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福田知弘の公式ブログです。

都市とITとが出合うところ 第24回 亜洲大学@台中(2)

明日から3月ですね。「都市とITとが出合うところ」第24回。亜洲大学で開催された国際デザインワークショップのため昨年11月に訪問した台湾。台中以南の訪問先をご紹介します。

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台南

台南は奈良や京都のような古都と呼ばれる。街なかはレトロとモダンが入り混じっており歩いて楽しい。丁度、プレミア12が台湾各地で開催中であり、街の至る所でテレビが付いており、市民が野球観戦をしていた。台湾チームは、キューバに勝って大いに盛り上がり、翌日はプエルトリコにサヨナラ負けで残念ながら決勝トーナメント進出ならず。

  • 林百貨店:1932年にオープンした百貨店。台湾初の百貨店である菊元百貨店(台北)とほぼ同時期。1988年台南市政府により「市定古跡」に認定され、その後保存修理された。そして、2014年に新しい林百貨店としてリニューアル・オープン(図1)。一般的な商品を扱うのではなく、デザイナーによるお洒落な商品がギャラリー風に販売されていた。上階には第2次世界大戦での米軍による爆撃跡が残る一方で、日本のビルではお馴染みの稲荷神社が祀られていた(図2)。林百貨店の向かいには、1937年に完成した元日本勧業銀行台南支店がどっしりと建つ(現土地銀行台南分行、図3)。

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図1 
林百貨店外観

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図2 屋上の稲荷神社

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図3 元日本勧業銀行台南支店

  • 正興街:古い建物をリノベーションして、雑貨屋、カフェ、屋台などのお店が連なるストリート。例えば、「泰成水果店」は1935年創業の老舗の果物屋さんだが、今、有名なのは、南国の果物をたっぷり使ったデザート。店の前は長蛇の列であった(図4)。

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図4 泰成水果店

  • 赤嵌樓:1653年にオランダ人がこの辺りを統治していた時の砦の跡。1661年に鄭成功がオランダ人を追い払い、承天府という名の行政府をここにおいた。赤嵌樓前のコンビニは景観に配慮した佇まいになっていた(図5)。

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図5 赤嵌樓前のコンビニ

  • 騎楼:台湾の街区には騎楼が設置されており一般の人々が通行できる。騎楼は、建物の2階より上階が車道際まで張り出し、その下の1階部分がセミパブリック空間になっている建築様式のこと。暑い日差しや降雨を遮ってくれる。騎楼を歩いていると、合格者と合格大学の名前がズラリとぶら下げられていた。どうやら、学習塾が入る建物らしい。台湾は日本と同じく受験戦争が盛んなようだ。
  • 黄金海岸台南市街から南西方面。その名の通り、夕日が美しいビーチらしい。夜に行って驚いたが沢山の屋台が出ていた。11月に訪問したのに日中の気温は25~30℃と、日本では夏の終わりの感じで、海風が心地いい。屋台では、好きな食材を選ぶと、その場で調理してくれる(図6)。浜辺には、大きなパラソルがわざと倒されて並んでおり、パラソルの屋根が隣との目隠しになって、セミプライベートな空間が作られていた(図7)。

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図6 黄金海岸の屋台

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図7 黄金海岸

高雄

台南駅から在来線高雄まで約1時間。台南駅は1936年に完成した近代建築であるが今なお現役である(図8)。

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図8 台南駅

  • 美麗島駅:高雄にはMRTが2路線あり、その乗換駅が美麗島駅。地下1階の乗り換えコンコースには、光之穹頂 (The Dome of Light) と呼ばれる、直径30mの巨大なステンドグラスがあり、利用客を楽しませてくれる(図9)。

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図9 美麗島駅のステンドグラス

  • 高雄港駅跡:台湾の北の港町・基隆から南の港町・高雄までを結んだ縦貫線の終点駅跡。1909年から2005年まで使われ、船で港までやってきた貨物はここから列車に積み替えられて各地へ運ばれていった。今は広々とした公園として整備されており廃材を利用したオブジェが点在していた(図10)。隣接地にある倉庫群は、アートフェスの会場になっていた。港町ということで神戸や横浜と雰囲気がやはり似ている。

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図10 高雄港駅跡

  • 西子湾: 高雄の日中は本当に暑かった。なので黄昏時は気持ちがいい。岸壁では地元民が魚釣り。カフェで水分補給しながら海を眺めていると、大物が釣れたようで大勢集まってきた(図11)。海の幸といえば、ワタリガニが美味しい季節でもあった(図12)。

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図11 西子湾

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図12 ワタリガニ

霧峰林家

台湾で著名な一族は5つあり「台湾五大家族」と呼ばれる。その一つ、台中郊外にある霧峰の林家花園へ。上(かみ)林家景薫楼は「台湾議会之父」と称される林献堂の居宅(図13)。文物館では、氏が使用した書物や調度品のみならず、数々の写真、手紙、日記などが丁寧に保管されていた。

