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都市とITとが出合うところ 第45回 香港中文大学 国際研修プログラム2017 (3)

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ISP2017 @大阪・関西 その3

今年5月、香港中文大学 中國城市住宅研究中心が企画するInternational Study Programmes(ISP: 国際研修プログラム)の最終回。本稿では、香港と同様、小さな漁村から港町として発展してきた神戸の様子をご紹介しよう。神戸市役所、KIITO、旧居留地、メリケンパークを歩いて巡り、クルーズ船から神戸の夜景を楽しんだ。

先駆的な景観施策

神戸市は、1978年に神戸市都市景観条例が制定されて以来、神戸の恵まれた自然と海、坂、山という変化に富んだ地形を活かしながら、美しいまちなみの形成を図り、全ての人が住み続けたい、また訪れてみたくなる魅力あふれた都市の実現を目指してきた。以下が主な取り組みである。

  1. 地域・地区指定による景観形成: 景観計画区域、都市景観形成地域の指定、景観形成指定建築物等届出制度、伝統的建造物群保存地区
  2. 神戸らしい眺望景観・夜間景観: 建築物等の誘導基準の運用
  3. 市民主体の景観まちづくりの推進: 景観形成市民団体の認定、景観形成市民協定の認定
  4. 景観形成重要建築物等指定制度
  5. 普及啓発活動(神戸市都市デザイン賞)、景観形成助成


デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)

デザイン・クリエイティブセンター神戸は、旧神戸生糸検査所をリノベーションした施設。1927年に旧館が、1932年に新館がそれぞれ完成し、ここで検査を終えた生糸が神戸港から輸出されていった。その後、役割を終え、上で紹介した「4. 景観形成重要建築物等指定制度」で、歴史的な建築物や地域のシンボルとなっている建築物など景観上重要な建築物等として「景観形成重要建築物等」の指定を行い、保全・活用した。一部のクリエイターやデザイナーだけでなく、様々な人や世代が交流し、そこから生まれるアイデアや工夫で新しい神戸をつくっていこう、そして、神戸のまち自体をクリエイティブなものにしていこうと、日々、実践している。リノベーションされた施設にはかつての検査所で使われていた物品が改修され、什器や装飾として蘇っている。尚、KIITOの前面道路である、国道174号線は日本一短い国道。全線がわずか187.1m。


KOBE
パークレット

居留地の北側、三宮中央通りにパークレット(Parklet)が3基設置されている。これは、サンフランシスコが発祥の、憩いや賑わいの場を創出するための装置である。車道の一部を利用したパークレットはわが国では神戸が初めての取り組み。パークレットの構造は、シンプルであり、まず、停車帯などに傾きや段差が生じないように床材(ユニットデッキ)を張る。次に、車と歩行者を分離するための囲い(ガードパイプ)を作る。最後に、人々が休憩したり、会話をするための施設(ベンチ、テーブル等)を設置する。ショッピングや街あるきで疲れたら休めるし、近くのお店で買ったものを飲食することもできる。人々がふと腰を下ろして憩える公共空間があまりに少ないと日々感じているが、パークレットはこの問題の改善を目指した道路空間での試みだといえよう。


メリケンパーク

メリケン波止場は明治政府が兵庫の第3波止場として開設した波止場。名前は、近くに米国領事館があったことに依る(アメリカン -> メリケン)。1987年、神戸港開港120年を記念して、波止場の西側一帯が埋め立てられてメリケンパークが誕生した。北東の入り口には、建築家 フランク・オーウェン・ゲーリーの「フィッシュ・ダンス」が建つ。メリケンパークは、今年、開港150年を契機に、ウォーターフロント地区の魅力向上のために、大規模リニューアル工事が完成した。芝生広場の拡張、ステージの改修、夜間景観の演出、「BE KOBE」のモニュメント設置、スターバックスの公園内店舗の出店などである。


