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福田知弘の公式ブログです。

首都ブラジリアその1。

ブラジリアは南緯15度の内陸に位置している。海抜は1152m。周囲はサバナで乾燥した風が吹き抜ける。ブラジルの主要都市が海岸沿いに位置しており、旧首都リオ・デ・ジャネイロまで940km、サンパウロまで890km、サルバドールまで1,000km以上離れている。面積は5814km2、人口は約200万人。

1955年、クビチェック大統領(Juscelino Kubitschek: JK)はブラジル中央高原に新首都を建設する構想を発表。当時は荒野であった。大統領の任期5年のうちに完成させるというスローガンの下、1956年から1959年にかけて30,000人の労働者により建設、1960年に歴史のない計画首都が実現した。

計画には、都市計画家ルシオ・コスタ(Lucio Costa)と、建築家オスカー・ニーマイヤー(Oscar Niemeyer)、ランドスケープ・アーキテクトバーレ・マーク(Burle Marx)が起用され、ジェット機に整えられた区画に奇抜なデザインの建築群が配されている。コスタとニーマイヤーは共にル・コルビジェの下で学んでいる。

ジェット機の機種にあたる部分には、三権広場があり、三方を国会議事堂、最高裁判所、大統領府などに囲まれている。その先には人造湖パラノイア湖だ。また、翼にあたる部分には、整然と弓形に区画整理されており高層住宅やホテルが立ち並ぶ。中央の胴体部分には、テレビ塔があり高さ75mの展望台からブラジリアを一望することができる。さらに尾翼に近づくとクビチェック大統領記念館がある。

詳しく調べた訳ではないが、おそらく一番若い世界遺産ではなかろうか。

■上空から見たブラジリア(kmz)。今回は湖の近く、ジェット機の機種に位置する三権機関を紹介しよう。

■国会議事堂。オスカー・ニー・マイヤーの代表作。広場中央に一対の28階建てビルを配し、右側には御椀を伏せた形の屋根をした上院、左側には受け皿の形をした下院がある。下の写真は三権広場から。28階建てビルの隙間からテレビ塔が垣間見えるんだ。


■大統領府。高原の宮殿といわれるガラス張りの建物。三権広場をはさんで最高裁判所(1枚目写真撮影地)と向かい合う。


最高裁判所。手前には目隠しをした女性の像が立つ。特徴的な意匠の庇は測ると幅6mほどあった。エアコンが要らないらしい。


■参考文献:
・新建築1996年5月号,“オスカー・ニーマイヤーと語る−ブラジリアの40周年を前にして”,新建築, 1996.
・F. Richer & M. Fiegl,“BRASILIA 60 COLORFOTOS”,CEU AZUL DE COPACABANA.
Wikipedia ,“ブラジリア”, 2006.