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図13 上 林家 景薫楼

池の中にあるステージ「飛觴酔月亭」から迎賓館「五桂楼」を眺める(図14)。以前は橋の延長線上に迎賓館の真ん中の入り口があったが、1999年9月の921大地震で1mほどずれてしまったそうだ。当地は921大地震震源にほど近いため被害が大きかったそうで、迎賓館は壊れてしまい、近年再建されたそうである。

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図14 霧峰林家花園

霧峰林家の近くには、九二一地震教育園区が整備されており、大破した学校建築が壊れた当時のまま、保存されていた。敷地内には亀裂の入った断層があり、淡路島の野島断層記念館を思わせる(図15)。

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図15 九二一地震教育園区

世界で勝負する仕事術。特に、春から社会人になろうとされている皆さんにお勧めしておきます。

図書館で本を借りても返却期限が2週間程度と短くて落ち着かないことが多いのですが、阪大理工学図書館は2学期が終わってから新学期まで約2か月借りることができるので助かります。意外に知られていないのかもしれませんが(笑)

時節柄か、竹内健先生の研究室日記「受験に失敗しても悲観する必要は無い」にネット検索で偶然出会い、先生の著書「世界で勝負する仕事術 最先端ITに挑むエンジニアの激走記」を読んでみました。企業から大学への転職、分野は異なれど変化の激しいITを研究対象とされていること、大学で研究を始めた頃の苦労話、ニッチ分野へのアプローチ、近頃の学生との接し方など、私自身の経験と多くの共通項を感じました。何より、先生のイキイキとした文章に何度も元気をいただきました。

特に、春から社会人になろうとされている皆さんにお勧めしておきます。

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都市とITとが出合うところ 第23回 亜洲大学@台中(1)

早くも2月ですね。「都市とITとが出合うところ」第23回は昨年11月に台湾・亜洲大学を訪問した様子をご紹介します。

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亜洲大学へ
昨年11月、台湾・台中にある亜洲大学を訪問した。台湾初のANDO建築・亜洲現代美術館を擁する大学。今回は、国際デザインワークショップ「The Evolution of Design Thinking」に出席するためである。このワークショップには、デジタルメディア(Digital Media Design)、ビジュアルコミュニケーション(Visual Communication Design)、プロダクト(Creative Product Design)、ファッション(Fashion Design)、インテリア(Interior Design)の各デザイン分野の専門家がイギリス、オーストリア、中国、日本から招かれた(図1)。小生はインテリア部門を担当した。

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図1 国際デザインワークショップ集合写真

本稿では、インテリアデザイン部門の学生たちに講義した、最新のデジタル設計技術の内、「Integrating CFD, VR, AR and BIM for Design Feedback in a Design Process(設計プロセスにおける設計フィードバックのためのCFD・VR・AR・BIMの統合)」をご紹介したい。これは、アトリエ・ドン森啓祐氏(建築設計)、フォーラムエイト今泉潤氏(建築エンジニア)との共同研究であり、アトリエ・ドン茨城県潮来市で進めている戸建住宅の実設計プロセスを支援するために、CFD(Computational Fluid Dynamics)、VR(Virtual Reality)、AR(Augmented Reality)、BIM(Building Information Modeling)を統合的に扱おうと試みたものである。昨年9月にウィーンで開催されたeCAADe2015国際会議で論文発表した [1]

研究の背景と目的
近年、地球環境問題等への関心の高まり、生活水準の向上や高齢化の進行を背景に、住宅分野において室内の温熱環境の向上と省エネルギー化が期待されている。住宅単体のみならず近隣影響に対する配慮も求められる。これらの要求を高水準で満足させるためには、無駄のない設計プロセスの推進が必要であり、設計段階から実験や数値計算による予測と合意形成が不可欠となってきた。

一方、コンピュータソフトウェアとハードウェアの急速な進歩に伴い、設計・開発を取り巻く環境は近年大きく変わりつつある。各種のコンピュータシミュレーションの登場により、設計段階において、物理現象や完成予想図をスタディすることが可能となってきた。これまで、設計者の経験やプロダクトメーカーのカタログスペックに頼らざるを得なかった設計行為であったが、CFD、VR、ARなどにより精度の高い支援が可能になってきた。また、シミュレーションの高速化は、ユーザとコンピュータとの双方向化を加速させてくれる。そのため、設計した結果をシミュレーションで単に確認するだけでなく、何らかの問題が発見された場合には設計案へのフィードバックをも実現可能にする。しかしながら、このようなコンセプトは、十分に検証されていない。

そこで本研究は、BIMを核として、CFD、VR、ARを統合させた設計ツールを構築した(図2)。そして、実証的な研究アプローチとして、実際の住宅設計プロジェクトの課題に対して、構築した設計ツールを適用した。結果、各ツールが実プロジェクトで果たす機能、シミュレーションを通じた設計案へのフィードバックの状況について考察した。