夜景クルーズ

神戸の夜景スポットは数多くあるが、やはり、港町の夜景はやはり海から眺めたいものである。海面に近く、小回りが利く船を探していたところ、早駒運輸㈱より、夕暮れ時に小型船「ファンタジー号」を出して頂くことになった。出航してから45分間、港からの夜景を満喫させて頂いた。丁度、秋篠宮殿下が来られており神戸大橋もライトアップ。船は「BE KOBE」オブジェクトにも最大限寄ってくれた。香港メンバーは明日、日本を離れて米国へ旅立つため、日本で最後の夜になったのだが、神戸ビーフのお蔭もあってか、ディナーは大層盛り上がった。

 

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1712machinami_FukudaFinal.pdf

大阪府建築士事務所協会「まちなみ」2017年12月号)

第40回 日本建築学会 情報シンポ 企画確定版(12月14・15日)。

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師走まで10日ほどとなり、いよいよ、第40回 建築学会 情報シンポが近づいて参りました。今年は主査(世話人)を仰せつかっており、桜の咲くころからメンバーと準備を進めて参りました。内容がほぼ確定しましたので、ご案内させて頂きます。

テーマ
バック・トゥ・ザ・フューチャー: 次の40年へ」
情報シンポは40年目を迎えました。建築・都市・環境への社会貢献が求められるなかで、情報システム技術に課せられた役割は果てしない広がりを見せようとしています。

情報システム技術委員会では建築の各分野を横断するITの新しい可能性を追求する場を提供することを目的として、本年度も下記要領でシンポジウムを開催します。

基調講演、論文および技術報告の発表、各小委員会によるオーガナイズドセッション等を行いますので、多数の方々の参加と活発な意見交換をお願いします。

4題の基調講演
12/14 15:00-17:00
「独創・協創・競創の未来:タンジブル・ビットからラディカル・アトムズへ」
MITメディアラボ副所長 石井 裕 氏
「VR2.0の世界」
東京大学教授 廣瀬 通孝 氏
12/15 16:00-17:00
「都市のアクティビティを豊かにする情報の可能性」
日建設計 都市開発部 福田 太郎 氏
-> 都市開発プロジェクトのコンサルティング、とりわけ「えきとまち」など多くの人々が活動するパブリックな空間・仕組みのデザインをフィールドとされています。
「AR技術がもたらす可能性」
FunLife 代表取締役 COO, CFO 黄木 桐吾 氏
-> AR x モーションセンシングを用いた新しい形のスポーツトレーニングを探求されている若手実業家です。

77題のオーガナイズドセッション・論文/報告
建築センシング・モニタリングの応用|建築デザインの数理と知能|知的情報処理技術の応用と展開|GISの地域空間情報による計画設計手法への展開|建築計画・設計|都市地域計画|建設経済・マネジメント|人間科学分野の情報技術応用|教育|シミュレーション|ソウトウェア・アルゴリズム|VR|GIS|モニタリング・センシング・データマイニング
-> ここ5年間で、最も多い発表数となりました。発表者の皆さま、ありがとうございます。

プログラム
http://www.aij.or.jp/jpn/symposium/2017/171214-15.pdf

事前申込
定員200名。事前申し込みは、お陰様で例年よりも多く頂いております。〆切は11月30日12時ですが、お早めにお申し込み頂ければ幸いです。残席があれば当日申し込みも受け付けております。懇親会のみの参加も受け付けております。是非、ご参加ください。

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https://goo.gl/forms/tIgPWGWa4eWoppjM2

公式HP、SNS(随時アップ中)
第40回情報シンポHP https://www.aijisa2017.org/
建築学会 催し物欄:https://www.aij.or.jp/event/list.html?categoryId=84
情報システム技術委員会 Facebook https://www.facebook.com/aijrcist/
情報シンポ Twitter https://twitter.com/aijisa2016

ライブ配信
Youtubeで、基調講演4題をライブ配信する予定です。建築会館までお越し頂けない場合など、ご覧ください。

www.youtube.com


過去のプロシーディングス
https://www.aijisa2017.org/archive-1/
-> 現在、過去のプロシーディングスのデジタル化プロジェクト進行中です。完成したもの、公開できるものは上記にアップ済みです。


