによるお洒落な商品がギャラリー風に販売されていた。上階には第2次世界大戦での米軍による爆撃跡が残る一方で、日本のビルではお馴染みの稲荷神社が祀られていた(図2)。林百貨店の向かいには、1937年に完成した元日本勧業銀行台南支店がどっしりと建つ(現土地銀行台南分行、図3)。

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図1 
林百貨店外観

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図2 屋上の稲荷神社

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図3 元日本勧業銀行台南支店

  • 正興街:古い建物をリノベーションして、雑貨屋、カフェ、屋台などのお店が連なるストリート。例えば、「泰成水果店」は1935年創業の老舗の果物屋さんだが、今、有名なのは、南国の果物をたっぷり使ったデザート。店の前は長蛇の列であった(図4)。

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図4 泰成水果店

  • 赤嵌樓:1653年にオランダ人がこの辺りを統治していた時の砦の跡。1661年に鄭成功がオランダ人を追い払い、承天府という名の行政府をここにおいた。赤嵌樓前のコンビニは景観に配慮した佇まいになっていた(図5)。

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図5 赤嵌樓前のコンビニ

  • 騎楼:台湾の街区には騎楼が設置されており一般の人々が通行できる。騎楼は、建物の2階より上階が車道際まで張り出し、その下の1階部分がセミパブリック空間になっている建築様式のこと。暑い日差しや降雨を遮ってくれる。騎楼を歩いていると、合格者と合格大学の名前がズラリとぶら下げられていた。どうやら、学習塾が入る建物らしい。台湾は日本と同じく受験戦争が盛んなようだ。
  • 黄金海岸台南市街から南西方面。その名の通り、夕日が美しいビーチらしい。夜に行って驚いたが沢山の屋台が出ていた。11月に訪問したのに日中の気温は25~30℃と、日本では夏の終わりの感じで、海風が心地いい。屋台では、好きな食材を選ぶと、その場で調理してくれる(図6)。浜辺には、大きなパラソルがわざと倒されて並んでおり、パラソルの屋根が隣との目隠しになって、セミプライベートな空間が作られていた(図7)。

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図6 黄金海岸の屋台

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図7 黄金海岸

高雄

台南駅から在来線高雄まで約1時間。台南駅は1936年に完成した近代建築であるが今なお現役である(図8)。

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図8 台南駅

  • 美麗島駅:高雄にはMRTが2路線あり、その乗換駅が美麗島駅。地下1階の乗り換えコンコースには、光之穹頂 (The Dome of Light) と呼ばれる、直径30mの巨大なステンドグラスがあり、利用客を楽しませてくれる(図9)。

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図9 美麗島駅のステンドグラス

  • 高雄港駅跡:台湾の北の港町・基隆から南の港町・高雄までを結んだ縦貫線の終点駅跡。1909年から2005年まで使われ、船で港までやってきた貨物はここから列車に積み替えられて各地へ運ばれていった。今は広々とした公園として整備されており廃材を利用したオブジェが点在していた(図10)。隣接地にある倉庫群は、アートフェスの会場になっていた。港町ということで神戸や横浜と雰囲気がやはり似ている。

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図10 高雄港駅跡

  • 西子湾: 高雄の日中は本当に暑かった。なので黄昏時は気持ちがいい。岸壁では地元民が魚釣り。カフェで水分補給しながら海を眺めていると、大物が釣れたようで大勢集まってきた(図11)。海の幸といえば、ワタリガニが美味しい季節でもあった(図12)。

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図11 西子湾

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図12 ワタリガニ

霧峰林家

台湾で著名な一族は5つあり「台湾五大家族」と呼ばれる。その一つ、台中郊外にある霧峰の林家花園へ。上(かみ)林家景薫楼は「台湾議会之父」と称される林献堂の居宅(図13)。文物館では、氏が使用した書物や調度品のみならず、数々の写真、手紙、日記などが丁寧に保管されていた。

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図13 上 林家 景薫楼

池の中にあるステージ「飛觴酔月亭」から迎賓館「五桂楼」を眺める(図14)。以前は橋の延長線上に迎賓館の真ん中の入り口があったが、1999年9月の921大地震で1mほどずれてしまったそうだ。当地は921大地震震源にほど近いため被害が大きかったそうで、迎賓館は壊れてしまい、近年再建されたそうである。

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図14 霧峰林家花園

霧峰林家の近くには、九二一地震教育園区が整備されており、大破した学校建築が壊れた当時のまま、保存されていた。敷地内には亀裂の入った断層があり、淡路島の野島断層記念館を思わせる(図15)。

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図15 九二一地震教育園区