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図2 CFD・VR・AR・BIMの統合モデル

検証対象: 潮来市
検証対象となる計画敷地は、茨城県潮来市の郊外にある。敷地面積が401.73m2、建築面積が104.97m2、総床面積が135.46m2の2階建て住宅である。空間計画は、平面的に3重の入れ子状となっている「回廊のある家」。家族にとって生活の中心であるリビングを家の中心に吹き抜け空間として配置して、その周りに回廊状の廊下を配置して、さらにその外側に各居室や水回り、2階への階段、テラスなどを配置してある(図3)。

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図3 回廊のある家 平面図(設計:アトリエ・ドン

本研究に関する、設計上の主な課題は以下である。

  • リビングの大きな吹き抜け空間は、1階では回廊、ダイニング、キッチン、玄関とつながり、2階では回廊、子供部屋、階段とつながる、一体的な大きな空間である。リビングは、家族の滞在時間が長いため、最適な温熱環境を実現すること。
  • 風呂には、生活者が風呂に入りつつ、外気に触れたり空を眺められるように屋外テラスが設計された。周辺の住宅からこの屋外テラスが見えないこと、すなわち、プライバシーの問題を確実にクリアする必要があること。
  • 計画敷地周辺は古い集落の中にあるため前面道路幅は狭い。そのため、駐車しやすい駐車場の配置について施主の意見も聞きながら検討すること。

紙面の都合上、本稿では、課題1)を中心に取り上げる。

結果: CFDシミュレーションによる設計へのフィードバック
課題1)の解決のため、CFDシミュレーションを実施した。CFDシミュレーションには、DesignBuilder Engineering Pro 4.1を使用した。夏季(8月12日16時、外気温35℃)、冬季(2月13日16時、外気温7℃)それぞれにおいて、壁・窓等の表面温度、エアコンの吹き出し口を設定して、室内の気流及び温度の定常状態の解析を行った。エアコン風量は、強と弱の2種類とした。

可視化された解析結果を眺めると、冬季において、エアコンの暖気が吹き抜け空間で上昇し、その気流が階段を伝って冷たい下降気流となり、リビングに流れ込んでいることが明らかになった。そのため、1階の階段と回廊の間にスライドドアを設けて、再度解析を実施した。その結果、階段の下降気流が抑制され、温熱環境が改善されている様子が確認された(図4)。このスライドドアは、ドアを開放した場合には壁と一体となるよう設計されており、暖房使用時のみ階段室を塞ぐドアとして利用できる。このようにして、CFDシミュレーション結果を基に、設計案へのフィードバックが行われた。

 

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図4 CFD結果:初期案(左)、改善案(右)

結果: CFDとVRの統合
課題2)の解決のため、UC-win/Road ver.10 & VR-Cloud ver.6を使用してVRシミュレーションを実施したが、課題1)に関しても、上に述べたCFDシミュレーションの結果をVR空間上に配置することを試みた。つまり、リアルな住宅3Dモデル上に、吹き抜け空間の温熱環境を風向(矢印)や温度(色情報)を可視化してみた(図5)。この手法は、例えば施主のような建築設計や温熱環境の専門家でない方々にとって、空気の流れをより直感的に把握することが可能になりそうである。

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図5 CFDとVRの統合

一方、今回用いたCFDシミュレーションソフトウェアから、矢印や色情報をベクタ形式として出力することができず、代替手法として、矢印や色情報をラスタ形式として画像出力してVR空間上にテクスチャマッピングにより対応した。この課題を解決するため、現在改良中である。

おわりに
設計検討を終えた住宅は施工を経て、昨年7月に竣工した(図6)。温熱環境は完成後のクレームが多いと聞いたことがある。「不満がないレベルでできあがって当然」「寒けりゃ我慢」などで済ませるのではなく、施主と設計者が設計段階でもっともっとコミュニケーションしていくべきであろう。

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図6 完成した住宅(撮影:アトリエ・ドン

参考文献
[1] Fukuda, Tomohiro; Mori, Keisuke and Imaizumi, Jun: Integration of CFD, VR, AR and BIM for Design Feedback in a Design Process - An Experimental Study, Proceedings of the 33rd eCAADe Conference (1), 665-672, 2015.

 

都市と建築のブログ Vol.32: 南砺:合掌造り up!