皆様のご参加をお待ちしております。
関係者お誘い合わせの上、ご参加頂ければ幸いです。

最後になりましたが、スポンサーにてご協力頂く企業の皆さまに御礼申し上げます。

早くも10年目!国際VRシンポジウムでプレゼンしました。

World16による国際VRシンポジウムでプレゼンしました。2007年にはじまり、早くも10年目を迎えました。今年は、夏にボストン・MITで実施したサマーワークショップの成果をブラッシュアップさせた作品の成果発表です。アリゾナ州立大学 小林佳弘先生が司会をされました。

f:id:fukuda040416:20171116174235j:plain■World16 今回は10名が世界中から集まった。

f:id:fukuda040416:20171116150657j:plain■Marcos Novak(カリフォルニア大学 サンタバーバラ校)と組んだチームで「汎用画像処理シミュレーションフレームワーク開発」と題してプレゼンさせて頂きました。マルコスと一緒に仕事ができるだけで光栄です。

f:id:fukuda040416:20171116145114j:plain■Matthew Swarts x Marc Aurel Schnable「協調設計プラットフォーム研究開発」

f:id:fukuda040416:20171116142013j:plain■Kostas Terzidis x Amar Bennadji「適応的オーディオと拡張現実提供サービス構想」

f:id:fukuda040416:20171116143107j:plain■Paolo Fiamma x Ruth Ron「IM&VR nD情報オープンフォーマットと可視化機能開発」

f:id:fukuda040416:20171116174306j:plain■終了後、VDWCの審査員の先生方を交えて、記念撮影。

 

第5回 学生クラウドプログラミングワールドカップ [CPWC]の最終審査会と表彰式でした。

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CPWC(学生クラウドプログラミングワールドカップ)は、VRソフトウェアの新たな可能性を追求するコンペ。早いもので、今年は5年目を迎えました。桜の咲くころから募集を開始して、フォーラムエイト社のUC-Win/Road、VR-Cloudの開発キットをベースに、アプリケーション開発を競って頂きました。

先日、11月16日は東京での最終プレゼンテーションと最終審査でした。「イエイリ建設ITラボ」で有名な建設ITジャーナリスト 家入龍太さんの司会により、ノミネート審査を通過した、中国、韓国、日本の各大学からの8チームが開発内容をプレゼンテーションしました。壇上の各審査員がVRシステムを使って投票作業を行い、その後、最終審査会を実施しました。

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グランプリは、韓国・国民大学のVAEGISチーム。「Car that Knows Before You Do via Deep Learning」という作品は、ADAS(Advanced Driver Assistance System: 先進運転支援システム)の高度化を目指したもの。運転操作を予め予測して、事前にドライバーに警告することで、余裕を持って危険回避や危険準備を行えるというシステム。これを実現するため、カメラ、アイトラッカー、ヘッドトラッカー、CANインターフェースをシミュレータに装備し、複数の感覚ストリームの予知を合同で深層学習させて、シミュレーションソフトウェアに統合した。写真は、家入龍太さん、阿部祐二リポーターの司会による、グランプリ表彰の様子です。

審査員特別賞は、以下の通りです。

  • 環境設計情報学賞「Embrace the epoch of automatic driving」:ITSCer(武漢理工大学・中国)
  • Best Optimization Award「Optimization of Market Layout Based on Customer Behaviors」:Seven Dwarfs(上海大学・中国)
  • UX Award「AugReal」:Penguin Gakuen(上海交通大学・中国)
  • Traffic and City System Award「The Electronic Toll Gate of Urban Road」:666(北京建築大学・中国)

阿部祐二さんは、最初の自己紹介で、娘さん(ミスユニバース日本代表)の話ばかりでした 笑。ほのぼのとした雰囲気になりましたね。

リポーター阿部祐二は“格差婚” 妻は美人プロゴルファー (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

「周りはみんな敵」リポーター阿部祐二を助けた“鬼嫁”の存在 (1/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)


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会場には、ギークなタレント・池澤あやかさんが来られており、TV番組「VRフレンズ シーズン2」の取材をされていました。金曜の夜が楽しみです。

