ふくだぶろーぐ

福田知弘(大阪大学 大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻)のオフィシャルブログです。

淀川流域圏プロジェクト。

H14年度から17年度の4年間にわたり、大阪大学大学院 工学研究科 環境・エネルギー工学専攻の加賀昭和教授を研究リーダーとして、旧環境工学専攻(今は環境・エネルギー工学専攻なのでこう呼んでいます)の教員が中心となり、環境省補助金「環境技術開発等推進事業:自然共生型流域圏・都市再生技術研究」を推進してきました。

研究開発課題名は「流域圏自然環境の多元的機能の劣化診断手法と健全性回復施策の効果評価のための統合モデルの開発」です。

■2035年の人口分布(webGIS)
■淀川流域圏プロジェクト公式HPはこちらから


日本では、河川流域を単位として、自然の水循環を中心とした自然基盤に依存して、河川に沿って都市が成立し、発展してきました。しかし、現在、巨大化した都市活動がもたらす環境負荷が、流域の自然環境に大きな影響を与えており、流域全体の自然環境保全・修復が強く求められています。また、巨大化した都市では、環境負荷を低減し、自然環境システムの後退・劣化の現状を改善し、自然とのふれあいの機会を増進し、健康、安全・安心かつ快適な居住環境へと改善していくことが求められています。

対象とした淀川流域圏は、利根川につぐ日本第2の流域人口をもち、大阪市京都市という大都市を抱えています。また淀川流域は、日本で最初に文明が発達した地域でもあり、人間活動による流域圏自然への負荷と、治山・治水などを目的とした自然改修の歴史も日本でもっとも長い流域です。

このプロジェクトでは、流域圏都市の活動基盤である流域圏の自然環境が、本来多元的な機能をもつことに着目し、その機能の定量化をめざすとともに、都市活動の影響による機能劣化の現状を定量的に評価・診断するための手法を開発しようとしました。

さらに、都市活動が流域圏自然の機能の劣化に及ぼす影響を定量的に表現できる統合モデルを開発し、流域圏の健全性回復のためのいくつかの施策を立案して統合モデルによってその効果を評価しようとしました。これによって、地域特性に応じて重視すべき機能を選択しながら自然共生を図る、都市再生への新しい技術的方法論が見いだせるものと考えました。



このような研究テーマの下、私も最後の2年間に携わり、学生や企業の協力も得ながら研究推進してきました。

最終年度(H17)には、この4年間の研究成果をwebGISで公開するシステムを開発し、先日一般公開が可能となりましたので皆様にもご紹介しておきます。上記「■淀川流域圏プロジェクト公式HPはこちらから」よりお入りください。このシステムは研究成果の公開に留まらず、環境教育のツールとしても積極的に活用していく予定です。

環境に配慮した政策決定を実際に行うためには、流域の行政単位の壁が立ちはだかります。まず誰がリーダーシップをとるか。規模が大きくなればなるほど、組織が複雑になればなるほど、「先に動いたら損」という考えは残念ながらある意味事実なんでしょうね。しかしながら、このように少しでもわかりやすいツールを用いることで「やらねばならないんだ!」との必要性を理解していただくと共に、草の根レベルからの交流と運動により大義名分をつくり行政を動かしていく必要があるのかもしれません。

色々とご質問・ご意見等ございましたら、ご連絡頂けますと幸いです。
まだまだ改良の余地はありますが、まずは公開できたことをご報告させて頂きます。