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新年明けましておめでとうございます。2016年も変わらずどうぞよろしくお願い申し上げます。元旦の朝は実家の屋根の上によじ登り、初日の出に出会えました! 実家でおせち料理をいただき、地元の五社大神社と鹿島神社に初詣で。残り一社で三社参りとなります。 

2009年より連載中の「都市と建築のブログ」。第32回目となる2016年1月号は富山県南砺市をご紹介します。南砺市は、年末に発表された「2016年版 住みたい田舎ベストランキング」では10位にランクインされていますね(「田舎暮らしの本」2月号(宝島社))。

NAVERまとめにも都市と建築のブログの過去記事をアーカイブしています。

matome.naver.jp

■都市と建築のブログ バックナンバー

都市とITとが出合うところ 第22回 CAADRIA2015×大邱(3)

こんにちは。2015年も残り僅かとなりましたね。連載している「都市とITとが出合うところ」第22回は5月に韓国・大邱で開催されたCAADRIA2015の最終回となります。

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大邱(Daegu)

CAADRIA2015最終回は、開催地となった韓国・大邱、ポストカンファレンスツアーで訪問した慶州をご紹介しよう。

大邱広域市は、ソウル(仁川を含む)、釜山に次ぐ、韓国第3の都市。人口は250万人。釜山から北へ100kmの位置にあり、高速バスで1時間強である。周囲を高さ1000mの山々に囲まれた内陸に位置しているため、韓国で最も暑い都市のひとつである(図1)。大邱の名物は、リンゴ、美人が多いこと(歴代のミス・コリアは大邱出身者が多い)、歴代大統領は大邱出身者が多いこと、サムスン発祥の地であること。また、朝鮮戦争時にはベースキャンプ地となったため、大邱の街は壊されておらず、古い時代の街並みが残されている。

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図1 大邱市風景

カンファレンスが終了した午後、学会が企画した大邱建築ツアー(Daegu's Architecture Tour)に参加した。地元のメンバーが案内してくれるため、話が具体的で最近の話題も数多く興味深かった。実は、大邱と聞いて名所をすぐに思いつくことができなかったのだが、実際に訪問してみると建物リノベーションなどを通じて新たな機能を街に挿入し、都市の魅力アップを図ろうとする取り組みが窺えた。

  • 亀岩書院: 大邱の街なか、東山洞に残る古い路地を歩いていくと、亀岩書院の門に出会う。これは、達城・徐氏門中に属する書院で1665年に創建された。書院自体は現在、大邱の北部に移転しているが、この創建の地に景仰門、講堂、祭需庁といった歴史的な建物が残されている。中に入ると、大邱の街なかにあるとは思えない、ゆったりとした空気が流れている(図2)。

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図2 亀岩書院

  • 三星商会創業の地: 韓国最大の財閥、サムスングループは1938年に大邱で設立された。現在のサムスンは家電や電子部品などをはじめとしたグローバル企業であるが、当初は製麺、製粉を業としていたそうである。その創業の地が公園として整備されており、壁には当時の建物がレリーフとして表現されている(図3)。公園の近くにある、オートバイや電動工具屋がずらりと並ぶオートバイ通りを抜けると(図4)、サムソン創業者の家がある。

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図3 三星商会創業の地

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図4 オートバイ通り

  • 北城路: 北城路の辺りは大邱産業工具通りと呼ばれ、韓国の工具流通を支えてきた地。その歴史を伝えようと、1930年代に米倉庫として建てられていた和風建築を改装して、2013年に北城路工具博物館がオープンした。近くには、近代建物をリノベーションしたミックスカフェ(図5)。RC造と木造がつながった、不思議な空間。いずれも、昭和の懐かしい匂い。

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図5 北城路のカフェ

  • 大邱ハル: 韓日交流の拠点として2015年2月にオープンした、日本訪問者センター。様々な年代の古地図が2000冊余の日本語書籍と共に展示されている(図6)。

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図6 大邱ハル

  • 大邱近代歴史館: 朝鮮殖産銀行 大邱支店として1932年に完成した建物をリノベーションして、2011年にオープンした。銀行の近代建築らしく、堅牢でありながら優美さを感じさせる。日本統治時代の繁華街をバーチャル体験できるシアターが見もの。
  • 慶尚監営公園: 1601年、慶尚道の行政の中心地は、安東から大邸に移された。慶尚監営公園はその行政府があった地。宣化堂は慶尚道観察使の執務室だった建物。街なかの貴重なオープンスペースでもある(図7)。

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図7 慶尚監営公園

慶州

ポストカンファレンスツアーで慶州へ。日本の奈良と似ているといわれる歴史都市。人口は28万人。大邱から東へ50kmの位置にあり、バスで1時間ほどのところである。

「ポスト」カンファレンスツアーということであるが、このツアー中にもCAADRIAの将来運営のこと、研究発表についての質問、意見など「カンファレンス」に関する議論が続く。このツアーに参加するメンバーは、筆者も含めて、地元のメンバーが案内してくれるディープツアーへの期待と共に、国籍・年齢に関係なくCAADRIAをテーマに同じような関心を持つ仲間と交流できる期待があるようだ。

訪問は、釈迦の誕生日(旧暦4月8日とされる。2015年は5月25日)の頃であり、丁度韓国は三連休であった。そのため、沢山の灯籠で色鮮やかであり、大勢の人々でにぎわっていた。