今年、受賞・参加を残念ながら逃した学生さんは、是非、来年の応募をお待ちしております。

Edvation x Summit 2017 に登壇させて頂きました。

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11月6日、Edvation x Summit 2017という、教育・人材育成分野に特化した、国際カンファレンスに参加してきました。海外からの実業家を招いた講演、ワークショップなどのプログラムが数多く用意されていましたが、その中で、パネルディスカッション(PD)に登壇させて頂きました。PDテーマ、登壇者は以下の通りです。

■VRは教育に何をもたらすのか? ~VR Technologyの可能性~

  • 福田知弘 大阪大学
  • 品田 健 氏 聖徳学園中学・高等学校 学校改革本部長・Executive ICT Director
  • 松田克巳 氏 株式会社フォーラムエイト システム営業マネージャ
  • 高田寿久 氏 株式会社フォーラムエイト 本社開発マネージャ

本セッションでは、近年、急速に活用が進むVR技術について、VRコンテンツとAR/クラウドなどのICT技術を連携させた街づくり・観光・教育等における既存の適用事例、各種VRデバイス活用事例についてご紹介します。
また、実際に教育を受ける立場の現場の学生の意見も踏まえ、教育者、ソフトウェアベンダーの立場から、今後の教育におけるVRの可能性や、課題についてパネルディスカッションを行います。

40分間のPDで最初に自己紹介を兼ねて「まちづくり・教育: VRで夢と未来を」という題で水木しげるロード リニューアルプロジェクトでVRをフル活用した取り組みを中心に、話題提供をさせて頂きました。

会場は、千代田区麹町中学校でした。平日に普通の公立学校が会場で不思議に思いましたが、中学生も最先端の考えやテクノロジを直接聞く機会となったようです。「VRは教育に何をもたらすのか? ~VR Technologyの可能性~」のPDは、お昼休み時間帯ということもあって、麹町中学校 1F 合同教室には数多くの方がお越しになられていました。ありがとうございました。

三島地区教育委員会協議会(島本町、高槻市、茨木市、摂津市、吹田市)@ 市立吹田サッカースタジアムに出席しました。

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■ピッチにて。天然芝とスタンドの間に、隙間が空いているのが見えます。これは、天然芝に風を送りこむためだそうです。芝が育つために風は必要な要素ですね。

昨日は、三島地区教育委員会協議会(島本町高槻市茨木市摂津市吹田市)。教育委員として出席しました。今年は吹田市がホスト・シティということで、市立吹田サッカースタジアムが会場となりました。 ちょっと疲れたら天然芝のスタジアムを眺めてリフレッシュできそうな研修室です。午前中は、ガンバの選手達が公開練習されたそうで、グラウンドは芝生の手入れ中でした。

市立吹田サッカースタジアムは、私自身、環境アセスメントの段階で、隣のエキスポシティ計画とともに、事業者・行政と対話をさせて頂いていました。が、人間も、建物も、やはり、生まれてからが、大事です。ガンバ大阪の方からは、Jリーグガンバ大阪、サッカースタジアムの状況をご講演して頂きました。募金で作られたスタジアムですが、募金活動時、「募金箱に音を立てずに入れてください」とお願いされ、市民がそれに応えてくれたのは、流石、市民のまち、大阪だと思いました。硬貨ではなく、紙幣を入れてください、という意味です。ガンバの選手たちが、近隣市町の学校に精力的に訪問されていることも伺いました。子供の内に、ホンマモンと出会うことは大切なことです。

施設は、色々と工夫を凝らし、丁寧に運営されていると感じました。ガンバ大阪とアウェイチームの選手が使用するロッカールームも見せて頂き、その違いには驚きました。

ガンバ大阪の選手で、今は弁護士をされている方にお会いできたのは光栄でした。海外ではプロスポーツ選手が、セカンドキャリアとして実業家など別の畑で活躍される話をよく耳にしますが、国内では珍しいように思います。ただ、下の記事を読むと、険しかった道のりが伺えます。

OBT人財マガジン|第六回【成長の瞬間】諦めなければ夢は叶う‐前編

OBT人財マガジン|第六回【成長の瞬間】諦めなければ夢は叶う‐後編

安藤忠雄展 挑戦 に行ってきました。

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昨日は、東京・麹町中学校で開催された、Edvation x Summit 2017でのパネルディスカッション「VRは教育に何をもたらすのか?」に登壇させて頂きました。

その後、乃木坂で開催中の、安藤忠雄展に行って来ました。

写真は光の教会の原寸大インスタレーションです。美術館の増築として作られたそうです。安藤忠雄建築研究所の半世紀に及ぶプロジェクト紹介と、月曜とは思えない訪問客の多さに圧倒されました。

安藤さんが会場で直に描かれた生スケッチ、安藤さんやスタッフの方々の若かりし頃の写真、2009年阪大生が取り組んだ中之島模型のように、今回も学生さんが参加して制作されたベニスとパリの巨大模型、迫力満点の展示会でした。

www.tadao-ando.com

香港中文大学で公開講義をしてきました。

f:id:fukuda040416:20171103114322p:plain10月17日、香港中文大学(The Chinese University of Hong Kong)で公開講義をしてきました。

タイトルは「Recent Advanced Information and Communication Technology forArchitectural, Urban and Environmental Design Engineering Realm and Practice」で、日本語だと「建築・都市・環境設計工学分野の最近の高度情報技術とその実践」です。

当日は、一般の方も受講可能な、約2時間のパブリック・レクチャーでした。香港中文大学の教職員、学生、社会人らが聴講されました。

早速、当日の記録がアップされています。彼らは仕事が本当に早い。人を選ばず気遣いが素晴らしい。確実性も高い。提案がオモロイ。トラブルが起こっても一緒に悩んで解決につき進める。老いぼれもまだまだ負けてられないと勇気づけられます。貴重な経験をさせて頂きました。

Recent Applications of Advanced Information and Communication Technology (ICT) for Architectural, Urban and Environmental Design Engineering Realm and Practice - Prof. FUKUDA Tomohiro - MSSc in Housing Studies Programme (MSSc HSGS) | The Chinese University of Hong Kong

 

 

 

 

 

VRフレンズ2: Youtubeにアップされました。

当研究室(環境設計情報学領域: 矢吹研)が取材された、Tokyo MX1「パックン・河北麻友子池澤あやか VRフレンズ2」の過去の放送分がYoutubeの公式サイトにアップされています。VR探訪コーナーは下記となります。

エンジニア女子 池澤あやか VR探訪 #01 2017年10月13日放送分

youtu.be

エンジニア女子 池澤あやか VR探訪 #02 2017年10月20日放送分

youtu.be

エンジニア女子 池澤あやか VR探訪 #03 2017年10月27日放送分

youtu.be

エンジニア女子 池澤あやか VR探訪 #04 2017年11月3日放送分

youtu.be

 

www.see.eng.osaka-u.ac.jp

大阪大学 大学院工学研究科 環境・エネルギー工学専攻 共生環境デザイン学講座 環境設計情報学領域(矢吹研究室)

 

都市とITとが出合うところ 第44回 香港中文大学 国際研修プログラム2017 (2)

ISP2017 @大阪・関西 その2
 今年5月に企画した、香港中文大学 中國城市住宅研究中心とのInternational Study Programmes(ISP: 国際研修プログラム)。本稿では、環境配慮型建築を見学した様子をご紹介しよう。