  • 佛國寺: 佛國寺は、慶州に都が置かれた統一新羅時代(676-892)に創建されたとされる、韓国を代表する仏教寺院。日本でいえば東大寺が創建された時代である。慶州市街の東、吐含山に位置する(図8)。山門をくぐり緑豊かな境内をしばらく歩くと、安養門、紫霞門に出会う。この門は通常は閉鎖されているため、その脇の坂道を上がり、寺の本殿となる大雄殿に入る。大雄殿の境内には、多宝塔と三層石塔が置かれているが、後者は修理中であった。多宝塔は新羅時代の一般的な石塔と比較すると特異な形である(図9)。

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図8 佛國寺

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図9 佛國寺多宝塔

  • 石窟庵: 石窟庵は、佛國寺と同時代に築かれた。佛國寺よりさらに山奥にある。駐車場から深い森の山道を歩いて本堂へ。御堂は露出した状態で発見された石窟部分を覆うため、後世に作られたらしい(図10)。内部は撮影禁止であり、前方が四角、後方が丸い平面構造が興味深い。暗い洞の中に鎮座した釈迦如来は白く優しいお顔で美しかった。御堂は一番高所にあるため、眼下に眺める風景が気持ちいい。CAADRIAメンバー有志で修繕用の瓦を寄贈した(図11)。広場は、色鮮やかな沢山の灯籠で埋め尽くされており、フォトジェニックな風景となっていた(図12)。

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図10 石窟庵 御堂

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図11 瓦の寄贈

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図12 石窟庵 境内にて

  • 良洞村: 慶州中心部から北へ25kmに位置する、伝統民俗村。雪蒼山の麓の緩やかな丘陵地に沿うように集落がある(図13)。500年以上前の朝鮮王朝を支えた両班という官僚を多く輩出した村。朝鮮王朝時代の家屋がほぼそのままの状態で残されており、茅葺き屋根の優しい自然曲線が続く集落風景が印象的である。丘の上には瓦屋根の家、下に行くほど茅葺き屋根の家になっている。一番高所にある、孫家の庭は一般開放されており、見学させて頂くことができた(図14)。

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図13 良洞村

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図14 良洞村 孫家

 

来年、2016年のCAADRIA2016はオーストラリア・メルボルンにて!
See you in Melbourne!

日本建築学会 第38回情報・システム・利用・技術シンポジウムが終わりました。

f:id:fukuda040416:20151212131003j:plain38年目を迎えた、情報・システム・利用・技術シンポジウム(主催:日本建築学会 情報システム技術委員会)が12月10日(木)、11日(金)の2日間、建築会館(田町)で開催されました。論文20編(査読付き)、報告55編(査読なし)の発表の他、企画シンポジウムが開催されました。人工知能やシンギュラリティの現状について楽しく勉強させて頂きました。

■企画パネルディスカッション「建築情報学セミナー 20年後の世界と建築」

★12月10日(木)14:00~17:00
松原仁公立はこだて未来大学)「人工知能はどこまで来ているか」
斉藤精一(ライゾマティックス)「メディア・アートの最先端」
徳田英幸慶應義塾大学)「もののインターネット(IoT)がもたらす社会」
・モデレーター 小渕祐介東京大学

★12月11日(金)15:00~18:00
広口正之リコージャパン)「シンギュラリティ(技術的特異点)の到来」
豊田啓介(ノイズ アーキテクツ)「建築情報学と建築実務」
伊藤史人島根大学)「福祉情報工学によるグーグル・インパクトチャレンジ」
・モデレーター 池田靖史慶應義塾大学

■論文/報告発表講演

建築計画,生産・BIM,構造,人間科学,知的システム・シミュレーション,空間解析・画像,都市計画

■小委員会企画研究集会・オーガナイズドセッション

デザイン科学の方法と展開
建築・人間の時間変化データのセンシング
GISによる地域空間情報の応用と展開

研究室からは下記の3件を発表しました。PDFをリンクしておきます.

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■懇親会の様子。今年からオープン形式で情報シンポ参加者が誰でも参加できるようになりました。僭越ながら一本締めの大役を仰せつかりました。登壇しているのは学生さんたちです。

都市とITとが出合うところ 第21回 CAADRIA2015×大邱(2)

「都市とITとが出合うところ」第21回は5月に韓国・大邱で開催されたCAADRIA2015の2回目となります。

PDF: http://y-f-lab.jp/fukudablog/files/1512machinami_FukudaFinal.pdf

CAADRIA2015での発表内容

 前回は韓国・大邱で開催されたCAADRIA2015の学会運営の様子を紹介した。今回は、CAADRIA2015での筆者らの発表内容を概説しよう。発表タイトルは「Development of a Kinematic Physical Model for Building Volume Simulation:建物ボリュームシミュレーションのための動的な模型の開発」である[1]。

研究の背景と目的

 建築や都市の三次元空間を表現するために模型などの物質的なモデルやVRなどの仮想的なモデルが使用される。模型は、複数のユーザが任意の視点から同時に検討可能なこと、設計対象やその配置を直接触れながら操作できることなどの利点がある一方で、歩行者視点からの検討が困難であること、縮尺や模型材料による表現の限界などの課題を抱える。VRは、歩行者や運転者のアイレベルからの検討が容易であること、人や車などの動的な表現が可能であることなどの利点がある一方で、ユーザが同時に検討可能な視点は通常1ケ所に限られること、直接触れることができないなどの課題を抱える。このように、模型とVRは異なる特徴があり、現状では検討内容やプレゼンの目的に応じて併用されている。

 一方、模型とVRの両者を使用すると、それぞれを別工程で制作する必要があり、手間とコストがかかる。また、検討プロセスで設計変更が発生した場合、模型とVRの修正作業を迅速にすることは困難である。この問題解決のために、3次元仮想モデルから模型を出力する3Dプリンターが実用化されているが、現状での出力速度は高さ方向に約30mm/時であり迅速な出力は困難である。

 そこで本研究は、模型とVRをデータレベルで同期させながら、3次元仮想モデルの内容に応じて、様々な規模や高さの建物ボリュームを動的に表現するシステムの開発を目的とした。動的模型の設計と制作には、機械工学、電気工学、建築工学の知識を集めながら実施した。

動的模型の概要:ハードウェア

 研究目的を達成するために、個別に高さが変更可能なロッドが密集する動的模型を構築した(図1-3)。

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図1 動的模型のスケッチと実装に使用したデバイス

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図2 動的模型システム:(左上)平面図;(左下)立面図;(右上)全体像;(右下)ボリューム表示例

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図3 ハード詳細:(左)ロッド昇降用モータ列部分詳細;(右上)モータ駆動回路図;(右下)フレームとストッパー

 ロッドはグリッド状に配置され、平面上の各位置の高さを決定する最小単位となる。動的模型はPCと接続されており、3次元仮想モデルより動的模型の各ロッドの位置に対応する高さを算出して、その高さまで各ロッドを昇降させることで、都市のボリューム模型を表現する。

 動的模型は、出力ボード、端子台、ロッド昇降用モータ列、ラックギア、ストッパー、電動スライダ、ロッド、ソフトウェアで構成される。出力ボードはPCに接続されており、端子台を介して出力ボードと電動スライダ、ストッパーと接続されている。ロッドの昇降は、ロッド昇降用のモータ列ごとに一列ずつ行われる。昇降が完了した列のロッドはストッパーによって順次固定される。

ロッド昇降用のモータ列とストッパーにはステッピングモータを採用した。ステッピングモータは、ステーターと呼ばれる複数の電磁石、ローターと呼ばれる永久磁石で構成される。ステーターに電圧をかけて帯磁させるとローターが吸着されて、回転する仕組みである。ステーターを帯磁させる順番は、パルスと呼ばれる周期的な電圧変化で行われる。パルスの波形によって、正転、逆転させることができ、また、1パルスあたりの回転角が決まっているために、パルスの回数によって正確に制御できる。さらに、前述したパルスによる回転制御に加えて、ステーターのうちの一つの電磁石に通電し続けることによってローターがステーターに固定されて、ブレーキが発生する。

プロトタイプシステムとして、一辺20mmのロッドを、ロッド一列あたりのロッドの本数を15本、ロッド列を7列として、計105本配置した。

動的模型の概要:ソフトウェア

 開発したソフトウェアは、ロッド高さ算出プロセス(3次元仮想モデル入力後、各ロッドの中心座標での高さを算出)とロッド昇降プロセス(ステッピングモータを駆動させてロッドを昇降)がある。

 ロッド高さ算出プロセス:まず、VRデータに記述されている各オブジェクトの最上面Ftを抽出する。次に、各オブジェクトの最上面Ftと、ロッド中心RRodXRodY)との内外判定を行い、ロッド中心Rが最上面Ftの内側に存在するすべてのロッドを抽出して、それらのロッドを上昇させる高さHとして最上面Ftの高さを取得する。最後に、Hを、ステッピングモータの1ステップでの上昇量Hsで除して、モータを駆動させるステップ数を算出する。

 ロッド昇降プロセス:まず、ロッド昇降用モータ列を電動スライダの原点に平行移動させて、初期化する。そして、ロッド昇降用モータ列がロッド列の真下に位置するようにする。次に、ステッピングモータをロッド高さ算出プロセスで算出されたステップ数を回転させてロッドを上昇させた後、ロッドが落下しないようにステッピングモータに通電し続けてブレーキを発生させる。さらに、フレームに取り付けられたステッピングモータでストッパーをスライドさせて、ロッドを固定する。そして、モータのブレーキを解除する。最後に、ロッド昇降用モータ列を次のロッド列に平行移動させる。以上の処理を各列に対して実行する。