NEXT21
 NEXT21は、1993年に竣工した、大阪ガス㈱による近未来の都市型集合住宅のあり方を模索する実験プロジェクト。スケルトン(躯体)とインフィル(内装)とが明確に分離された構法で作られた。近未来の都市居住ライフスタイル、環境・エネルギー面の取り組みなどを研究テーマとして実験が進められ、約5年をひとつのフェーズとして、現在は第4フェーズ(2013-)である。第4フェーズは、2020年頃までの集合住宅における「環境にやさしい心豊かな暮らし」を追求しており、「人と人のつながりの創出」「人と自然の関係性の再構築」「省エネ・スマートな暮らしの実現」の具現化に取り組んでいる(図1)。
 例えば、燃料電池をはじめとするガスコージェネレーションシステムを集合住宅で高効率に活用することを目指して、エネルギーシステムの実証実験が行われている。具体的には、家庭用固体酸化物形燃料電池コージェネレーションシステム(SOFC)を用いた電力や熱の住戸間での融通、電力需給ひっ迫を緩和するデマンドレスポンス対応と逆潮運転、停電時自立システムの構築、HEMSの導入、再生可能エネルギーとの組み合わせなどである。また、現代家族の持つ課題への対応や都市緑化の促進のために、中間領域の実験、2020年の住まいの提案、省エネライフスタイルの醸成、緑地マネジメント実験などの住まい・住まい方の実験も実施している。
 NEXT21の住戸は大阪ガスの社員とその家族が実際に居住されているため、住戸の内部見学は中々難しい。が、偶然にも、居住されていない住戸を見学することができた。この住戸は当初設計では、玄関を設けず、共用廊下(外部)から住戸内部へは各個室にまずアクセスし、個室から共用のリビングルーム・ダイニングルームにアクセスする動線設計が特徴的であった。
 NEXT21は谷町六丁目にあり、北には大阪城公園、南には天王寺公園が広がる。建設前の調査で、大阪城公園から野鳥が敷地周辺に多数飛来していることがわかり、その野鳥を呼び込むための植栽計画が立案されている。時間が経ち、鳥が運んできたと思われる種子が成長した樹木たちが印象的であった。

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テクノロジー・イノベーションセンター
 ダイキン工業 テクノロジー・イノベーションセンター(TIC)は、延べ床面積3万平米を超えるビルとしてはLEED-NCプラチナ認証を取得した唯一の大型ビル(2017年5月時点)。同社のコア技術である、ヒートポンプ、インバーター、フッ素化学などの技術開発拠点である。ZEB(Zero Emission Building)を目指して消費エネルギーを70%削減しつつ、700人の研究・技術者が一堂に就業する「協創イノベーション」プレイスを実現しようとしている。例えば、「世界一よく眠れる寝室はどんな空気環境なのか」「病院にはどういう空気空間が求められるのか」など、空気のあり方を考えようとしている(図2)。
 ダイキン淀川製作所の敷地に入るとすぐにTICの森に出会う。北摂の植生を参考とした自然樹形の森は、近隣住民にも開放されている。建物外観は、庇の外側に設けられた白いスチールパイプが2段庇を構成しており、ハイテクの研究開発拠点らしい。
広々としたエントランスホールは、TICの森から取り入れた空気を吹き出すガラスチャンバー「エアウォール」がお出迎え。同じフロアには「啓発館」があり、ダイキン工業の歴史や取り組みを学ぶことができる。かつて、フロンガスを使用した潜水艦の冷房装置を製造されていたことを初めて知った。オフィス棟3階にある知の森は、ミーティングスペースに加えて、フッ素技術を使ったユニークなアートが展示されていた。オフィス棟最上階(6階)にあるフューチャーラボは、社内外からの講師を招いての勉強会やワークショップが開催されるオープンな空間。バルコニーに出れば、淀川と大阪都心を眺めることができた。
 オフィススペースは、消費エネルギーを細かく計算するため、温湿度・CO2濃度センサを4.5×9m毎に配置しており、計量結果はオフィス内のデジタルサイネージに3次元でリアルタイム表示される。また、入場はできなかったが、4階と5階のオフィス空間を繋ぐ中間階には、ワイガヤステージが設けられている。文字通り、社内の異分野を結びつけてコミュニケーションを強化するために、社員同士がワイワイガヤガヤと議論を行う場である。MITアレン博士の理論を参考に、全オフィスエリアから30m以内で移動することができる位置に設けられている。

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PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1711machinami_FukudaFinal.pdf

大阪府建築士事務所協会「まちなみ」2017年11月号)