動的模型の評価:方法

 プロトタイプシステムを評価するため、高さ4mから10mの建物8棟が建ち並ぶ仮想街区(街区サイズ:38m×18m)のVRモデルを動的模型に入力して、精度検証と出力時間の測定を実施した。

 精度検証は、出力する模型の縮尺率を1/100として、平面上の位置と高さについて理論値と実測値とを比較した。平面上の位置検証は、理論上導かれる建物四隅の座標のうち、水平・垂直方向それぞれの最大・最小値を理論値として、対応するロッドの隅と原点との距離を実測値として比較した。高さの検証は、上昇した全てのロッドに対して、理論値と実測値との差の絶対値を算出した。

 出力時間の測定は、ソフトウェアを起動してから、7列目のストッパー用ステッピングモータが動作を停止するまでの動作を3回実行して、その所要時間をストップウォッチで計測した後、平均を算出した。

動的模型の評価:結果とまとめ

 1/100で出力した結果、平面上の位置誤差は最小0mm、最大25mm、平均7.90mmであった。ロッドの一辺が20mmであり、VRデータ面とロッドとの内外判定にロッドの中心座標を用いたことから妥当な値であると考えられるが、従来の模型と比較すると誤差は大きい。今回はモータ等の寸法の制約からロッド寸法を20mmとしたが、従来の模型の表現に近づけるためにはロッドをより細くする工夫が求められる。

 高さ方向の誤差は、最小0mm、最大5mm、平均は1.17mmであった。実スケールに換算すると最大50cm、平均11.7cmの誤差が発生することになる。1mm程度の誤差は人間が模型を制作する過程で発生する誤差と同程度であり、設計の初期段階で都市ボリュームを把握する際の大きな障害とはならないと考えられる。

 出力時間は2’00”3であった。開発した動的模型は、短時間で出力可能であることが確認できた。

 今後は、ロッド寸法をより小さくできるような機構の検討が必要である。さらに、ボリューム表現のみならず、立面情報を含むより高度な表現が可能なシステム構築を目指したい。

参考文献

[1] Tomohiro Fukuda, Toshiki Tokuhara, Nobuyoshi Yabuki, Development of a Kinematic Physical Model for Building Volume Simulation, Proceedings of the 20th International Conference on Computer-Aided Architectural Design Research in Asia (CAADRIA2015), 241-250, 2015.

大阪府建築士事務所協会誌「まちなみ」2015年12月号

 

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都市とITとが出合うところ(1-20回)

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ふくだぶろーぐ - 都市とITとが出合うところ 第11回 金勝×クラウドVR

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五箇山・村上家(富山県南砺市)プロジェクト: 3DCGショートムービーがYoutubeで公開されました。

youtu.be

夏から進めてきた五箇山・村上家(富山県南砺市)プロジェクト。YouTubeで此度公開のはこびとなりました。僭越ながら監修を仰せつかって参りまし た。

少し前の時代の村上家を、現地測量と図面から3Dモデルを作成。シナリオに従いCGショートムービーを作成して、合掌造りの構造や暮らしぶりを解説し ようという試みです。

ともすれば見過ごされがちな、また、現物を眺めるだけでは深く理解しにくい地域資源。例えば「合掌造り」の名前は有名ですが、その名前を表す大きな三角屋根は、やじろべえのように支点を定めて1階の軸組みの上に載せてあるだけで固定はされていないのです。が、現物を見てもその接合部の様子に気づかれる方は意外と少ないのでは?

現存している内にデジタル保存すると共に、まち づくり・観光・教育などの多分野に、CG・VRなどのマルチメディアで活用できれば幸いです。


3D digital reconstruction of World Cultural Heritage, Gokayama, Nanto-city, Toyama

日本建築学会 第38 回 情報・システム・利用・技術 シンポジウム「情報技術から建築学を拡張する領域融合へ」(2015年12月10・11日)

f:id:fukuda040416:20151106150641j:plain

早いもので、2015年もあと2ヶ月となりましたね。例年通り、12月10・11日に開催される、日本建築学会 第38回 情報シンポのご案内をさせて頂きます。例年と異なる主な変更点は下記となります。

  1. 今年は、株式会社アプリクラフトオートデスク株式会社グラフィソフトジャパン株式会社株式会社フォーラムエイト 様より、協賛を頂きました。御礼申し上げます。そのこともあり、懇親会も例年のようなクローズド形式ではなく、情報シンポ参加者がどなたでも懇親会に参加できるオープン形式 にしました。貴重な機会、交流を深めて頂ければ幸いです。
  2. 企画パネルディスカッション「建築情報学セミナー 20年後の世界と建築」と題して、少し先の将来を見据えて議論する内容としております。詳しくは下記をご覧ください。
  3. 今回より、事前申し込みサイトをご用意しましたので、先着順となっております。ウェブサイトより、お申し込みをお願いします。事前申込みウェブサイトは、

    goo.gl

  4. 研究室より、修論生3名がAR, 緑視率, 温熱環境VRに関して研究発表します。研究内容をご聴講頂き、ご批評賜れば幸いです。

***
日本建築学会 第38 回 情報・システム・利用・技術 シンポジウム

「情報技術から建築学を拡張する領域融合へ」

日本建築学会 情報システム技術委員会は、建築学会の中でも分野横断的な研究を推進し幅広い研究者間の交流を促進してきました。情報技術の発達を背景に、 建築学の様々な分野での情報技術の利用が一般化した一方で、建築行為を含む社会全体のしくみや職能さらにはデザイン行為や建築とは何かという根源的な問い に至るまで、幅広い変革と融合が起きています。建築学の研究分野の横断的融合だけではなく、建築分野を超える多様な学問領域への広がりを意識し、シンポジ ウム全体として情報技術を通じた横断的融合を捉えたいと思います。

■会期:2015 年12 月10 日(木)~ 11 日(金)
■会場:建築会館ホール+本会会議室(東京都港区芝5-26-20)
■定員:200 名(事前申込者優先。定員に達しない場合の当日申込みは会場先着順)
■論文/報告発表講演:構造、空間、建築計画、都市・GIS、景観、教育、情報技術、行動モデル・避難モデル、BIM

<小委員会企画オーガナイズドセッション>
GIS による地域空間情報の応用と展開(地域空間情報モデリング小委員会)
②デザイン科学の方法と展開(デザイン科学教育方法研究小委員会)
③建築・人間の時間変化データのセンシング(感性システムデザイン研究小委員会+スマート建築モニタリング応用小委員会)
④アルゴリズミック・デザインとその周辺(アルゴリズミック・デザイン小委員会)

■参加費:(1)DVD 資料あり参加費 会員 8,000 円、会員外 9,000 円、学生 5,000 円 (2)DVD 資料なし参加費 会員 3,000 円、会員外 4,000 円、学生 1,000 円

※会期中一度のお支払いで、両日とも参加可能です。上記参加区分(1)(2)ともに、全プログラムへの参加が可能です。 ※論文/報告発表者は参加区分(1)の参加費をお支払いください。

■事前申込みウェブサイト:

goo.gl

■企画パネルディスカッション「建築情報学セミナー 20年後の世界と建築」

情報技術全体の能力の級数的な自己進化が続けば、そう遠くない未来に人類を凌駕するすると予測されています。 これまでも情報化により解体されて来たと言われて来た建築の存在も、さらに根底からの変革を迫られるのではないでしょうか。情報技術による領域融合で、 20 年後を意識した建築分野の「情報学」の確立を目指し、あえて未定義の「建築情報学」を掲げ、情報技術の先端分野においてこれから20年の変革を語るパネ ラーを2日間連続で招待し、建築分野のモデレーターを介して、世界と建築の未来を議論したいと思います。

★12月10日(木)14:00~17:00
松原仁公立はこだて未来大学)「人工知能はどこまで来ているか」
・斉藤精一(ライゾマティックス)「メディア・アートの最先端」
徳田英幸慶應義塾大学)「もののインターネット(IoT)がもたらす社会」
・モデレーター 小渕祐介(東京大学

★12月11日(金)15:00~18:00
・広口正之(リコージャパン)「シンギュラリティ(技術的特異点)の到来」
・豊田啓介(ノイズ アーキテクツ)「建築情報学と建築実務」
・伊藤史人(島根大学)「福祉情報工学によるグーグル・インパクトチャレンジ」
・モデレーター 池田靖史(慶應義塾大学

■情報シンポジウム懇親会 12月10日(木)17:30~20:00(建築会館ホール) 
懇親会参加費1000 円 学生無料。
*シンポジウム参加者が対象です。懇親会のみの参加はできません。当日受付は【先着順】です。

■主催:日本建築学会情報システム技術委員会 
■協賛:

applicraft.com/アプリクラフト〔applicraft website〕

www.autodesk.co.jp

www.graphisoft.co.jp

www.forum8.co.jp

世界遺産登録20周年記念 五箇山合掌造り集落 村上家3DCGムービーが完成しました。

prtimes.jp

今年は、富山県五箇山岐阜県白川郷の合掌造り集落が世界遺産に登録されて20周年。その流れを受けて、最先端表現技術利用推進協会メンバーと取り組んできた、五箇山合掌造り・村上家の3DVRアーカイブスが此度完成しました。最先端3D技術で、五箇山の価値の高い文化資産の継承や普及、啓蒙を進めていきたい。

などで公開して参ります。宜しくお願いします!